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とにかく最高だから『スコット・ピルグリム テイクスオフ』を観て欲しい


きっと大ハマりする『スコット・ピルグリム テイクスオフ』

人生を変えるような出来事は突然にやってくる。
このアニメの主人公スコット・ピルグリムがヒロインのラモーナ・フラワーズに出会ってからのように。
そして、私がなんとなくこのアニメを見始めたけど、面白すぎてアニメオールタイムベストにランクインしたように。

カナダのトロントでインディーズロックバンドのベーシストをしている主人公スコット・ピルグリムが夢の中で見かけた女性ラモーナ・フラワーズに一目ぼれすると、現実でめぐり逢いをします。
両想いの恋をするものの訳アリ、癖アリの元カレ軍団に阻まれる戦いを描いた物語、それがスコット・ピルグリム。

原作は漫画でカナダ出身のブライアン・リー・オマリー、作中元カレ達と戦う戦闘があり、その表現方法は現実世界のはずなのにそれぞれ能力を持っていたり、得意な武器を持っている格闘ゲームのようなオマージュがあります。タイトルロゴもストリートファイターっぽい。

また敵を倒すとコインが出てくるというRPGのようなゲーム要素があって海外の作品でも身近に感じれる。

作者のブライアン・リー・オマリーは漫画を描くにあたって『サルでも描けるまんが教室』という日本で発売された漫画製作の入門書を参考にしたと明かしており、キャラクターの一人に忍者のキャラがいたりするため、様々な角度から日本のカルチャーの影響を受けていると思えるため親近感が湧くのかもしれません。

そしてアニメは海外のアニメ制作会社ではなく『映像研には手を出すな』や『四畳半タイムマシンブルース』などを生み出している日本の制作会社「サイエンスSARU」が制作しています。

2011年に実写映画化もしているのですが、映画とアニメではストーリーが全く違い、いわばアニメはリブート版です。

ちなみに映画もパッケージを見るとコスプレ感満載で不安な気持ちにしかならなかったですがとても面白いです。

(映画を観るともっとアニメを楽しめる演出があるので映画も見て欲しい)

監督は『ベイビードライバー』や『ラストナイト・イン・ソーホー』を手掛けたエドガー・ライトでセンス抜群の映像が多く、脇を固める脇役には『ホームアーロン』主演のキーラン・カルキンやクリス・エヴァンス、ブリーラーソンが名を連ねています。
英語verでは映画で出演していたキャストがそのままアニメのの吹き替えを担当しているかなり粋なキャスティング。

日本語verも主人公が下野紘さん、ヒロインがファイルーズあいさんだったりキャラに凄く合っています。ちなみにクリスエヴァンスが演じていたキャラはちゃんと中村悠一さんが演じてくれています。

それとOPがネクライトーキーの『bloom』という曲で作品との親和性が抜群です。YouTubeにOP映像が上がっているのでそれだけでもチェックしてみてください。

スコットピルグリムと邪悪な元カレ軍団

前置きが長くなりましたが、アニメ『スコット・ピルグリムテイクスオフ』が私の中でオールタイムベスト入りするくらい好きな作品になった理由はキャラクターがとにかく全員面白いのと、王道性と意外性のバランスが絶妙で全8話という1クールにも見たない話数のスピード感が堪らないからです。

ストーリーは先程の通り主人公スコット・ピルグリムが夢の中で見かけた女性ラモーナ・フラワーズに一目ぼれして、現実でめぐり逢いをします。
両想いの恋をするものの訳アリ、癖アリの元カレ軍団に阻まれる戦いを描いた物語。

このあらすじを見るとスコットが元カレ軍団と戦い、倒してラモーナと結ばれる展開になりそうですが、なんと1話でスコットが元カレ軍団の1人との闘いで消失してしまうのです。

そのため、アニメではスコットが何故消失したのか、犯人は元カレ軍団なのかそれとも他の誰かが消失させたのかをラモーナがトロントを駆けまわり、話を聞いたり戦いながら進んでいくミステリーっぽい話になっています。
話が進むうちにラモーナが元カレと再び対峙することで過去を振り返りながらそれぞれの登場人物のコンプレックスや嫉妬に気が付いたり、スコットの知り合いから知らない面を教えてもらうことで成長して彼をより好きになっていくのがアニメの見どころ。

