保健室のアン・ウニョン先生 チョン・セラン著 斎藤真理子訳
BB弾の銃とレインボーカラーのおもちゃの剣を鞄に入れて、見えない何かと常に戦っている保健室のアン・ウニョン先生。
子どもたち、学校、世界を救いたいと思っているわけではない。使命なんて言葉は好きじゃない。しかたない…という感じで立ち向かうところがなんともカッコいい。
さらっと読めて、楽しかった。Netflixでドラマ化も進んでいるらしいので、ドラマになったらウニョン先生役はだれかな?インピョ役は?と考えるのも楽しい。
でもただ楽しい保健室の先生と高校生のエピソードというわけでもない。クレーン車につぶされてしまった昔の友達、「ボランティア活動認定証」を偽造する男子高校生たち、集団暴行を受けてしまう女子高校生カップルなど、今の韓国の問題も垣間見える。
穏健教師パク・デフンの章では歴史教科書の問題を扱っている。著者のチョン・セランさん大学で韓国文学と歴史教育学を専攻している。この章の最後パク先生の言葉は印象的だ。
「後から来る者たちはいつだって、ずっと賢いんだ。この子たちなら僕らよりはるかにうまくやれる。だからあのばかばかしい教科書を拒否できてよかったよ。」
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