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山の記

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山に関するエッセイとか、フィクションとか
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#大分県

私はなぜ山へ行くのだろう?

私はなぜ山へ行くのだろう?

 なにか欲があるとすれば、私の感性を揺さぶりその震えを肉体にも伝えてくるものが欲しい。美術や音楽の鑑賞では、肉体的な揺れを感じることは稀だけれど、脳の中で起こっている波紋の広がりは確かだ。その波紋はいずれ、過去や未来を行き来しながら言語や形あるものへ作用する。

 山へ登るときは目的がないときもあるが、私が本質的に求めていることは、肉体的な揺さぶりだと思う。見たかった対象があろうがなかろうが、やり

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裸の原生林◆大船山(2018/3/14)

裸の原生林◆大船山(2018/3/14)



 男池に入り川のほうへ足を進ませると水鳥たちの羽ばたく音が響いた。ぼんやりしていたのでそれで目が覚めた。以前はこの時期の景色は味気ないと感じていたけれど、人間の裸だって美しいように幹と枝と落葉だけの原生林もとても美しいと思った。
 風が吹くと、枝に残ったままの枯れ葉がカサカサ音をたてる。キツツキのパーカッションやある鳥のソプラノ独唱、別の鳥のトランペットソロパート、指揮者のいない森の音楽は自由

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二月の山歩◆藤河内渓谷観音滝(2018/2/12)

二月の山歩◆藤河内渓谷観音滝(2018/2/12)

 冬の中でも二月が好きだ。それは山を始める前、梅の月だと知ったときからだと思う。寒い日々が常になり慣れてきた頃、ふと薫る庭先の色。暖かな日差しと、鳥の囀りが空から降りそそぐ午後。寒さが続くのも、あとほんの少し。里ではそんな気配がしている。

 山はどうかというと、まだ雪と氷の世界。といっても九州の山なので雪国とは訳がちがうけれど、三月の気まぐれの雪に比べれば儚さもなく、寒々しく凛々しい冬山の雰囲気

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