ラモーナのスコット探しを阻む元カレ軍団との戦いは王道的で、だけど元カレ、スコットの元カノ、今カノ?その友人と8話の中でテンポよく話が様々なところに飛んでいき最後の決戦は激熱展開で最終的には大ハッピーエンドを迎えるのでとにかく面白いです。

くせになる登場キャラクター

主な登場人物は主人公スコットとヒロインのラモーナ、同居人やバンドのメンバーそして元カレ7人衆です。

スコット・ピルグリム

『セッ◯ス・ボブオム』という売れないバンドのベース担当でお金がなく友人のウォレスの家に居候をしたり17歳のJKファンと形式的に付き合っていたりとだらしないですが、見ていて飽きない男です。
物語の世界では戦闘ランクのような設定がありAランクと強い方で、以前付き合っていた彼女が不良集団に連れ去られた際、1人で救いに行ったり元カレ軍団の強襲にも怖気ずに立ち向かう喧嘩強さがあります。
また、夢に見た女性のラモーナに出会うために探し回ったり、ラモーナが働いている宅配レンタルショップで彼女がDVDを宅配しにくるのを待つために三日三晩寝ない行動力と忍耐力があります。

ラモーナ・フラワーズ

アメリカからカナダに越してきてレンタルビデオ店でバイト中。
変わりまくる髪色とゴーグル、ローラーブレードがトレードマークな女性。
スコットとはライブハウスを訪れた際に出会いました。
夢の中で出会ったことがあるのは本当でラモーナは現実ではない空間を伝って別の場所に行けるワープのような能力を使えるためスコットの夢を道として使っていたから。

スコットと付き合わせないために元カレ軍団が結成する程魅力的で魔性的。

飽きっぽくて自由奔放な性格なため別れのきっかけはすべてラモーナで元カレ達は彼女に対して未練と恨みを抱いています。
週に1回は髪の色を変えるというポリシーで、その自由さがよく感じられ、ダウナーさとキュートさが融合した、見事なキャラデザだと思います。

作中でクールな発言が多く、元カレ軍団の1人にインド系の男性がいるのですが彼と付き合った理由が「当時白人スポーツマンにモテる時期だったから逆に根暗で真面目そうなインド系と付き合った」と作中イチロックなキャラでもあります。

スコットとラモーナが出会い恋に落ちていき、いちゃいちゃするシーンもあるのですが、キャラクターデザインはカートゥン系なのに思いっきり大人なキスをするシーンがあります。その他、スコットの同居人ウォレスは魅力的なゲイという設定で、男をたぶらかして落とすシーンがあったりと愛情表現がかなりセンセーショナルでデザインとのギャップが面白いです。

ラモーナはスコットが消失した理由を明らかにするため、元カレと再会していき、過去を清算していきます。
その元カレ軍団は『邪悪な元カレ軍団』という肩書がついている程、訳アリ癖アリで全員めちゃくちゃ面白いので紹介させてください。

マシュー・パテル

先程話に出たインド系の男性です。好戦的でスコットを最初に襲いかかり、彼との戦闘中にスコットは消失したため彼が一番の容疑者でもありました。
さらスコットが消失した後、元カレ軍団の中で一番の成功者に戦いを挑み資産を奪ったりなど狡猾な面もあります。
ちなみに映画ではラスボスです。

ロキシー・リヒター

元カレ軍団の中で唯一の女性、そして何故かくノ一。
ロキシーとラモーナは大学時代に同居していて、ロキシーはレズビアンとしてラモーナのことが好きで「同居する程の仲だからきっとラモーナも私の事を……」と思っていたもののラモーナにはその気がなかったため、彼女に弄ばれたと逆恨みをしています。
ロキシー対ラモーナの戦闘シーンはめちゃくちゃ作画凄いし『キルビル』のオマージュシーンがあったりと楽しめます。

ルーカス・リー

カナダ映画界のスターでスケボー大好き人間。
映画だとクリスエヴァンスが演じているのでオーラが半端ない。
ルーカスがスターと言われる前に2人は付き合っていて、ラモーナに振られたことがきっかけで見返してやろうとスターを目指した野心家ですが、スターになった今はファンをないがしろにして傲慢さが目立ち人気が急落中。

