離婚を話し合うストレス
離婚の話を持ち出した後、話を続けていくことは双方にとってストレスです。「なんで分からないんだ」ということを何度も経験することでしょう。自分の気持ちや考えを理解しない人だから離婚をするので、それで本当はいいはずなのですが、それはやはりストレスになります。また、離婚協議が感情的にならなかったとしても、相手の持ち出す条件というものはあなたにとって理解のできない条件であったりして、どう交渉してよいかわからなくなります。それもストレスです。
その意味では、誰かに相談して自分の気持ちを理解してもらいたくなるのは当然です。しかし、家庭というものは人それぞれに根深い考えを持っていますので、友達だったはずの人からもあなたが悪いようなことを言われてしまうことも少なくありません。これがまたストレスになります。
さらに、離婚協議はいつ終わるかがわかりません。離婚調停や離婚裁判にしても半年、1年かかることがあります。この出口が見えないトンネルの闇のなか、これ自身もストレスになります。
離婚のストレスは人それぞれだと思います。感じ方もその強さも、何がストレスになるかも。ですので、ここでは、相談にのるようなことは一切できません。代わりに、私の経験をお伝えします。
私の場合、離婚協議は1年以上かかりました。それでもダメでした。離婚調停は、その準備も含め、約5カ月かかりました。それでもダメで、離婚裁判を1年と数カ月かかりました。その間、終わりの見えないこと、自分の人生の舵が自分以外の人間が握っていることなどを通じて、私の気持ちはズタズタになっていきました。最初は勢いがあったので、大丈夫でした。新しい生活に希望を見出していたからです。ふと寂しくなることはありましたが、それでもよかったのです。しかし、先行きが分からないことで徐々に気持ちが落ち込んでいきました。離婚協議も思うように日程を設定できません。相手がなんだかんだ理由をつけて先延ばしにするからです。協議する日は前日から憂鬱です。何を言われるかわからない、結局は相手の言われるままになるのではないか、また次回も話が進まないのではないか、そんな気持ちがストレスになりました。離婚調停も裁判も同様です。裁判所に行くまでに、気持ちが高ぶると同時に心拍があがっていきました。離婚協議や調停の最中は、手に汗を握ります。頭がぐるぐるする感覚も何度か味わいました。何かの一言が大きなミスを生むのではないか、離婚を実現することから遠ざかるのではないかというプレッシャーです。離婚調停を打ち切る判断をするなど、大きな判断が必要なときもありました。でも、どちらがよいかなんて確かなことは何もないのです。もう少し調停の回数をかければ収まるかもしれない、でもこのままずるずると行くかもしれない、裁判になったら1年は確実の状況。しかも、その場で決めていかなければならない。決断のストレスです。また、自分だけのストレスだけではありません。子供などにストレスがかかりすぎないように配慮する必要もありました。うまく配慮ができない状況になったりすると、それがかえって自分のストレスになって戻ってきました。
こんな風に離婚の話を進めていくなかで、まずは、眠れなくなりました。朝起きてしまうのです。朝の3~4時に。じっとりと汗をかき、闇の奥底に落とされたような言いようもないほどのドン底感で目が覚めます。心拍があきらかに速い状態です。それが続くと、睡眠不足により、いろいろなパフォーマンスに影響がでてきました。何かやる気や元気が出てこないという状態にもなりました。書類手続きなどの機械的にこなす仕事は問題なかったのですが、深く考えることがうまくできなくなっていきました。
そこで、まず、カウンセラーに行きました。日本では、カウンセラーに行くことは少ないですが、家族でも友人でもない方と話をするということは自分を見つめなおす、よい機会だと思うようになりました。ストレスが高じる前段階あるいは高じてきたら、相談に行ってみてもよいでしょう(なかには「離婚カウンセラー」という方も世の中には存在します)。1時間の対話を重ねるなかで、自分の状態や自分が考えの癖などに気がつくようになっていきます。せっかく多大な負担をかけて離婚するのですから、これから歩みだす次の人生は良いものにしたいですよね。今までの自分と同じだと同じ間違いを犯す可能性はあります。自分は変えられなくても、そこに気づいていればマイナスになることを減らすことはできます。自分を見つめなおすよい機会になりました。
とはいえ、離婚の話を進めるストレスは相当なものでした。睡眠不足などの身体的な症状がでてきたら、心療内科や精神科に行くことをお薦めします。男性は特に、そういった場所に行くことは避けたがる傾向があるとのことですが、やはり、睡眠薬によって+1~2時間、寝ることができるようになったことは助けになりました。精神的に健全な状態には、やはり身体の健全な状態が必要なのです。自分の体がストレスによって、どうしても普段どおりに動いてくれないときには、それを上手にコントロールする必要があると思うのです。自力には限界があると思います。
深呼吸をしたり、リズムをとったりというやり方もあります。気持ちが落ち込んだ朝は、今の辛い状況においてはこれが正常な心身の反応であること、そこに自分の非はないことを自分に言い聞かせて、ルーチンの家事(お皿を洗うなど)をすることで、気持ちを落ち着かせました。
ただし、薬には注意が必要です。自分に合うもの、合わないものがあります。合わないものだと、服用しててしまうと半日はむしろ頭がぼーっとしてしまいました。気持ち的にも、むしろ落ち込みが激しくなりました。素人療法は禁物なのはいうまでもないですが、医者の方も24時間、自分の状態をみてくれているわけではありませんので、薬の切り替えや追加があったときに特に要注意だと思います。あらかじめ、どういう副作用がでる可能性があるのか、どういう状態になったら服用を控えるべきかなどを聞いておく必要があります。なかには最初だけ、強い副作用を引き起こす薬もあるとのことです。医者の先生も様々で、きちんと説明をする人、質問に答えてくれる人、そうでない人、いろいろいます。その意味では、弁護士を探すと一緒で、離婚の話が始まったら、早めによいお医者さんを見つけておくこともよいでしょうね。
以前の回でお話したように、自分の気持ちを固めておくこともストレス対策になります。
今回の記事を読んで、何かヒントになることがあれば幸いです。離婚にストレスはつきものです。逃げることはできません。ただ、上手に和らげることはできると思うのです。