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解説 神は人を憐れまれた(第一説教集2章1部) #8

原題:A Sermon of the Misery of all Mankind, and of his Condemnation to Death everlasting, by his own Sin.  (罪ゆえに永遠の死に定められている人類の悲惨について)

第一説教集第2章は2部構成です。章のタイトルからすると、一見、絶望的なニュアンスを感じなくもありませんが、説教を読み進めると神の無辺の愛があります。ここではその第1部の解説をします。テーマを聖句で言えばこれでしょう。

神はすべての人を憐れむために、すべての人を不従順のうちに閉じ込められたのです。(ローマの信徒への手紙 11章32節)

この第1部のポイントは次の5つです。

①人間は罪深い土であり塵である
②神のほかに正しい者は存在しない
③人間は悔い改めて悪から離れるべきである
④神は人間を憐んでおられる
⑤すべての人間はキリストに救われる

はじめに神がアダムに対して述べられた言葉が引用されます。

「土から取られたあなたは土に帰るまで額に汗して糧を得る。あなたは塵だから、塵に帰る。」(創3・19)

アダムが土であり塵なのですから、そこにつらなる人類もまたそうであるということになります。アブラハムなど旧約世界の人物の名を多く挙げて話が進められます。イザヤの問いに対する神の答えが引用されます。

「すべての肉なる者は草、その栄えはみな野の花のようだ。草は枯れ、花はしぼむ。主の風がその上に吹いたからだ。まさしくこの民は草だ。」(イザ40・6~7)

また、新約世界のものとしてはパウロのこの言葉が引用されます。

「正しい者はいない。一人もいない。悟る者はいない。神を探し求める者はいない。皆迷い出て、誰も彼も無益な者になった。善を行う者はいない。ただの一人もいない。」(ロマ3・10~12)

人間はこのような存在なのですから、虚栄や高慢を持ってはならず、罪を告白して悔い改めることが求められます。ヨハネの言葉が引用されます。

「自分に罪がないと言うなら、自らを欺いており、真理は私たちの内にありません。私たちが自分の罪を告白するなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、あらゆる不正から清めてくださいます。」(一ヨハ1・8~9)

このような、人間が罪深い存在であり、神のほかに正しい者はいないということが、旧約と新約の両方の聖書にある多くの文言の引用によって繰り返し示されます。それを踏まえてパウロの次の言葉が引用されます。

「神はすべての人を憐れむために、すべての人を不従順のうちに閉じ込められたのです。」(ロマ11・32)
「聖書はすべてのものを罪の下に閉じ込めました。約束がイエス・キリストの真実によって、信じる人々に与えられるためです。」(ガラ3・22)

神は罪深く悲惨なすべての人間を憐れみ、キリストによって救われる準備をなされています。人類は罪を悔い改め、傲慢でなく謙虚であることによって救い主によってのみ救われることが聖書の引用とともに説かれ、第二部に続きます。

わたしたちはキリストがおられなければ何も善いことをすることはできません。「私を通らなければ、誰も父のもとに行くことができない(ヨハ14・6)」とあるとおりです。(中略)キリストはわたしたちに、祈りのなかで自分が罪人であると認め、正しさを求めてあらゆる悪より離れ、自身を天なる父の御手に委ねるようにとされています。

次回はこの第1部の試訳を投稿します。

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