見出し画像

青い夏

今日は美容院に行ってきた。


美容院の鏡に映る自分の顔は、なんだか見慣れなくて、ソワソワしてくる。
そもそも誰かと一緒に鏡に映って、鏡の中で目を合わせたり、笑いかけたり、相槌を打つっていうのが不思議で、思わず振り向いて美容師さんの顔を見ようとしちゃったり、何だか気まずくて目を伏せたり瞑ったり。
雑誌を読みつつ、何にも話さないのも何だかなぁ、と思い悩んだり…


もう何年も通っているのに、未だに頭の中が忙しい。
一番好きなのはシャンプーで、目を閉じて静かにしていてもいいと思える工程だから。


そんなこんなで、美容院に行く日も疲れてしまうのだけど、自分だけ(かは、わからないけれど)の癖だと気づいてからは、
「勿体ないなぁ、またやってるわ、わたし。」
と、半ば俯瞰して自分を見てる。


山と青い空。夏。


長く思えた夏休みも、あっという間に過ぎて行く。
ウンザリするほどの暑さは相変わらずだけれど、夏休み、まだ終わらないでくれたらなぁ。
学校が休みだと、少し朝や夜の時間がゆるやかだ。
そしてこの夏、娘たちを通して、自分もまたキラキラした青春時代のお裾分けをもらった気持ちになっている。


借りている本にピッタリの文章があった。

高校生の女の子たちが笑いながら歩いている.花みたいだな、と思う。あんなころもあったっけ。もう戻れないんだなって眩しいような悲しいような気持ちになる。彼女たちから光の粉がこぼれてきらきらする。あのころはこんなのは見えなかったよ。今は見える。光の中を歩いている。光を浴びて歩いている。

ほしおさなえ 『言葉の船』より



この本の紹介もしたいな。


素敵な140字小説がたくさんで、
パラパラと目にするだけなのに、言い得て妙。
心にすとんと落ちてくる。


もう一つ好きだったのが、

雨が降って水たまりができた。雨があがって水たまりは空を見た。雲が流れ鳥が飛んでいた。きれいだ、と水たまりは思った。人の靴で水面が乱れるのもよい退屈しのぎだった。その日はそんな水たまりがたくさんあって、地面に開いた瞳のようにいっせいに空を映していた。消えてしまうまで空を映していた。

ほしおさなえ 『言葉の船』より



140字小説というものを初めて知った。
短歌でも詩でもなく、味わい深くて好きだった。
書き方も教えてくれていて、なんだか書けるかも、という気がしないでもない(笑)


よかったら読んでみてください。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?