ぬくもり
右腕だけどんどん温かくなってくる
襲いかかってくる睡魔に負けたあなたは
スマホを片手に体重を少しずつ預けた
見ず知らずのわたしに
肘で小突くこともできたけど
席を立ってしまうこともできたけど
そのまま預かることにした
本に目を落としながら
ぺこり
何度か現実に戻っては詫びるように軽く頭を下げ
そしてまた夢の世界に羽ばたいて行く
どうして朝からそんなに眠たいの?
ピンクに髪を染めたのはいつ?
ページをめくりながら心の中で問いかける
乗り過ごすことはなかった
あなたはさっと席を立ち降りていく
何事もなかったかのように
貸した肩に残ったぬくもり
人って温かいんだね
うっかり忘れるとこでした
名前も知らない
声も分からない
あなたが気づかせてくれた
憧れの街への引っ越し資金とさせていただきます^^