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日がな一日言語学

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認知言語学者の日常的ことば遊び場的ななにか
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#手話

[終わる/かまわない]→「そろそろよろしいでしょうか」を説明しろという問題

福島大学の入試の国語の問題にこの本「しゃべるヒト」に書いたチャプター「語用論」が使われて、オンラインで公開されている。 福島大学過去問題(令和6年の国語) 実際のところ、問題が難しくてびっくりした。高校生にこれを解かせるのか。言語学の授業のレポート課題みたいだ。 私の書いたものは、「一般向けに語用論ってこういう現象を説明するものだよ〜」という例示ばかりだった。 例えば、娘がお餅が食べたいときに「Fちゃんおもちすき」といっていた。落語の「まんじゅう怖い」と逆だ。どっちも

「手話の認知科学」In「ことばと学び」朝倉書店 でました

手話の認知科学研究史を概観し、展望を書いて欲しいという割と無茶な(?)要望に応えるべく、22ページの原稿を書きました。 この本、以下のような目次構成なので、言語発達や言語の教育について知りたい方には大変有用です。 私のチャプターは10節構成。(22ページなのに多いな) 試し読みで読めるこのチャプターの紹介文 とのことです。 私の裏テーマは、この執筆依頼が来た頃に亡くなられたとうかがった栃木聾学校の田上隆司先生(聾学校に手話を取り戻した人(対応手話だけど))トリビュー

ろう通訳とワタクシ: 木村晴美編著(2024)「ろう通訳ってなに?」

待ちに待った本が出版されて、本をいただいてしまった。 「ろう通訳」つまり、手話通訳をろう者がやる、聴者の通訳者とセットで協力してやるという「新しい手話通訳のかたち」について、基本的な事項を網羅した本だ。 東京のオリパラのときに話題になったEテレの「手話の人」が「ろう通訳」だった。とてもバズっていたTwitterの投稿はこちら。 ろう通訳とワタクシ 私も最近「ろう通訳」については書いていて、もうすぐ出版されるので(その前段階のとっちらかった発表資料はここに置いてある)、

手話に興味を持った人のための和書本棚

長屋さんの言語学書紹介がおもしろかったので,私も手話に関する本を少し整理してみました。 各見出しの一番上が基本図書,それを読んでから次に進むみたいな感じで行くと良いかなと思います。 手話の研究を知る 手話言語学のはじまり,そしてギャローデット大学で起こった「デフ・プレジデント・ナウ」という公民権運動について,つまりアメリカ手話話者の自己決定権を得るための運動に繋がるストーリーを読むことができる。 (世界的な著者であるオリバー・サックスのストーリーテリング能力が遺憾なく発

文化の盗用をしないために—ご都合主義を乗り越えろ

ドラマ「デフ・ヴォイス」が終わり、祭りのあと。いろいろ思うところはあるが、気を取り直して、「文化の盗用」でなく「社会問題の提起」を選んでくれたNHKドラマ制作陣に感謝したい。そして、手話指導の米内山陽子さん(コーダ)のnoteがとてもよくて。もう何回も読んでいる・ 舞台のひとつとなっている手話通訳学科の社会学の先生としては、ある程度この「文化の盗用」については授業のネタ帳がある(私は社会学者じゃなく言語学者のはずなんだが…) 「当事者による表象」への道については、IGBの

手話通訳付き対面発表覚え書き

学会会場の設備の問題が今回はなかったけど、久々の対面会場発表だったので、手話通訳も入るときの流れで自分が気をつけていることを書いておく 待ち合わせ場所と打ち合わせ場所 接続確認 照明調整 ろう者の座る位置と手話通訳の立ち位置 音響調整 通訳打ち合わせ 1.待ち合わせ場所・打ち合わせ場所 行ったことのない会場だと、どこで待ち合わせにするのか、打ち合わせはどこにするのか、で結構迷う。特に季節が暑いとか寒いとかの苛烈な時期だと、外で待ち合わせにしてしまうと、仕事前に

silent、フィクションで障害を扱うことによせて

silentが終わった。いろいろあったけど「優生」のことは、さすがに看過できなかった。それ以外はまあ、アップデートがあったのかなと思って見た。豊川悦司が孤独なろうの青年を演じて手話ブームを起こした「愛していると言ってくれ」が1995年だというから、四半世紀を経て、何が起こるか確認しなければと思っていたこともあり、silentはリアルタイムでないにせよ、週1のペースで拝見した。 声でしゃべれない人を扱うと画面が見てもらえる「聞こえない人」を扱うと言うより、「(声で)しゃべれな

「もうろうをいきる」上映会

去年の夏に公開になったドキュメンタリー映画「もうろうをいきる」。近所で上映会&監督のお話があるという情報を公民館だよりで入手して、万難を排して出かけた(万難というか、子守りを夫にお願いして、だけど)。 この映像作品は、主に7人の盲ろう者とその家族・支援者の日常を切り取ったものとして構成されている。 聾ベースの盲ろう者も何人か登場した。こうした人たちは、口話が得意ではないので、見れば(聞けば)わかる。彼らは手話を主に使う。そして、支援者は触手話でコミュニケーションを取る。と

丸山正樹(2018)「龍の耳を君に」東京創元社

「デフヴォイス」が出たときは、こういう取り上げ方があるんだーと思ったものだけれど、今回はその続編が出版された。出版されたとき、アメリカにいて、そのあと帰ってきて手に入れたけど、アメリカで課題が見つかって読むものがたくさんありすぎて、結局今頃になって読んだ。 主人公は、コーダ(Children of Deaf Adults:親がろう者の子ども=手話が母語となることが多い)で、前作で手話通訳士として仕事を始めた男。自身の出自から、ろう者とそのコミュニティについて複雑な感情を持ち

「ろう者の祈り」とは何か

「ろう者の祈り」という本を読んだ。最近出版されたものだ。 筆者は、朝日新聞の編集委員中嶋隆さん。彼が、新潟のNPOにいまーるの臼井千恵さんと、手話通訳士で日本語教師の鈴木隆子さんを中心に取材して執筆した本。 さて、この本の主題は ろう者は日本語が第二言語なので、ばかにしてはいけない に集訳される。 ろう者コミュニティの話も出てこないし、手話を公用語にしたエンパワメントの話も出てこない。ただ、日本語を改めて学び、なんとかマジョリティである聴者社会でやっていきたいという

アメリカで手話通訳は放送されるか

アメリカ大統領就任演説に手話通訳がついていなかったことで騒然となっていたか?アメリカの大統領就任演説に手話通訳がついてたとかついてなかったとか問題になっているようだけれど、アメリカにいて、手話通訳養成をしている大学にいて、それが話題にはなっていなかったのでどういうことだろう…と思った。 なんと1/21~24の間で6000RTに届くかという勢いのこのツイート、私は疑問を持ちました。「アメリカのみならず世界中のろう者が騒然としている」というのは、自分の観測の範囲で観察できなかっ