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【読書メモ】ジェリー・Z・ミュラー 『測りすぎ』44

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読書メモ

PartIII あらゆるもののご測定? ケーススタディ 9医療

  • より大局的な視点 ― 測定基準、能力給、ランキング、成績表

    • クリーヴランド・クリニック、ガイシンガー、キーストンの成功は例外なのではないか?

    • 測定結果の効果が不足している、または、極めて限定的であることを証明する調査も数多くある

    • 失敗についての調査は、測定基準に反感など持っていない側によって行われている

    • オランダのラドバウド大学ネイメーヘン医療センターの「医療の質に関する学術研究所(IQヘルスケア)」

      • 医療問題に関する調査研究についての広く入手可能な情報がどれほど医療提供者や患者(消費者)の行動や患者の転帰に影響を及ぼしたかを調査
        患者の転帰に持続的効果は見られなかった
        →医療提供者や病院の選択に関する患者の行動が変化することもなかった

    • 能力給、「利用成績表(公開ランキング)」
      →死亡率の公表は患者の転帰には何も影響をもたらさなかった
      →能力給に関する研究のほとんどが、最終結果(患者が回復したかどうか)よりもプロセスや途中経過だけを検証していると、ランド研究所は指摘

    • 能力給とランキングの公開に内在する問題の一つが、目標のずれ
      →「測定のために治療する」ことに注力してしまった

    • リスク回避の現象も生み出す

    • 医療測定は、コストと負担が大きい

感想

いろいろ測定しても、患者の側のメリットにはならなかったということがわかりましたが、これは測定の欠陥という問題だけではないように思います。

結局、測定の結果を見せられたとしても、患者としては、その値の意味するところがわからないということもありますし、また、治療の実績だけで医師を選ぶわけでもないように思います。

測定に対して過度に期待を持つ人は、人間は数字に基づいた合理的な判断をするという暗黙の前提を持っている感じがします。そのことも、測定の効果が不足しているか、限定的であるかの原因になっているのではないかと思われます。

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Tomoko Nakasaki(中崎 倫子)
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