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宇宙にウルトラマン、地下にチェティナード (スリマンガラム祖師谷)

こんにちは! 
久しぶりにお店紹介をしようと思います。今回紹介するのは、知る人ぞ知る南インドの料理の名店「スリマンガラム」です。チェティナード 州出身の天才シェフ・マハリンガムさんのお店で、南インドのローカル料理にスポットを当てた先駆けのようなお店です。

世田谷の地下に広がるチェティナード

スリマンガラムの最寄駅はこちら!

しゅわっち

小田急線のウルトラの星こと、祖師谷大蔵です。
私はこの駅を降りると、カラータイマーではなく、カレータイマーが点滅します… 早くウルトラ・マハリンガムシェフの料理を食べなくては。

小さな駅ですが、駅前は商店街があり、程よく活気があって住みやすそう。スイーツのお店も色々あります。

その商店街から少し脇道にそれたところに突如現れる真っ黄色の看板と見慣れない文字!(サンスクリット文字)

これが名店スリマンガラムです!おや、奥に何かいる…?

真っ黄色の壁って日本にはなかなかない

階段を降りていくと、破壊神シヴァがお出迎え!創造の神ヴィシュヌに並んでインドで民衆にとても人気がある神様で、店内にも祭壇が設けられています。シヴァの記念日には好物を出して祀るイベントも行われます。スリマンガラムのトレードマークと言ってもいいかもしれませんね。
そして、シヴァの絵もすごいインパクトですが、真っ黄色の壁もなかなかすごい。ターメリックを振りかけたような色で、初めて訪れた時は目がチカチカしました…

ランチから超現地式!バナナの葉っぱが皿代わり!?

スリマンガラムに初めて来たら、絶対食べてほしいのが、ミールスです!ミールスとはライスにさまざまなおかずがのった定食のようなもの。スリマンガラムは現地式で、お皿の代わりにバナナの葉っぱで提供されます。

2022年の時点でのメニューです

ランチミールスはベジかノンベジが選べ、更にノンベジの中でチキンかマトンかフィッシュを選べます。
更にすごいのが、+400円でアンリミテッド、つまりおかわり自由になるのです!!現地ではミールスといえば、皿が減るたびにサーブされるもですから、お腹に余裕があるなら迷わずアンリミテッドにしましょう!

ランチミールス(ノンベジ・フィッシュ)

この日のフィッシュはナンドゥコランブ(ワタリガニが具材の酸味が効いたカレー)
ナンドゥコランブはフルーティーな酸味とキリッとしまったブラックペッパーの香りに、に蟹の旨味や甘みが溶け込んでいます。蟹の身がめっちゃ甘いくて美味しい〜!
豆とスパイスの香りが豊潤なサンバル(右のご飯にかかったもの)、酸味のエッジの効いたラッサム(右上の紙コップ)、まろやかなクートゥなどどれも絶品でした。
中でも通だなぁ〜と思ったなは、カードライス

カードライス、日本にはない美味さ

カードとはヨーグルトという意味。つまり、ヨーグルトご飯です。その名の通り、ヨーグルトを混ぜたご飯なので、日本人だったらかなり抵抗があると思うのですが、これが美味いのです!
爽やかなヨーグルトと香ばしいカレーリーフとマスタードシード、そしてみじん切りの生姜が入っていて、全体を引き締めます。隣のジャガイモ炒めも食感が良くフェンネルのか香りが絶妙でした。

ディナーはもっとすごい!!
絶品チェティナード 料理を堪能

バナナの葉で提供される本格的なミールス…これだけでも凄い店ですが、マハさんの料理人としての独創性や技量を味わうなら是非ディナーも堪能しましょう!

フィッシュポリヤル

魚のほぐし身のココナッツ炒め。脂のった旨味たっぷりな鯖にマスタードシードやカレーリーフの香ばしさがよく合うココナッツの甘くエキゾな香り。

メドゥワダ

見ただけでわかるふわふわ感

ウラド豆の生地で作られるドーナツのような軽食(甘くはない)。さっくりふんわり。揚げたてアツアツをココナッツチャトニをたっぷりつけて。

海老ヴァルヴァル

見るからにうまそう

海老のスパイス炒め。玉葱の甘みとトマトのフレッシュな酸味と旨み。香り高いスパイスとシャープな辛みがあるチリやペッパーが引き立てます。写真でもわかるように海老がプリップリ!

