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化石を採る

ドイツには自然保護に関する厳しいルールがあり、魚1匹釣るにも、蝶1匹を捕まえるにも許可が必要です。川に行っても森に行っても、自然の中で採っていいものは石くらいしかなくて、そのせいか子どもも大人も石や化石を集めている人が多くいます。

ドイツの南、ニュルンベルクとミュンヘンの間に、「古い水車」を意味するアルトミュール川が流れています。一見、どこにでもあるドイツの田舎ですが、この川の流域は世界有数の化石の産地。世界で初めて始祖鳥の化石が発見されたのもここです。

化石の産地といっても、地層の現れた崖をコツコツやって探すのではなく、「化石採掘場」と呼ばれる施設に入場料を払い、ハンマーとノミを借りて掘り出します。

すごいのは、採取した化石は無料ですべて持ち帰ることができることです。

日本語のガイドブックでは、この地域にあるゾルンホーフェンという村だけがクローズアップされていますが、化石採掘場としては、アイヒシュテット、ミュールハイムとあわせて計3か所が有名です。

採掘に出かける前の晩、夕食を食べたビアホールで話したその店の常連のおじさんも「子どもが小さかった頃はよく行った」と言っていたので、この辺では化石採りは潮干狩りのようものなのでしょう。「誰でも必ず1つは採れる」「アンモナイトも見つかる」というので、翌朝は「小さなアンモナイトが1つでも見つかれば嬉しいな」との淡い期待を胸に採掘場へ向かいました。

しかし、いざ当地に近づくとカーナビが指している採掘場の周りには、目印となるようなものは何も示されません。「右に曲がれ」と言って最後にナビが指したのも、麦畑を突っ切って行く急な坂道です。それでも、言われた通りに坂を登っていくと、果たして採掘場の入り口に着きました。

麦畑を背に車を降りると、ハンマーの「カーン」という音やタガネの「コツ、コツ」という音が聞こえてきて、不思議な情緒があります。

しかし、採掘場を見てあっと息を呑みました。

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