
続コンプレックス Vol.3
https://note.com/rich_duck373/n/n4181aaabe1ee
大阪のその結婚式場は、まあどうみても大したことの無い式場であった。
教職員組合の会館で、組合から補助が出ているとのことであった。
その組合というのが、よく分からない組織であり、今まではそこが経営していたのをこの度、民間に売るという話になったようだ。
今まで総支配人をしていた人から順番に面接をしていった。
その日の夜は、大阪ヒルトンに入っている和食のお店でご馳走になりながら
今後のことを色々話し合った。
翌日も、面接や打合せをして福岡に帰ってきた。
それから、毎日のように先方から電話があり、4月1日から大阪で仕事をすることに決めた。
住まいは、その式場の裏に大きなマンションがあり、二部屋をその式場が所有していたので、そこに住むことにした。
H山にも正直に話をして、辞めさせてもらうこととなった。
ここまでは順調であった。
ところが、3月も後半になって話がおかしくなった。
契約上の問題で、色々と不備が出てきたとのこと。
その式場は、結構古い建物であり、構造上の問題、空調や電気配線の問題などすぐにでも、故障して修理に莫大な費用がかかるということが明確になったのである。
そして、それらの全てを買い手側の負担という契約に対して
「それはおかしい!」と申し出たところ、話は決裂して
「ではこの話は無かったことにしましょう!」
という結論になったのである。
「おいおい、勘弁してくれよ!」 という心境であった。
S城さんは、
「取りあえず自宅に待機していただいて、また別の会場の話もありますので・・・」
なんて言うので、まあ、そう言うのであればお言葉に甘えて自宅待機をさせていただいた。
つまり何もしていないのに、給料はもらっていたわけである。
まあ、何にもしないのも悪いので、契約先のホテルなどに提案するディナーショーの企画書をまとめたりしたが、契約先にろくなホテルが無かったので、全く話にのってこないのだ。
そうこうしているウチに、流石に向こうも私の存在がうとましくなってきたようで、色々注文をつけてくるようになった。
契約先を開拓しろ! 営業でまわれ!
冗談じゃないよな・・・って思ったが、
なんとかしないとな・・・とも思った。
丁度「のぶさん」たちが九州ツアーに来るというので、
KKRの大宴会場を借りて、大々的にディナーショーをやり、大きく収支を
出してやろうと企画書を作り、提出した。
「やってみよう!」ということになった。
しかし、全てを私一人でやらなくてはならないので、急に忙しくなった。
何しろ金を掛けることが出来ないので、全て手作業である。
チラシ制作、チケット制作、配席表制作、ホテルとの折衝、DM送付、
全て自分のパソコンで作り、プリントした。
FMふくおかのラジオ番組でコマーシャルを流してもらったり、
ありとあらゆる知り合いにDMを出しまくった。
ブラジル音楽系のサイトにも、案内の書き込みを書きまくった。
いや~、売れない!
本当に売れない! 困った!
胃が痛くなった。
それでも、私のコネクションでなんとか かんとか70枚くらいは販売した。
それが限界であった。
この時に、「うま馬」のお母さんが来てくれた。
H山のエステのH野先生も大勢で来てくれた。
なんとビックリ、H山のレストランをいつもびびらせていた、あの坂口さんにも電話をすると6枚もチケットを買ってくれた。
中華の料理長と戦ってまで頑張った甲斐があった。
しかし、結果的に赤を出してしまった。
これがもう決定打となった。
ほどなくして京都に呼ばれた。
「新幹線では金が掛かるから高速バスで来てちょうだい!」
とまで言われた。
「ふざけんな!確かに赤は出したけど、私一人で全てをやったんだ!」
と思ったが、そんなことは相手には何の興味も無かったようだ。
夜行バスで京都へ向い、翌朝早く着いた。
そのまま、会社を訪ねた。
話し合いと言っても、もう話し合う余地は無いと思っていたので、
「辞めさせてもらいます!」
と言うと、
皆、ホッとした表情をなんとか隠すのに必死・・・みたいな感じであった。
なんで、こういう展開になったのか・・・
帰りは新幹線で帰ってきた。
バスで帰ったら体がバラバラになると思ったからだ。
いいなと思ったら応援しよう!
