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詩画集を作る思いは、作品BOX制作へ

私は、ある時期から「詩画集」というものにとても魅かれるようになりました。そう思うようになったわけは、次の本を目にした影響も大きかったと思います。

東逸子作の詩画集「翼の時間」(1995年 ミキハウス)

本の体裁は縦に長い版で、本自体は薄紙で包まれています。ページをめくると、絵とともに「父さんに連れられて、図書館へ行った・・なんだか退屈・・・」と説明が続いたあと、一気に、子供が日常空間を越えて夢と幻想に満ちた空のかなた、天高くへと飛翔してゆく姿を、説明は一切なしに絵だけで構成されていきます。

*以下に挙げる画像は、東逸子作の詩画集「翼の時間」の撮影画像を背景色の上に重ねて加工処理したもの

本自体は薄紙に包まれている
薄紙を外した状態
子供は導かれるように飛翔してゆく
空のかなたへと夢幻飛行してゆく



彼女の別の詩画集「月光公園」も素晴らしいイメージ力にあふれた傑作。そこに描かれた世界は、陶然として吸い込まれてゆく魅惑と淡いときめきに香り立っており、私が「絵」で描きたいイメージとも重なっています。ただ、その具体的な表現法が異なっていますが・・。


私の「詩画集」を作ること

これは、その気になればわりとすぐ実現できることではあります。ただ、私の考えているのは、本屋に売っているような出版物ではなく、実物の作品より構成された体裁なのです。

その具体的な制作物のひとつ
前回の記事「福岡県立美術館で個展 ~ 部屋は静か 世界はにぎやか」に挙げた「詩画集」仕様の作品があります。A3サイズのアート系インクジェット氏15枚を綴じて構成した作品で、めくって見る体裁になっています。短い言葉も添えて、最初の一枚から次に読み進む物語的要素も加えています。

話の筋:
何かこの世ならぬ存在の訪れる予兆で始まり、それに対する現実世界を描きつつ、問いと疑問を発しながら、遥かなるヴィジョンを夢見る、・・そういう流れを表現した連作に仕立てています。

では、何枚か例示します:

地上の時は飛散する水しぶき
記憶の底に潜む不思議な光景
世界はいつでもにぎやか
救い給え、さもなくば、懐かしい記憶を与え給え
その時が訪れる
青空は光と反映に満ちて



2024年現在は、・・

活動しづらかった「コロナ禍」の間に、「詩画集を作る」というアイデアから離れ、A4サイズほどの作品50枚を箱詰めにした集大成的な作品BOXを制作することを思いつき、去年は、容れ物になる貼り箱の試作を行っていました。そして今年は、いよいよ、実際に作品50枚の印刷を行う予定です。

色を変えて何点か貼り箱を試作しました
こんな道具も必要でした