4000メートルの高地に眠る死者の魂
1月3日(水)に放送されたNHKBSの番組「まいにち養老先生、ときどき・・・2024」で、解剖学者の養老孟司先生が28年間通い続けたブータンを訪れ人間が生きることの意味を問い直しておられました。ブータンに行くとたしかに生と死について考えさせらることが多くあります。
ブータン西部のパロ県とハ県の間にあるチェルラ峠は海抜3900メートル近い高地にあります。自動車道路としては国内の最高地点です。富士山より高いところです。現地は風がビュービュー吹き抜け、足をしっかり踏ん張っていないと飛ばされそうなほどです。場所によっては4000メートル近国もなりそうです。遠くにヒマラヤの山々も眺められます。
周囲には祈りの旗であるダルシンやルンタが数えきれないほど翻っています。特に縦長のダルシンは亡くなった人を供養するために立てるものですが、こんな高地に旗を立てるというのは風に乗せて祈りを出来るだけ遠くまで届けたいという人々の気持ちの表れでしょう。輪廻転生を信じる人たちの思いを強く感じます。
車を停めた3988メートルの地点から少し上がったところにも無数のダルシンが翻っていました。登るだけで酸欠で息が切れてきます。ガイドさんが「鳥葬」の場所を指さしました。そこまでは行けませんでしたが、ブータンでは乳幼児や子どもが亡くなると鳥葬にすることもあったそうです。今はどうなのかはわかりません。
私も数年前にブータンを訪れたときにこの場所で生と死について考え、「メメント・モリ」を強く意識しました。
参考:JICA海外協力隊でブータンに派遣された浅田 瑠理さんのインタビュー記事から↓