最初から欲張らない。

 僕個人「初見の譜面を見て演奏したり、歌ったりする」と言うのは正直得意なほうでは無い。かつて幾つか頂いたその日に配られた譜面を見ながらレコーディングしたりする仕事(やはり譜面が不得意なのはバレるようで、僕に回ってくるようなレコーディングの仕事は殆ど事前に資料を頂けるものであった)の時はもう本当にヒヤヒヤだった。僕はタバコを吸わないので、みんなが喫煙所に行っているスキにこっそり譜割りや音程を確認したりして…。

 今年からやらせてもらっている「教科書を見ながらソルフェージュ的な事をする授業」。これで学んだのだが、譜面が苦手な人って、いきなり全てを把握しようとしてしまうのだと言う傾向に、今日気がついた。いやいや、段階を踏みましょうよ。だって譜面苦手なんでしょ? だったらまずは「タン、タン、タターン」とか譜割りのみ。それが出来てから初めてそれに音程を付ける。それもクリアして、初めてそこに歌詞を付ける。とにかく段階を踏んで進んでいけば結局早いのでは無いのかと思う(これ、若い時の自分に教えてあげたい)。

 こうやって世の中の全ての物事って段階を踏んでちょっとずつ良くなれば良いのだと思う(と言うか恐らくそれ意外にやりようが無い)。プロ野球のピッチャーになろうとしていきなりナックルボールを練習する人がいないように、まずは直球から。そう考えると「プロ野球のピッチャー」と言う妙に明確でしっかりしたゴールなんかは定めずに「なんとか好きな野球だけして笑って暮らして行けないかな」みたいなボンヤリした目標を立てたほうが良いのかも(もしくは全く目標を立てないとか)しれないなあ、なんてボンヤリ思う今日この頃。少なくとも僕にとってはボンヤリした目標に向かってやんわりと努力(←本当にしましたか?)する生き方のほうがあっているんだろうなあ、そして今までのところはそういう人生を送って来られてラッキーだったな〜、なんてしみじみと感じているんである。


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