カロリー呪縛 | #青ブラ文学部
「どれ食べる?」
メニューを見ながらマユミに声をかける。
「あ~ これ食べたいけどカロリー高い」
好きなものを食べればいいのにと思うのだが、太りたくない気持ちからか、もっと痩せたい気持ちなのか、マユミは食事の写真より、その下に小さく書かれているカロリー表示を細かく確認してから食べるものを決める。
マユミは決して太っているわけではない。
むしろ痩せているのだが、まるで何かに取り憑かれたのように、カロリーの呪縛にかかってしまっている。
「太ってないんだから気にすんな」
「は?太ったらどうしてくれるの!」
好きなものを食べていいよと気持ちを伝えても逆ギレされ怒られることになるから、このことについては口を出さないことにしている。
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「カロリー消費しなきゃだから歩こう!」
「え~!8kmはあるぜ!」
便利な公共機関の乗り物が目の前にあろうと、カロリーの呪縛にかかっているマユミの目には入らないようだ。
マユミと付き合うようになってから歩く機会が多くなった。
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家でもマユミのカロリーの呪縛は続く。
手作りの食事もカロリー計算して作るし、コンビニでは何を買うにもカロリーを確認する。
よく噛んでゆっくり食べる。
カロリー消費のため、入浴時間もたっぷりとり、半身浴、身体を洗う順番、すべて流れが決まっている。
就寝前のストレッチもかかさない。
恐るべしカロリーの呪縛
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俺の体重?
マユミと付き合ってから5kg痩せたよ。
カロリー呪縛のおかげだな。
実は痩せて女にモテるようになった。
マユミには色々内緒だ。
◈
美しさを維持するためよ。
カロリーの呪縛?
なにそれ
今夜はアイツが出張だから、ハヤトとデートなの。最近またウエストが細くなったから、きっと喜ぶわハヤト。
はいはい。
ご忠告ありがとう。
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女友だちとの楽しいカフェランチも、カロリーを気にせずにはいられない。
でもこの呪縛からは一生解放されたくない。
美しい女でいたいもの。
(おわり)
⚠️ダイエットを推奨する話ではありません
青ブラ文学部の企画に参加しました。
山根あきらさん
いつもありがとうございます。