
読書ノート<芸術とは03>クレー・ルンゲ・遠藤周作・ゴーガン・他
スクチャイの読書ノート003 スイス・ドイツ・日本・フランス他 > クレー・ルンゲ・遠藤周作・ゴーガン他
パウル・クレー〔Paul Klee〕
芸術はメルヒェンのようなもので、あらゆる領域に潜んで燐光を発している。
芸術は人類の保養地だ。
一度でも世界を空の上から覗いてみれば、気分一新、すっかりくつろいだ気分になれるし、日常の生活に戻っても、前とはすっかり違った気分になれる。
芸術はまさにそのようなものとして、存在する。
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自然を最大限の技術で読みかえてゆくことが、芸術家の出発点。
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芸術理論は実際の制作から生まれたものであって、その反対ではなかった。
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芸術は見えるものを再現するのではなく、見えるようにすることだ。
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芸術家は目に見えるものを越えなければならない。
その超越作用を自己の内面で行ってから、この作用を自己の内に埋めなければならない。
目に見える世界は、芸術家にとっては見えるというその世界の中だけで汲み尽くされはしない。
さらに進んでイメージに達しなければならない。
芸術家は(いわゆる)現実を越えて、現実を溶解し、それによって内的リアリティーを眼にみえるものにしようとするのである。
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フィリップ・オットー・ルンゲ〔Philipp Otto Runge〕
芸術の諸エレメントはエレメント自体の中にある。
しかし、それは私たちの中にある。
すべては私たちの内の最深部に生まれるはずだし、そうでなければならない。
外のものを内側にとりいれてゆこうとすると、それは無意味だし、そうなったとたん、芸術は没落へと向かう。
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あらゆる既得の美術作品をいっぺんに全部なくして、一からやり直さねばならないとすれば、あらゆる芸術家にとって大きな幸運となるに違いない。
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遠藤周作 [Shusaku Endo]
実になる読書というものは、その中に自分のもっているテーマを嗅ぎとること。
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芸術作品は、人がつくると同時にそれをつくらせている何か、Xというものがある。
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ポール・ゴーガン〔Paul Gauguin〕
芸術とは一つの抽象なのだ。
自然の前で夢見つつ、そこから抽象をひき出したまえ。
そして、その結果として生まれる創造についてもっと考えたまえ。
それこそ聖なる主がなしたように創造しながら神へ向かって上昇してゆく唯一の方法なのだ。
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彼は悩みも多く、苦渋に満ちた人生を始めたところなので、人間の悪い面を見がちだ。
だが、彼の知性と芸術への愛をもってして、いつか彼が、善意は他人に抗する力であり我々自身の不幸に対する慰めであることに気づくことを期待している。
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群衆にとって私は謎であり、あるものにとっては詩人だろう。
しかし遅かれ早かれ、優れたものはその場を得るものだ。
それがどのようなものであれ、私はきっと、第一級のものをつくってみせるとも。
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私の芸術の中心は、私の脳髄のなかにあり、よそにあるのではない。
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人生にとって意味があるとすれば、手に入れられた楽園よりも、むしろ求めても得られない永遠に失われた楽園であり、それを希求する精神の情熱が芸術を生み出すのではないだろうか。
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芸術家が有用であると思いこむ為には、まず他人と違った人間でなければならない。
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<抄> リルケ・ナボコフ・シャガール・イプセン
ライナー・マリア・リルケ〔Rainer Maria Rilke〕
俗な大人たちが動き回り、批評をし、行動をし、困難にあうことがあっても、それは常に彼らの「外部の」事情からである。
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ウラジミール・ナボコフ〔Vladimir Nabokov〕
芸術とは、つまり、好奇心、やさしさ、思いやり、そして恍惚。
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マルク・シャガール〔Marc Chagall〕
描くこととは、現実に魔法をかけることだ。
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ヘンリック・ヨハン・イプセン〔Henrik Johan Ibsen〕
創作とは自分自身を裁くことだ。
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(おわり)
<余談>
吾輩がかつて諸国を何年も放浪していたとき、常に何冊かの気になる作家の本を持ち歩き読んでいた。
その時の抜き書きノートが見つかったので、ここに書き写しておく。
旅のその時々で、感銘を受けたり気になったり引っかかったり、いろいろな理由でノートに書き留めておいた文章である。
基本的に自分のためだが、ここに公開することにより、もしかするとどこかの誰かにも役立つかもしれない。もしくは、どこの誰にもまったく役に立たないかもしれない。どちらでもよい。なぜならこれらは吾輩が内に秘めているテーマを書物から嗅ぎとったものだからだ。それが他人に役立つかどうかなんてどうでもよい。
なお、文章は、すべて吾輩自身の読書による抜き書きであり、名言集に類する本などからの抜粋などでは一切ない。