バンポロタ

バンポロタは厚焼きのインド風デニッシュ。ザクザクしたクリスピーな食感がクセになる。甘みがあり、ヴァルヴァルとの相性も抜群

マトンコーラウルンダイ

スリマンガラムではマストで食べたい。つまみに最高

スリマンガラムのスペシャリテ。マトンのスパイス揚げ団子。表面はカリカリで中には、ジューシーな羊肉と玉ねぎ、ホールスパイスがザクザク入ってる。コリアンダーの爽やかさ、フェンネルの甘い香り、マスタードシードの香ばしさなど、それぞれのホールスパイスの個性で肉肉しい魅力が引き出されていく感じ。生玉葱の瑞々しさと、ツンとくる辛さがアクセント。

ポロタセット

スリマンガラムの激ウマポロタにチキンコルマ(黄色いカレー)にマトンチュッカ(左上の皿に乗ったカレー)がついてくる…夢のようなセット

まず焼きたての熱々パロタが美味い。もっちりともさっくりとも違う、薄焼の生地が織りなす言葉にできない食感。そして甘み。チキンコルマはココナッツのクリーミーな甘みとシナモンなどの爽やかなスパイスの香りが広がる優しいお味。

マトンチュッカ

スリマンガラムのノンベジの頂点

驚くほど美味かったのはマトンチュッカ。ドライマトンなんだけど、まず肉が口に入れたら解けるような柔らかさでマサラがしっかり肉に絡む。そしてそのマサラがまた美味い!ココナッツのコクと玉葱の甘み、マトンの肉肉しい旨味が口の中で溢れる!!パロタが止まらん〜

ジカルタンダ

ス○バみたい。jkも飲んでそうだ

南インドのシェイク。シャリシャリしていて甘い。その正体は、アーモンドの木の樹液。甘くてクリーミーで黒糖のような香ばしさがあります。

カーピ

南インドはチャイよりもコーヒーがメジャー

南インドのミルクコーヒー。千葉のマックスコーヒー並みに甘〜い!チャイみたいに空気に含ませて泡立てる。

マハさんのセンスと技量を堪能できるスペシャルメニュー

スリマンガラムは祝日やインドの祭日などの日はスペシャルメニューをやるのが恒例です。通常メニューでは味わえない地域のものやよりディープでローカルな料理などを味わえる絶好の機会です。今回は過去に私が食べた中から特に印象に残ったものを紹介します。

ディワリスペシャルコース

2024年11月2日

コサンマリ

チェティナード 地方の郷土料理が日本で食べれるのはスリマンガラムだけ!

チェティナード 地方の茄子をトロトロに崩したスープ。
このとろみはどこからきてるんだろ?豆かな。トロミと茄子の甘みの裏で青唐辛子がビシッと効いて、そのギャップがはまってる。美味しいなぁ…流石チェティナード の伝統料理の名手です。

アーンドラ・フィッシュカレー

アーンドラ州はインドの南東部、チェンナイな北に位置する街です。チリを使った料理が有名

このコース1番の1番のヒットでした。酸っぱ辛美味い。タマリンドやマンゴーのフルーティーかつシャープな酸味がバチっと決まり、その奥にじんわり魚の旨みが広がる。トロトロのマンゴーも具材として入ってる。こりゃ米だ

マトンスープ

こういうシンプルな料理が美味いのが本物

豚骨ならぬ、羊骨スープ。マトンの旨みやゼラチンの脂が染み出していて、めちゃくちゃ美味い。ドラムスティック(オクラのような野菜。外皮は固いので中だけを食べます。のトロミも良いですね。雑味もなく澄んだ味。

アーンドラスペシャル

インドの南東部に位置するアーンドラ州。
激辛料理が多いことで有名だが果たして

マハリンガムさんはチェティナード だけでなく、チェティナード の北にあるアーンドラ州の料理の達人でもあるのです。日本では殆ど目にすることの無いアーンドラ州の郷土料理を堪能しました。

gutty vengaya

アーンドラでは茄子を結構使うんだとか

ちびナスをナッツとトマトペーストのグレイビーで煮たもの。グレイビーはフレッシュな甘酸っぱさとコクがあり、チャトニっぽい。ちび茄子は柔らかくて瑞々しくて美味い!

Tomotto pappu

赤に黄色に緑、原色がぶつかり合う

トマトのレンズ豆煮込み。超ミニマルなサンバルって感じがします。使われてるスパイスも超シンプルだけど、それ故にレンズ豆の味が活きてしみじみ美味い。トマトも甘くて美味しい〜

アーンドラチリチキン

今回のスペシャルでは1番美味かった!!
チキンのコラーゲン?でトロミが出てるグレイビーが美味い。意外とあっさりで、和食の治部煮みたい。鶏の脂の旨みとグリーンチリの爽やかな青い香りとニンニク。アーンドラ料理のイメージが変わった

マトンチョップ

骨つき羊のグレイビー。クリームシチューのようなクリーミーなグレイビー。乳製品が入ってそうなコク。マトンが素晴らしく柔らかくてホロホロ。コリアンダーが爽やかに効いてます。アーンドラ州のイメージがどんどん更新されていきます。

ゴングラのアチャール

アーンドラの名物野菜、ゴングラ。

キューっとした酸味とネットリした質感。後味のちょっとした渋みといい、これだけでご飯が進む味。他のおかずと混ぜても良いアクセントになる

カルナータカスペシャル

全体的に優しい色味

インドの南西部に位置するカルナータカ州の郷土料理をテーマにしたスペシャル。実はマハさん、19年もの間カルナータカ料理を作ってきたプロでもあるのです。引き出し大杉!

