どんな環境にも人は慣れます。

 記憶が確かであれば、僕が初めていわゆるサポート・ミュージシャンをやらせて頂いたのは桑名晴子さんのサポートであった。だが晴子さんは比較的自由でいわゆるスタジオでやるような普通のリハーサルと言う物はやりたがらない人で、ジャズのセッションみたいに当日会場でのサウンド・チェック兼リハみたいな感じで、歌詞カードの上にコードだけが書いてある(いわゆる今で言うUfretとかああいう感じ)ペラを頼りに、実際晴子さんが弾くのを聴きながら、「ここは2拍ずつで、ここは3拍と1拍なのね」とかを実感しつつ、メモ出来るタイミングがあればメモして、そうでなければ全力で覚えて本番に臨む、と言うもの。それはそれでスリリングで楽しかったなあ、なんて思う。

 その後いわゆるスタッフさんとかもスタジオにいて「この曲とこの曲は繋げよう」とか「ここはしめよう」とかスタジオのリハーサルでああでもない、こうでもないとちゃんとした感じでやるのは東野純直君のサポートが最初だったように思う。いや〜、当時は自分が作ったわけでもない曲(それまでのバンドでは僕は結構メインの作曲者であった。作曲者はそりゃあその曲弾けるので、人が作った曲やフレーズをそんなに沢山弾くと言うのがそもそもプレッシャーであった)を17〜18曲も、果たして覚えて弾けるのだろうかと、最初はとても怖かったのを覚えている。

 とまあそこから数十年。昨日陣内大蔵さんの唯一のリハを終えて(まあ譜面は見るんですけど)そのぐらいの曲数をこなすライブを明日に控えている自分。正直、全く不安は無い。何でかと言うと、こう言う事に慣れてしまったから。と言うわけで今新しい事に挑戦していて不安を覚えている皆さんに声を大にして言いたい。「大丈夫ですよ、何回かやれば、嫌でも慣れます」と。

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