トッド・イングラム

このキャラだけSF過ぎて、これから紹介することは理解してもらえないかもしれませんが、気楽に読んでください。
菜食主義者で、この作品の世界では菜食主義者ならヴィーガンパワーという超常的な力を手に入れられ、その力を使って戦います。
ちなみにパワーを使うとスーパーサイヤ状態みたいに髪の毛が逆立ちます。
ヴィーガンになると引き換えに超常的な強さを手に入れられるけど、結局そんな力よりも肉が食べたくなるというオチになるのが若干菜食主義者を皮肉っていて大好き。

ギデオン・グレイヴズ

「no fear(恐れ知らず)」と書かれたTシャツを身に着けている男、しかし見た目はメガネで前髪が目にかかっている欧米でいうナードなキャラ。
高校時代カースト上位の女の子に『僕と付き合った方がいい理由』みたいなレポートをプレゼントしたりするのでそういう意味では恐れ知らず。
資産家であるもののマシュー・パテルにすべてを奪われ、ラモーナとはあまり関わりがありませんが意外なハッピーエンドを迎えます。
声優が関智一でとても声が良い。

カイル・カタヤナギとケン・カタヤナギ

日本人の双子でどちらもラモーナの元カレ、同時期に付き合っていた時期もあるので改めてラモーナの男遍歴がやばいと思ってしまう。
アニメでは出番が少ないですが、結構大事なキャラ。
ちなみに日本人キャラということもあり映画版では実写版『タッチ』で上杉兄弟を演じた斉藤慶太さんと斉藤祥太さんが演じています。
たぶん、ストリートファイターのケンとリュウがモチーフ。

作品の醍醐味を語る ※ネタバレ注意

ここから『スコットピルグリム テイクスオフ』を勧めたい理由をもっと深く語りますが、スコット消失の謎についてをネタバレせざる負えないので嫌な方は注意です。

スコット消失を仕掛けた主犯は元カレ軍団ではなく、タイムマシンで15年後から来た年上スコットでした。マシュー・パテルとの戦闘中、年上スコットがスコットを連れ去ります。

その理由ですがスコットが消失しなかったら、彼は元カレ軍団を全員倒してラモーナと付き合い結婚します。しかし、それは一時的な幸せで将来的に別居してしまう未来が待っていました。
未来スコットは元カレ軍団との戦いに巻き込まれなければラモーナと結ばれることはなかったと考え、スコットを過去から連れ去り説得しようとしたのです。

ここまでは過去改変する物語のよくある流れですが、実は未来スコットが過去改変の計画を実行したのと同時に、別居している未来ラモーナも一策を興じていました。

未来ラモーナはスコットのことが別居しても少し距離を置いていると思っているだけでまだ大好きでした。
そのため未来スコットがスコットを説得して結ばれることがない未来になったとしてもいいように、未来ラモーナも過去にタイムススリップしてとある計画を実行します。

未来ラモーナはスコットがラモーナと結ばれた事実を『スコットピルグリムとかけがえのない人生』という物語を書くことでフィクションとして残そうとしたのです。
もし、未来スコットがスコットを説得して結ばれなかったとしても、いつかスコットにその物語を見てもらうことでこういう人生もあったんだよというパラレルの可能性を見出してもらうように仕掛けたのです。

とっかえひっかえしていたラモーナが純粋にスコットに対して恋をしていたということが分かります。
それに未来ラモーナは未来スコットの様に直接過去に介入するのではなく、あくまで物語として残すという手段を選んだのはスコットの意志を尊重しているので優しさも垣間見れます。

さらにエモいのはそれだけではありません。
スコットは未来に連れ出されている時、タイムテレビ的な物で自分が消失した後の時間を見て、ラモーナが自分のために捜査していることを知ります。
スコットはよりラモーナのことが好きになり、将来的に別れることになっても過去に戻りラモーナと恋をしたいことを決意するのです。

こんな感じで、とんでもないSFラブロマンス展開に発展するのです。
もう、ほんとめちゃくちゃ面白いんですよ。

まとめ

Netflixでは2023年11月に配信開始されて、私がこの作品を知ったきっかけはロンドンに旅行をしていた際に本屋を訪れて、この漫画が人気で最近アニメ化していることを知り興味を持ちました。

あそこで出会っていなければ私も知らずに生きていたでしょう。
だから少しでも知ってほしいと思い記事にしました。
今見進めているアニメやドラマもあるかと思いますが、ちょっと手を止めてスコットピルグリムを見てみませんか?

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