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【要約】「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 読書記録55

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?

今井むつみ

我々の思考には無意識に使われる「枠組み=スキーマ」がある
→このスキーマがまったく同じであれば話した内容はすんなりと伝わるが、育ってきた環境や価値観、境遇が違うことからスキーマは人それぞれ異なっている

人それぞれ情報への重要度が異なっている
→言った側は覚えているが、言われた側は忘れている、が起こるのもこれが理由
→人から聞いた話や情報でもその時の自分にとって重要だと思わなければ無意識的に忘却していく

何かを記憶する際には「理解」というプロセスを経て記憶に辿り着くことを目指す方が、記憶しやすい
→「暗記」ではなく「理解」を測ろうとしているフィンランドの大学入試を受けた学生の方が、長期的に記憶に定着しやすく、実生活にも活かしやすい

「視野に入っている=見えている」ではない
→書類に記載している内容をその書類を読んだ人が全て見えているとは限らない
→見ていないのではなく、見えていない
→我々の視点は圧倒的に偏っている
→これもその人にとって重要なものの序列が異なるため生まれる

目の前のあるもの、捉えることができた一部のものを「すべて」の情報として思い込んでしまう
→「代表性バイアス」と呼ばれている
→情報を受け取る際、何かしらの偏りによりその情報が記憶になり、自分に合わない情報はそもそも頭に入ってこない
→全く同じ情報を渡しても受け取る人が100人いれば100通りの受け取られ方になる

専門性を高めること=視点を偏らせる行為である

複数人での議論の際には、自分の意見を手を変え品を変え魅力的に話すのではなく、それぞれのメンバーがどんな視点からその意見を捉えているのかを考え、懸念を払拭していくことが大切

信念バイアス
→自分が良いと思っていることは世の中全員がいいと思うと信じる偏りのこと

流暢性バイアス
→スムーズにわかりやすく説明をしているとその内容を信じやすくなる偏りのこと

ホウレンソウの無い職場は、なぜホウレンソウが必要なのか、を部下が気づいていないことを上司が気づいていない、という二重の問題が起きていることが多い
→理由を添えるだけで他者の納得を得られやすくなる
→「なぜホウレンソウが必要なのか」

感情は優れた「直感」を反映するもの
→基本的に人間は直感で意思決定を行い、その後に理性で理由を作っていく
→合理的に判断できるだけのデータが集まるまで判断しない、できない、ということは究極の非合理とも言える

抽象化することで脳への負担を減らしている
→全てを具体で記憶するには数が多すぎるため抽象化してまとめて記憶しておく

具体と抽象により伝わる伝え方をする
→相手に説明する時には「これは面の話ですよ」ということを伝えながら具体例として「これは面の中にある点ですよ」としっかり相手にわかってもらう必要がある
→点=面として勘違いされないように
→点と面が混ざっていると話が整理されておらず分かりずらい、となってしまう

意図を読むとは?
→相手がどういう視点で、どういうスキーマを持っており、この状況にどんな感情を持っているのかを推論すること」

異なるスキーマを持っている人とでもしっかりと繋がってコミュニケーションを取るためには2つのアプローチ方法がある
→①スキーマを同じにする②スキーマが異なっていても伝わる伝え方をする
→②のためには、まず前提人それぞれ偏りによるスキーマをもっており、それをベースとしたコミュニケーションしか取れないということを理解する
→相手のスキーマを推論し、暗黙の了解を言語化する

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