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建築家・安藤忠雄に学ぶーいまを生きるわたしたちが取り戻すべき野性

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

さわやかな5月の風が心地よく感じられる今日この頃ですが、みなさんお元気でしょうか。Rikaです。

noteの使い方を模索する日々ですが、コロナ下でブックカバーチャレンジなどが流行っている中で、本日は本の感想などを記してみようかと思います。

というのも私、昔から本が好きで、小学生の頃ははやみねかおるに育てられたと言っても過言ではありません。夢水清志郎シリーズ好きだったなぁ…。(また今までの読書遍歴も記事にできればと思っています。)

さて、本日対象となる本は、以下となります。

安藤忠雄『仕事をつくる』日本経済新聞出版社,2012

安藤忠雄さんについては、アナザースカイという日本テレビの番組に出演されていたのを拝見したことがきっかけで知りました。

当時の30分間という短い番組でも如実に伝わってくる、安藤さんの強烈な個性。強い意志。

当時の私は、それをきっかけに安藤忠雄という人に強い興味を持ったことを覚えています。

それは、建築家・安藤忠雄という枠を超えて、人間・安藤忠雄への興味でした。

そんな彼の著書を読み、その思考の断片に触れることで、安藤さんの生き方から学べることや、いまのわたしたちに足りないものについて、私なりに咀嚼してみようと思いますので、よろしければお付き合いください。

安藤忠雄の経歴

はじめに、安藤さんの経歴について、ご紹介させていただきます。

1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設立。代表作に「光の教会」「ピューリッツァー美術館」「地中美術館」など。1979年「住吉の長屋」で日本建築学会賞、1993年日本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2003年文化功労者、2005年国際建築家連合(UIA) ゴールドメダル、2010年ジョン・F・ケネディーセンター芸術金賞、後藤新平賞、文化勲章、2013年フランス芸術文化勲章(コマンドゥール)、2015年イタリア共和国功労勲章グランデ・ウフィチャ―レ章、2016年イサム・ノグチ賞など受賞多数。1991年ニューヨーク近代美術館、1993年パリのポンピドー・センターにて個展開催。イェール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授歴任。1997年から東京大学教授、現在、名誉教授。(“TADAO ANDO”.安藤忠雄建築研究所.http://www.tadao-ando.com/profile/)

端的に言うと、すごい人です。笑

建築界の革命児、といったところでしょうか。

当著書は、安藤さんの半生を主軸に展開されていますが、著書を拝読して感じた、安藤さんのここがすごい!ポイントをまとめました。

安藤忠雄のここがすごい!

すごい!1. 独学で建築を学ぶ

安藤さん、成績や学費などの問題で、大学の建築学科には通っていらっしゃらないそう。

しかし、ここがすごいぞ安藤さん。

なんと、大学の建築学科に通っている友人に教科書を買ってもらい、4年間かけて学ぶカリキュラムを1年で学び通したそうな。

流石の意地と気力。感服です。

安藤さん曰く、つらかったのは共に学ぶ友人がいなかったことだという。

確かに、何かをやり遂げようという時に切磋琢磨し合う同志の存在の有無は、その人の心の状態に大きく影響を与えますよね。

しかし、当時の不安や孤独に一人で立ち向かうことで、「責任ある個人として社会を生き抜くためのトレーニングになった」という。

この言葉を見た時、思わずハッとしました。物事への立ち向かい方について、多くの示唆を私たちに与えてくれる一節だと思います。


すごい!2. 勇気を持って常に新しい建築へ挑戦する姿勢

私は建築に関する深い知識を有しているわけでも何でもない全くの素人なので、専門的なことは分かり兼ねます。

しかし、安藤さんの建築を写真や実物で見たことがある方ならお分かりかと思いますが、明らかに普通の建築とは違うなにかがそこにはあります。

そこには特異な先進性が宿っており、安藤さんが常になにか新しいものを作ろうとしていたことがよく分かります。また、当著書でも意識的に常に新しい形を作ろうとしていたことが述べられています。

安藤さんのアトリエは大阪にあるのですが、新しい建築を作ることへの反発もたくさんありながら、一方で大阪の財界人からの新たな挑戦に対する応援に助けられていたことが記されています。

