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(博士課程)PIとPhD学生それぞれの役割と責任とは


自己紹介 

アメリカコロラド州の大学で化学PhD過程をしています、にょらべーです。
現在は博士課程2年目で専門はenzyme kineticsとqunatum dotsです。どちらも癌治療に使用される薬のもととなる化合物の活性を調べるための研究です。
元々は有機合成のラボにいましたが、色々とあって現在のラボに移ってきました。
僕のPI(指導教授)は70歳女性のヨーロッパ人です。ラボは有機合成、無機合成、これらの化合物の安定性・生物的活性の分析など広範に行っています。

PI(指導教授)とPhD学生の役割と責任について考える

キッカケ

本記事のタイトルを考えるようになったキッカケ:
最近PI(僕の研究室のボス:指導教授)とあることで口論になりました。結論としては、お互いにmicommunicationがあったのが原因でしたが、それでも彼女が理不尽に僕に対して必要以上に激昂してきたので、こんな理不尽な扱いをあと4年間以上も受け続けるのか….もういっそ辞めてしまいたいな….と絶望していました。

彼女は70歳なので、歳のせいですぐに短気になりやすいのかなと思います。また、多くの場面でPIとしての資質(資格・威厳)を疑うようなことがあります。
例1:めちゃくちゃ基本的な誰しもが知っているべき化合物名を間違えたり、その構造式を忘れて描けなかったり。
例2:学生と議論になった際に、明らかにPIが間違っているのに(勘違いをしている)、それを認めようとしない or 自分が正しいと思ったことを信じて辞めない・語気を強めて主張する。学生側としてはそれが間違っていることは自明。

と、こういうPhD学生を束ねるPIとしての資格を疑うようなことがめちゃくちゃ頻繁にあります。特に必要以上に叱られたりと、これらがキッカケで、もう辞めたいな・この人の下で働き続けるのはめちゃくちゃ時間の無駄ではないか???と考えるようになりました。ただ、僕はまだ完全に関係を諦めているわけではないので、少しでも自分の現在と将来のプラスになるように、またよりお互いに働きやすくすることはできないか探りたいと思い、この記事を書くことを決めました。書きながら頭の中を整理することが目的&解決策を模索することが目的です。

タイトル

まだ自分でも頭の中が完全に整理できておらず考え続けている途中ですが、現時点での僕の答えはこれです。
🔴PIの役割:

  • ラボ運営のための資金の確保
    政府や企業から研究を進めるための資金を、grant proposalという書類を出すことにより確保しなければいけません。これには現状の研究エリアがどうなっているのか、また今後それらを発展するためにどう自分達の研究が役立つのか、をデータと論理を用いて説明する必要があります。
    自分のPIは70歳くらいのため、年々考える力・記憶力・書く力が衰えていると感じます。なので正直ここに関しては、自分の将来がもの凄く不安です。このPIの下で本当に卒業できるのか…等。

  • 全学生の管轄とメンタリング(メンタルケア)
    下記の学生の役割で書いていますが、PhDを続けることは本当に大変です。様々なことを自分の日常生活と同時にこなさなければならないため、メンタルが壊れたりやられるのは日常茶飯事です。そのため、Phdプログラムの大半の人間がメンタルヘルス問題を抱えており、その改善と治療を目的にカウンセリングに通う人が本当に多いです。カウンセリングをしていても精神を病む人は多く、学生の中には最悪の場合、酒や薬に溺れたり、自殺をしてしまう人も珍しくないです。
    そのため、PIが学生を励ましたり、ポジティブに勇気づけることが、PhDという狭い社会でPIという唯一のボスを持つ学生にとっては重要だと思います。

  • 研究室の状況把握、問題改善のための提案&イニシアティブを取ること 
    僕の研究室では最近3週間を使って、ラボの大掃除をしました。EPAという政府の機関が~5年に一度各研究室を視察にきます。それが近々あるため、過去の卒業生達が残してきた負の遺産(彼らが片付けず、PIと当時の研究室が放置し続けてきた正体不明の化合物や汚れ等)を僕たち現存の学生で処理&掃除することになりました。正直、なんで俺たちがこんなどうでもいい雑用をしなければいけないんだと憤慨しています。
    僕個人の見解は、この問題の最終的な責任はPIにあると思っています。なぜなら、これらの負の遺産の中には15年以上前の物もありましたし、多くのものがラベリングされていませんでいた。(酸性orアルカリ性, 有機物質or水性かが全く正体不明な物体のため、非常に危険で処理するのはもの凄く嫌でした。)
    なので、これらを今まで放置し続けたPI(仮にその存在を知らなかったとしても同様)に大きな責任があると考えます。
    つまり、こんなめんどいことになる前に、PIが普段から現状の状況把握と問題が発覚した際にはまず先頭に立ってinitiativeを取り、学生に改善のための声掛けをその時点でする必要があると考えています。
    (今回のように後々になってからではない→将来の無関係な学生に大きなストレスと不必要な労働が課される)

  • 学生を信じ、ポジティブなサポートを続けること
    これに関しては、自分のPIは結構よくやっていると思います。ここまでで色々不満等を書きましたが、本来の”人”としての性質は普段接していて良い人であると思います。例:自分や他の学生が研究データがなかなか取れず自信喪失している時には、励ますことを忘れずに行い、常に学生を元気づけようと心がけているのが伝わります。
    正直これらのPIの役割の中から1つだけ選ばなきゃいけないとしたら、これが一番重要なんじゃないかなと最近は感じています。最悪の場合、学生を信じて励ましてさえいてくれたら、学生としては”もう少しだけ頑張ってみようかな、ゆっくりでもいいから着実に自分にできることをやってみようかな”と精神を持ち直すキッカケになると思います。

🔴学生の役割:

  • 常に自己をself-motivateし続け、与えられた研究プロジェクトを進める・発展させる
    同じ研究室の友達にもこのことは相談しましたが、その友達が言っていたことは ”PIは既に彼ら自身のPhDを持っているためこれ以上彼ら自身をpushする必要はない。Pushする必要があるのはまだPhDを持っていない俺ら自身だ。だからどれだけキツくてもPhDを得るためには、自分自身を常にmotivateし、keep interestedし、やっていくしかない。
    与えられたことをこなすだけで得られる学士と違って、PhDは自分で考え行動し続け、その結果としてその称号を得られるかどうかの場所・それだけ大変な場所なんだよ。” 

  • 5~6個以上の色々な事を同時に進めなければならない。めちゃくちゃキツいし辛いが、それができなければ最終的にfailをすることになり、PhDプログラムから去ることになる
    これはPhD過程を1年間やってきてわかったことですが、最初の2-3年間はラボにも寄るが、TAとresearchそしてその他のどうでもよい雑用等を複数同時にこなさなければならない。もちろんこれらの締め切りを過ぎることは許されません、何かの形で必ずペナルティーが後にあります。
    普通に考えて無理だろ!?頭おかしいんじゃないのか??という無理難題や理不尽な責任を押し付けられたりと本当に色々なことがあるし、起こります。それでもそれらをなんとか片付け、本業の研究を進めなければいけません。正直めちゃくちゃきついです。

最後に

ここまで読んでくれてありがとうございます。
今回はPIと学生それぞれの役割と責任について書きました。
書いている中で、少しずつ心のもやもやと頭の中の思考が整理されてクリアになっていくのを感じました。目的達成ですね(嬉しい🥲)

読んでいて少しでも参考になったり、興味深いと思ったり、共感してくれたり、またコメントしていただけたら嬉しいです。それではまた。





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