パネトーネとパンドーロ
~コバンザメのシチリア滞在記~
12月初旬に1週間ほどシチリアを離れた。
戻ってきたら、なんだか街の中が賑やかになっているような気がする。
派手ではないが電飾が街のあちこちにはられ、クリスマスを迎える気持ちの盛り上がりが街全体に広がっているようだ。
スーパーマーケットでも、クリスマスシーズンならではの商品のコーナーが店内のあちこちにできていて楽しい。子どもたちのためのチョコレート菓子のコーナーや、プレゼント用に箱に詰めあわされたハムやオリーブオイルなど。暮れの元気なご挨拶…といった風情である。
しかしなんといっても圧巻なのは、通路や棚いっぱいに並べて売られているパネトーネ(panettone)とパンドーロ(pandoro)ではないだろうか。
パネトーネはドライフルーツが点々と星のように生地に入った円柱形のもの。パンドーロは星が円柱状になったような形で、基本はふわふわのパン生地で外側に粉砂糖がまぶしてあるもの。中にクリームやチョコチップスなどが入ったものもたくさんある。パッケージだけを見ると、ぱっとどちらかは見分けにくい。
どちらも大人の頭くらいのなかなか立派な大きさで、カラフルな箱やきれいなリボンをかけられたたくさんの包みがスーパーの中で幅を利かせていると、思わず立ち止まって見とれてしまうくらい見ごたえがある。
中にはこんなワインとセットのものもある。
年配の男性が、家族に(たぶん奥様に)電話をして、どれを買っていこうかと相談している様子もなんだか微笑ましい。
パネトーネは昔から大好きだったが、パンドーロのことはよく知らなかった。
やはりイタリアのクリスマスシーズンを体験したいと思い、ひと箱買ってみることにした。クリームなどの入っていないオリジナルなものを買うつもりだったが、シチリアレモンにつられてレモンクリーム入りに。
イタリア通の方のサイトをあちこち拝見して、市販のパンドーロには食べ方があるということを知った。
箱を開けると、中は大きなビニール袋に入ったパンドーロと粉砂糖の袋。
この袋は保存用ではない。ここに粉砂糖をふり入れて袋をしっかり閉じてバサバサと上下に!そうするとパンドーロ全体に粉砂糖が均等にまぶすことができる。
なんともダイナミックな食前儀式だ。
これを縦に切って手づかみで食べるらしいのだが、粉砂糖がべとべとして断念。
甘すぎずレモンクリームも控えめで、ふわふわとした甘いパンのようだった。パンドーロは“黄金のパン”という意味に由来するのもうなずける、きれいな黄金色。自分の切り方だけが残念なデキだったけれど。
次はパネトーネを買ってみよう。
このシーズンは体重増加危険月間。しかたない。ダイエットは来年から。
ところで、、、
スーパーで初めてこの光景を見たとき、どことなく既視感があるような気がした。
そしてはたと思い当たった。
お正月前の箱入り鏡餅売り場。
ちょっと可笑しい。