ラギ

ラギというシコクビエを水で練って団子にしたもの。スタミナがつくと言われて、肉体労働者が食べるものです。ねっとりして穀物の良い香りが広がります。似たようなものにネパールのディドと呼ばれる蕎麦がきのような料理がありますが、それよりちょっと水分量が少ないです。

veg sag

隣は。野菜のココナッツ煮込み?ケララのシチューにも似てるけど、こっちの方がさっぱりしてる。コリアンダーシードやクローブ、ブラックペッパーが効いてて甘い香りが。

コサンボリ

生野菜と豆のサラダ。豆のプチプチした食感と青豆っぽい香りが良い。ポリヤルみたいな油感やココナッツ感はない。

クールグ地方のチキンカレー

ココナッツファインが入ってる?ようでフレッシュな甘みと若干シャキッとした歯触り。ココナッツだけでなく玉葱の甘みもあり、ブラックペッパーの香りと優しい辛みがよく合う。チキンは抜群のホロホロ感と火の通り。マハさんのノンベジは実に見事です。

ラッサム(カルナータカスタイル)

知ってるラッサムと色味が違う

カルナータカスタイルのラッサムはトマトは入っておらず、あっさり酸味がある豆スープという感じ。

MAHA SHIVARATRI SPECIAL

シヴァ神を祝うベジミールス。シヴァの好物がたくさんのっています!

Vazhakkai puli Kuzhambu

甘酸っぱいトマトグレイビーに入ってるのはまさかのバナナ。皮付きで煮込まれた完熟前のバナナは柔らかくフルーティーな芋みたい。

Sakkarai Valli Kizhangu Poriyal

さつまいものココナッツ炒め。揚げたチリやマスタードシードの香ばしさでさつまいもの甘みが引き立って美味い!

ティファンで朝食を

スリマンガラムはティファン(朝食)も絶品!朝7時〜10時まで限定で、通常メニューにはないティファンが食べられます。今回は特に印象に残ったメニューを紹介します!
※現在はお休み中です

ポンガル&ワダ

左から二番目によそってあるのがポンガル

ポンガルは、米と豆のおじや?みたいな料理です。でもべちゃっとしてなくてふわふわした食感。優しい味だけどブラックペッパーがゴロゴロ入っててピリッとくる。ワダはは先程も紹介しましたが、表面さっくり、中はびっくりするほど柔らかい。豆の味が濃くて優しい〜、これは朝ごはんにぴったりですね。

マトンイドゥリ

白いのがイドゥリです

イドゥリとは南インドで食べられている、豆と米を発酵させた生地で作る蒸しパンのような軽食。食べると発酵のまろやかな酸味と、弾力がありながら舌でサラッと溶けるような食感が味わえます。これがクセになる!

そしてなんとその中には、マトンキーマが!!その中にペッパーやカレーリーフがガツンと効き、弾力あってジューシーなキーマです。おかわりできるサンバルはシャープだけど豆の優しさがある。
トマトの旨味がグッと前にでたトマトチャトニ、甘すぎずココナッツの風味とマスタードシードが香ばしいココナッツチャトニ、青い香りと独特な酸味がクセになるグリーンチャトニ。それぞれ絶妙なタイミングで個性豊かなチャトニがサーブされるので飽きが来ない。マハさんのノンベジとティファンが特に好きなので最高の朝食でした。

ナマステインディアでも大注目&大行列

年に一度開催される国内最大規模のインド・イベントである、代々木公園のナマステインディア。スリマンガラムは2023年、2024年と出店して大注目を浴びました。

どこも混雑していましたが一際長蛇の列が

スリマンガラムはナマステインディアに出店するときは、パロタやマトンカレーなどの人気メニューに加えて、お店のレギュラーメニューにはないマハさんの田舎の郷土料理なども出すのです。

クール&カルワット

今は現地でも冷蔵庫やガスが普及したため、あまり食べられていないそう。

クールはラギなどの雑穀のお粥。発酵の柔らかい酸味と穀物特有の香ばしさが溶け合っています。ガスや冷蔵庫がなかった時代に食べられていたそうです。水に漬け込むことで微発酵させて、酸味や旨みを加えます。カルワット(干し魚カレー)がめちゃくちゃ美味!魚の旨みはもちろん、カルダモン?のような甘い香りがあります。

カンジ&カルワットコランブ

クールよりクセがないかも

こちらはバスマティライスの冷たいお粥。
日本米のようにべちゃっとしてなくて、サラサラいける。日本米にはない独特の風味も。カルワットの出汁やトマトの酸味も合う。出汁茶漬け的なバイブスを感じます。

フィッシュフライ

ナマステインディア2023で登場

ディープフライで羽(胸鰭)の部分もバリバリ食べれる。身はしっとりジューシーで全然ぱさつきない。絶妙な塩とマサラの加減が青魚の旨味を存分に引き出してます。シンプルだけどめちゃくちゃ美味かったー!!

終わりに(マハさんに会いに行こう)

一滴も床に溢さないマハさんの職人芸

南インド料理と一口に行っても地域によっても様々。そんなローカルな味わいも楽しみつつ、料理の技術としては一流。ビギナーもマニアも唸らせる。そんなマハリンガムさんは、インド料理界のウルトラマンと言っても差し支えありません。
「インド料理が食べたい」
黄色いカラータイマーが点滅したら、スリマンガラムに行こう!!

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