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Toronto Working Holiday[1]

・海外へ行く決意

 当時、大学2年生だった私は、放射線学科を専攻しておりその専門的な勉学に全く興味を失ってしまい、どうしようかその後を迷っていました。
 ある日、地元である福井県に帰省し、高校時代の恩師に ”知らないことが多すぎるのにそんな状態で専門的な勉強をして仕事を決めてしまうのは、何かおかしいのではないか” という旨の話をしたところ、「海外へ行ったことがあるか?」と言われた。「お前の悩みは日本から出れば解決する。」と言われた。よく聞く言葉だと思う。しかし断言してくれたことが嬉しかった。その言葉にどれだけ救われただろう。僕は海外へ行くことにした。そして大学3年に進級するとき休学することを決意した。

・準備期間

 海外へ行くことを決めたのはいいが、なんせ金がない。奨学金まで借りている始末である。9月から行くと決め、4~8月は稼ぐと決めた。行先はカナダ。すぐに決まった。なぜならアメリカに近くて銃の所持が認められていないということ。理由なんてそんなもんだろう。
 ここで問題が起きた。金をためなければいけないのに、休学期間は奨学金が止まるという。この時点で月5万の損失。実際は5か月間で全く金はたまらなかった。そんなこともあって、ワーキングホリデーのビザ発行も委託することができず、すべて自分でやり取りをした。難しい言葉だらけの英文を何とか解読し、必要書類を持っていき、初めてのパスポートを発行し、と初めて尽くしの日々は悪くなかった。ビザの申請が通った時に感動はいまだに覚えている。1~2か月ほどかかったんじゃないだろうか。そして9月になる。

・トロントへの渡航

 私は、結局約10万円をもって旅に出た。しかし帰りの航空券はない。これは、金がなかったのも一つの理由だが、自分の甘えてしまう性格を知っていたので、「君は稼がなきゃ日本には帰国できません。」というメッセージでもあった。ハングリーでいたかった。
 空港に着くと初めての海外に胸が躍るというよりは不安が強かった。なんせ初めての海外である。手続きがちゃんとできるか。など不安だった。しかし席に座ってしまえばこちらのものである。いきなりビールを飲み楽しみました。上海を経由して、カナダはトロントに着くまで16時間ほどだったかな。着いたころには夜もすっかり更けていた。

・洗礼

 空港に着くと、airbnbで1週間分の予約していた宿に向かおうと、Uberに乗った。僕は知らなかったが、タクシーのほかにウーバーで我々も運んでくれれるという。ちょっぴり怖かったけれど行先を伝え、無事宿に着いた。お金は60ドル(5500円ほど)。もしかしてぼったくられてる??と思いながらも何も話せずお金を渡した。全財産の1/20をいきなり失った。
 airbnbということもあり一般宅に泊まるので、あらかじめ伝えられていた番号でカギを開けると、家族のうち奥さんらしき人だけが起きており、部屋の説明をされた。フライトで疲れ切っていたが、シャワーを浴びようとバスルームに行くと、シャワーの使い方が分からない。何をしてもバスタブ側の蛇口からしかお湯が出ないのだ。その日はそのお湯を手ですくって体中の泡を流した。到着して2~3時間いきなり2つもの洗礼を受けた。その日僕は、「明日の朝、Could you teach me how to take a shower?」というあっているかもわからない英語をノートに書きだし、ゆっくりと眠った。☞



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