「菜食主義者」ハン・ガン著 きむ・ふな訳 CUON
今年お正月に読もうとうちに持って帰っていた本。ハン・ガンさんの本は「少年が来る」「すべての 白いものたちの」を読んでいて、私が読む3作目の作品だ。
年末にあったKBOOKフェスティバルのトークイベントも見たし、他の韓国文学の著者よりもなじみがあった。そして、時々話に出ていた「菜食主義者」についても、なんとなく欧米のベジタリアンのモデルをイメージして、こんな本だろう、あんな話だろうと想像していた。
なので、お昼の時間になんとなく、読んでみるかな…と軽い気持ちで手に取った。そうしたら、想像とは全然違った。完全に、まったく想像を超えた物語だった。シンプルなブックデザインからは全然考えもつかないほど、生々しかった。
読み終わると「菜食主義者」というタイトルが、恐ろしいほど胸に迫ってくる。いや、もう菜食主義者ですらないその終わり方に呆然とする。やわらかな声で、おっとりと語るあのハン・ガンさんのトークイベントが遠い昔のようだ。
でも、そういえば私は「少年が来る」を、百書店大賞にも選んだし、ここ最近で一番印象に残る本だと話してきたけれど、再読することが今もできないでいる。ハン・ガンさんの書くものは、そうだった。そういうものだった。と、改めて思い起こされるような、そんな本だった。
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