『ルビンの壺が割れた』
⚠️感想です。未読の方はオススメしません。
読了後感想一言目、人間怖。
いや、多分それに尽きると思う。
語られる過去の話と登場人物から、それぞれの本性と結末を予測できた人はいないでしょう。
何かはみんなあるんだろうな〜とは思ってたけど、全員それを上回りつつそれぞれちゃんと最悪。誰も幸せになってない。笑
結局みんな良い人そうに見えて本性はわかんないんだな、語り手も含めて。って思っての人間怖。だったけど。
その後ぼんやりこの話について考えてたら、じわじわ別の怖さが出てきた。
え、この「語り手」、全部わかった上で前半あの書き方してたの???
当たり前だけど、あとから徐々に本性を知っていく読者と違って主な語り手の水谷一馬はそれぞれの登場人物が本当はどんな人で、本当はこの時どんなことをしていたのかも全部知っている訳で。
そう考えるとむしろ前半の、それぞれの登場人物がいかにいい人か、優れた人か、この人に恩があるかをエピソード付きで滔々と語っているのがめちゃくちゃ怖い。
全部知った上で最初から読み返すと『自分はこんなにこの人を信頼していたのに』『こんなに感謝していたのに』『愛していたのに』という恨み節が最初から大声で叫ばれてたようにしか見えない。
それも、『周囲の人間を一人残らず恨み憎んでいる殺人鬼』が『最も憎んでいる元婚約者』に向けて。
あとからじわじわきた。人間、怖。