勇気を持って常に新しい建築へ挑戦する安藤さんの姿勢は、建築に限らずどんな分野においても見習うべきものだと思います。


すごい!3. 圧倒的な行動量

建築という文脈においては、多少のセンスはもちろん必要でしょう。

しかし、ご本人もおっしゃっているように、これまでの道のりを振り返ってみると、連戦連敗の日々だったそうです。

当たっては砕け、当たっては砕けをひたすら繰り返す毎日。

そんな圧倒的な行動量が下地となって、いまの安藤忠雄があるといいます。


上記で安藤さんのすごいポイントをまとめてみましたが、ここから、物事を実施する上で共通する理念のようなものが見えてきます。

それは、責任ある個人として不安や孤独に立ち向かいながら、勇気を持って常に新しいことに挑戦すること。そしてそれを実現するために、たくさん行動すること。

これは建築界隈に限った話ではなく、どんな領域でもなにかをやりきる上で重要な姿勢でしょう。私たちもこのような安藤さんの姿勢に習うべきところが多いですね。

安藤忠雄の建築

上記の通り、私は建築に対する知識を有しているわけではないので、専門的なことは分かり兼ねます。

しかし、当著書において、安藤さんが建築において大事にしていることが述べられていたため、軽く触れさせていただきます。

・周りの風景との調和

新しく建物を作る際に、もともと存在した周辺の建築物や景色とうまく調和するような建築物にすること。

・自然との共生

建築物に風や緑など、自然の要素をうまく取り入れて、自然とともに生きる建築を作ること。

上記2点が、安藤さんが建築において大事にしている観点だそうです。

これを知ると、安藤さんの建築を実際に体感してみたくなってきませんか?

安藤忠雄が願うこと

安藤さんは当著書にて、折に触れて繰り返し述べていることがあります。

それは、人々の間に「野性を取り戻させる」べきだということ。

ここでの野性とは、何を意味しているのでしょうか。

野性とは、個々人の強い意志に繋がる源泉です。

本能レベルで湧き上がってくる、あれをやりたい、これやりたい、という思い。感情。それは情熱と呼んで然るべきものかもしれません。

現代の人々は、知性を有している者は多いが、野性を有している者は少なく、非常に勿体無い。

ここで、当著書から核となる一節を引用します。

野性を残した子どもたちが知性を身につけ、自らの意思で世界を知り、学べば、日本を生まれ変わらせる可能性をもつ人材が育つだろう。この国が再び生き残るには技術革命より、経済より、何より自立した個人という人格をもつ人材の育成が急務である。(安藤忠雄『仕事をつくる』日本経済新聞出版社,2012,p.247-248)

この一節が、安藤さんが当著書で最も伝えたいことであるとわたしは読み取りました。

かくいうわたしも、安藤さんのおっしゃる、野性を損失したまま大人になった一人であると、この一節を読んで、はっきり自覚しました。

野性と知性を共存させ、自立した個人となることで、世界を変える一員となる。

現代に生きる人々は、わたしと同じように野性を損失したまま大人になり、漠然とした停滞感を抱えて生きている人々が多いと思います。

そんな我々に喝を入れるような、たくさんの荒波を乗り越えてきた安藤さんだからこそ発せる愛情のこもったメッセージではないでしょうか。

まとめ

当著書から学べることが多すぎて、長くなってしまいました。反省。でも後悔はしていない。

当記事の内容をまとめます。

・責任ある個人として不安や孤独に立ち向かいながら、勇気を持って常に新しいことに挑戦すること。そしてそれを実現するために、たくさん行動すること。

・野性と知性を共存させ、自立した個人となることで、世界を変える一員となること。

安藤さんから我々へのメッセージは、安藤さんご自身の経験に裏打ちされているからこそ、強い力を持って私たちに発されています。

そのメッセージをどう受け取るかは、私たち次第です。

最後になりますが、わたし自身を含め、野性を取り戻し、自立した個人が増えることで、世界がより良くなることを願って、筆を置きたいと思います。

長くなりましたが、ご高覧賜り誠にありがとうございました。


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