“趣味がない”という悩み
某ヘアケアブランドのトレーナーと打合せの合間に
ある悩みを相談されました。
「“趣味がない”ことでつまらない人間に感じてしまっている」
と言うのです。
彼女は社歴14年のブランドの顔とも言える立場の方。
自社製品をこよなく愛し、
打合せ度に語って下さるブランド愛に満ちたの製品情報は、
毎回聞き入ってしまうほど魅力的。
自社製品をしっかり使いこなし、
いつ会っても美しい髪と素敵なヘアアレンジで
その姿に憧れを抱いていました。
そんな彼女が、
「何か始めなければと焦り色々調べては見るものの、
やる気が起きずに結局何も出来ていない。
やらなければと焦るばかりで、空回りして落ち込む」
と言うのです。
自分も過去に、
趣味がないことをコンプレックに感じていたことを思い出しました。
外資系コスメブランド務めの頃
趣味が仕事、急な長期出張も厭わない仕事の仕方。
暇な時は時代の最先端美容成分を調べ、
新製品情報をひたすらリサーチ。
休み前の楽しみは深酒。
なぜなら起きなくていい休日だから。
休日はダラダラと過ぎてしまい、
また仕事の繰り返し。
当時の私の悩みも“趣味がない”ことでした。
母親からも
「なにか趣味を保ったほうが良い。
あんたの性格は、仕事がなくなった時心がポキっと折れそうだから」
と言われていたほど。
言われても、
“仕事以外にやりたいことはない、無いものはない”
と、いつも反論していたぐらいでした。
習字、お茶、プール、テニスと
多趣味な母親を羨ましく思いながらも、
何かを始めたいなどの感情は全く湧きませんでした。
趣味がなかった頃、
「趣味は?」と聞かれることが本当にストレスでした。
偶然の出会いから、
現在「趣味は?」
の質問が怖くありません。
上手くなりたくて必死に稽古に励む合氣道、
気分転換の麻雀、
合氣道上達のために始めた水中トレーニング。
合氣道に出会ったのが49歳、
麻雀との出会いは50歳、
水中トレーニングは最近からなので53歳から。
“そもそも趣味はなければならないのだろうか?”
と、ふと考えてしまいました。
確かに趣味が多い方は充実しているように見えるかもしれませんが、
私から見れば彼女は十分充実している印象。
没頭出来る仕事があり、
身を置くブランドの製品も心から大好き。
ストレス発散の家飲みも十分楽しい過ごし方に感じます。
「趣味は焦って始めるものでもないと思いますし、
かえって苦痛になるぐらいの趣味なら無い方が言いのでは?」
そう伝えると、少しホッとした表情に。
趣味との出会いはタイミングでしか無いと思っています。
私の場合、今は仕事以外に没頭できるものがあり、
それはそれで幸せなことだと感じます。
合氣道に関しては、
これがないと感情のリセットが出来ず、
気持ちの整理もつかないぐらいの存在になりました。
でも、
合氣道に出会ったのも全てタイミングでした。
きっかけはヘルニア再発防止でしたし、
無理に探したわけでもありませんでした。
趣味とは偶然の出会いだと思っています。
無理やり探す必要も
焦って始める必要もないと思います。
もし“趣味がないことに焦っている方がいるとしたら”
そんな想いから、
こんな文章を書いてみました。
美容スペシャリスト猪越理恵は美容業界歴29年、コーチ歴19年のキャリアを生かし、サン・ティトル株式会社を設立。大手化粧品会社や美容機器メーカーのコンサル・商品開発・メソッド開発・人材育成等を支援しています。 https://www.rie-inokoshi.com/