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「My Funny Valentine」を使って「マイナー・メジャー7コード」をはっきり理解しよう。

 僕もけっこうな年齢になるまではっきりと理解していなかった「マイナー・メジャー7コード」と言うコード。ちょうどチェット・ベイカーさん版の「My Funny Valentine」(キーはCm)の2つ目のコードとしてCm△7(これで「シーマイナー、メジャー7」と読みます)コードが出てくるのではっきりと理解してしまおう(△7だけにテンションノートみたいにカッコを付けて表記する場合もよくあります。または三角の代わりに大文字のMの場合も…)。

 マイナー・メジャー7コードと言うのはつまりこの曲のこの2つ目のコードなら、Cmのルート(1度)のC(ド)、マイナーサード(短3度)のEb(ミb)、パーフェクト・フィフス(完全5度)のG(ソ)の3和音の上に、一般的にはこちらが積まれるであろうマイナー・セブンス(短7度)のBb(シb)では無くて、敢えて半音高いメジャー・セブンス(長7度)のB(シ)を乗せた不安定なもの。

 僕が若い頃に混同していたのは、トップノートでは無くて、ベースが半音下がるパターン。これは99.9%の確率でG/B、またはGonBと表記される分数コード(と言うか展開形のコード)である場合が多い。Gコードのルート、3度、5度の「ソシレ」の中で、敢えて長3度の「シ」を最低音にしているコードと言うわけだ。

 ならばマイナー・メジャー7コードのメジャー7度を最低音にする「Cm△7/B」とかCm△7onBというコードは無いのかと問われると、99.9%の確率で無いと言ってしまって良いだろう。何故なら最低音がBだとその上で誰かがルートのCを弾いたら2つの音がb9の関係になってしまって当たって(響きが不協和になって)しまうから。

 事実このチェット・ベイカーさんのヴァージョンでは、ベースは最初のコードCmの時は(ド〜ド〜)と1オクターブ上がって、次のCm△7のときも後半こそメジャー7のシに上がってその音を弾いているが、ちゃんと最初に(ド〜)というルートを弾いてから上がっている。

 ちなみにその2つ目のCマイナー・メジャー7・コードの時のメロディは「レミレ〜」で「ド」は出て来ないので、もしここをリハモしてGonBにしてもメロディとコードは当たらない。なのでそういうコードに変えて演奏している人たちもきっといるのだろうとは思う。

 まあ僕はこの曲(このヴァージョンの)を聞いた時に初めて「あっ、マイナー・メジャー7ってこういう事か」と腑に落ちたので、もし曖昧なままの人がこの機会に理解して貰えると嬉しいな、なんて思う。と言うわけで皆様、ハッピー・ヴァレンタインです!!!

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