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「電気たん吸引器の購入助成」について(医療的ケア児で良くある相談)

子どもの気管切開後の電気たん吸引器


地域の小児医療の中核となる医療機関では、慢性疾患児に対する気管切開術を行っている。
先天的なものでは、気道系の狭窄や軟化症が多い。
これらの場合は、成長で気管切開の閉鎖を予定している。
この気管切開後に、在宅で必要となるものが、電気たん吸引器である。

たん吸引器の種類

たん吸引器には、いくつかの種類がある。
まずは、電源が必要な電気たん吸引器である。
大きくは、3つの機能に分かれると思う。
一つは、吸引器の機能も併存する複合器である。

障害者福祉法の科目では、
「吸引器・ネブライザー両用器」と呼ばれている。

役場に相談に行くと、これをすすめられることも多い。

ただ、値段は、電気たん吸引器よりも高い傾向になる。

次に、ネブライザーの機能を有しない単純な「電気たん吸引器」である。
「バッテリー内蔵」タイプと、「コンセント単体」のタイプの2種類ある。

そして、電気を必要としない吸引器もある。
「手動式吸引器」と足で踏む「踏込式吸引器」がある。

吸引器の選択

電気たん吸引器は、基本的には、吸引力、使用場面、利便性などで選択することになると考える。

子どもの場合は、病院や学校までの移動。
災害による停電などを加味して、内蔵バッテリーがあるタイプをおススメする傾向にある。

学校や家庭だけで使うコンセントタイプを2台目として購入する場合も少なくない。

手動式吸引器は、東日本大震災で長期化した停電を背景に、かなり問い合わせがあったが、最近は、バッテリータイプや発電機などの充実で、あまり問い合わせが減ってきている。

吸引器の購入助成

身体障害者手帳の日常生活用具のなかに、「電気たん吸引器」「吸引器・ネブライザー両用器」の購入の一部を助成する制度がある。条件は、患者・家族の住所地で異なっているので、必ず、事前に住所地の役所で確認する必要がある。
特に注意したい点は、購入前に役所に申請をする必要がある点である。購入後に申請する場合は、「受理しない」と言われることが多い。

身体障害者手帳の取得が難しい場合は、指定難病や小児慢性特定疾病にも日常生活用具の購入助成があるので、そちらで購入を検討する。

一時的な気管切開の場合は、身体障害者手帳を取得できない地域も多いので、気管切開をした背景となる疾患が、小児慢性や難病に該当するかを確認することが多い。

ただし、小児慢性や指定難病で、日常生活用具の購入助成を申請する場合は、患者・家族の住所地によって、かなりの違いがある。同じ住所地でも毎年見解が違うことも経験している。

毎回、電気たん吸引器の購入助成の相談があった場合、必ず、役所に確認する習慣をつけることが大切である。

おわりに

小児期の制度は、成人期と違いが大きい。
また、介護保険のような「レンタル」という制度はない。
小児の中核となる医療機関は、患者が幅広い地域から受診しているので、制度の確認も慎重に、毎回、確認することを心がけるようにしたい。




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