垂直的公平と水平的公平(学生対応から見る事例)
今日は転職、というよりは大学職員として持っておいてほしい考え方をお伝えします。聞いたことあるような話かもしれませんが、初めての方はぜひ心にとどめておいてくれれば幸いです。
①とある窓口対応にて・・・
これはとある大学職員の窓口対応でのワンシーンです。今日の窓口が閉まる17時に提出期限の書類がありました。17時が過ぎて窓口を閉めようとしたとき、ある学生が駆け込みで書類を提出したい、と言ってきました。
さて、この時あなたならどのように対応しますか?
提出時間は過ぎてしまったが、まあそんなにオーバーしてないし受け取る
一切理由を問わずにノーと言って受け取らない
一応理由だけ聞いて後日返答する
こんな感じの似たようなシチュエーション、大学職員経験者なら体験したことがあると思います。そして、これには正解はありません。学校や組織によってやり方や線引きが異なるからです。もしかしたら同じ組織でも人によって異なるかもしれません。では、こういった時どのようなことを念頭においておけばいいでしょうか?
②垂直的公平と水平的公平
私は経済学部出身なのですが、そこで税金の授業を受けていた時、「垂直的公平」と「水平的公平」という言葉を聞きました。
まず垂直的公平とは、簡単に言えば”所得税”です。多く稼いでいる人からは多く税金をもらう、という累進課税制度が垂直的公平に当たります。この制度により、所得が少ない人は収める所得税が少なく済みます。
次に水平的公平は、簡単に言えば”消費税”です。つまり、どんな人でも一律に同じだけの負担があります。100円買えば10%が消費税、という感じに。
同じように平等と公平、なんて表現もしたりしますね。下の図で見てみるとイメージしやすいかと思います。
こうした考え方は結構生きていく上で役立ちます。上の図はもはや0か100かみたいな表現ですが、この中間のような考え方もありますし、事例によっては水平的公平(平等)が適切なケースもあります。
③学生の不利益にならないように
よく文科省が言う言葉に、「学生の不利益にならないように」というワードがあります。これは、学校側の都合で学生が不利益を被って学ぶ権利を損なうことのないように、ということです。
例えば、授業に遅刻した学生に対して一切の受講を認めない、とか授業中の私語を注意して更に退室を命じる、とか。
かつては通例的にアリだったことも、今では一旦立ち止まって大学側も学生の不利益にならないかどうか考えなくてはいけなくなりました。
もちろん学生に非があるケースもありますが、識字障害や難聴、色盲などといった学習する上で困難な場合もあります。こうした学習障害を抱えている学生の不利益にならないように、大学側はどこまで配慮すべきか、これは組織でしっかり話し合って決めなくてはいけません。
④組織の考え方を掴む、話す、統一する
自分の今いる組織がどういった線引きをしているのか、これは入職してできるだけ早く把握した方が良いことです。ここら辺の認識が違っていると、学生対応で誤った案内をすることもありますし、組織の共通認識によって話が進んでしまうこともあるからです。
もしこうした認識が分からなければ早いうちに積極的に聞きましょう。そしてそうしたケーススタディをどんどん話しましょう。組織で決めていなければ、そうした認識を統一するよう促しましょう。
ただ一つ間違えてほしくないのが、学生に甘くする、というわけでは決してありません。大学は学生が成長する場です。そうした失敗も含めて、次どうアクションしなくてはいけないのか、それを教えていくのも教育の一つです。
めんどくさい、で学校側、職員側の都合を優先させないように。大学職員なんてめんどくさい仕事しかありませんから。その時々でなにが適切なのか、こうしたことを常に考えられる職員が大学をより良くしていくと思います。
まとめ・おわりに
いかがでしたでしょうか?
今日は学生の窓口対応から見る公平性についてお話ししました。
こうした公平性に関する考え方も時代と共に変化していきます。もしかしたら10年後は新たな公平性が主流になっているかもしれませんし。こうした時代に対する感覚、アンテナは常に張り巡らせておきましょう。
今回の記事が大学職員を目指す人たちのために少しでも貢献できれば幸いです。