#173 鬱の荒波を凪に変えるか?アンビエントサウンド生成アプリ「Endel」のご紹介
以前、聴覚過敏に対処するために耳栓を愛用している話と、Audibleで読書が再開できた話を書きました。これらは、現在のわたしに安心をもたらす、必須の道具となっています。本稿は一連の、「わたしの鬱を助けるアイテムやサービス」に関する記事の、続編です。
Audibleで「聴く読書」を楽しみながら、もう一つ、今のわたしにぴったりなサービスがあることを思い出しました。集中やリラックスに効く、アンビエントサウンドを自動生成するスマホアプリ、Endelです。
初めて心療内科を受診して、心身症と診断を受けた後、思うように動かない頭を整えて、業務(リモートワーク)に集中するために使っていたアプリでした。実際、効果はてきめんにあり、特に集中力を要する際には、あらゆるBGMより、Endelの「Focusモード」が役立ちました。1年間のサブスクリプションに登録して、使い倒していた記憶があります。
しかしその後、サブスク代を見直そうと契約を解除して、(無料でも使えるのですが)またうっかり課金してしまわないようにと、アプリを削除してからは、徐々にその存在を忘れていきました。
しかし最近、ハッとそのことを思い出しました。あれなら、手持ちのイヤホンを「落ち着く音の出る耳栓」のような感じに使えて、今のわたしにピッタリなのではないか?と。
この説明だけを見ると、ありがちなヒーリング音源との違いがわからないと思います。しかし、これはあくまでスマホアプリとして、その特性を活かした、新世代のサービスなのです。
ヘルスケアアプリに保存されているデータや、位置情報(天気)、睡眠サイクル、モーションセンサー(歩行のリズム)等から、パーソナライズされたサウンドを生成するという、スマホアプリならではのものであり、収録した音を繰り返し再生することしかできない、ヒーリング音源の類とは一線を画します。
「意識高い系アプリ」のご多分に漏れず、公式サイトの説明は謎単語が並び、似非科学の雰囲気すら醸しています。そのため、わたしなりの要約を、補足として書き記しておきます。
体内時計に合わせて音が変遷します
活動↔︎休息の周期に同調します
そのため、心身のケアに役立ちます
そこに天気のデータを加えたり、歩行中かどうかを判定する等して、生成するサウンドを変化させているのです。基本は自動再生ですが、流してほしい音を、ユーザーが能動的に選択することも可能です。
60分間の読書をしたい場合の開始画面ですが、このようにシンプルなインターフェースから、様々な場面に合わせたサウンドを生成することができるのです。それがどの程度良いものなのかは、ご自身の耳で試してみてほしいのですが、個人的には、とても良く出来ていると思います。ユーザーの求めに応じた的確なサウンドが生成されている、と感じます。
わたしは、有線イヤホンのfinal E500やSHURE SE215SPEで聴くことが多いのですが、どんなイヤホン・ヘッドホンでも問題なく使えます。
あえておすすめするなら、遮音性の高いものや、装着感の良いもの、ワイヤレスならバッテリー持ちの良いものが向いていると思います。音質よりも、長時間つけっぱなしにしても耳が痛くなったり、聞き疲れしないか等、ご自身にとって快適な機種であることの方が重要ですね。
EndelのアプリはiOS、Androidのどちらにも用意されています。サブスクリプションの登録を促す画面が表示されますが、×を押して無料で使うことも可能です。無料トライアル期間が表示された場合は、とりあえず登録をして有料機能を全て試してみることができます。その際は、解約忘れにご注意ください。
自分に合うのかどうかは、とにかく試してみないとわからないアプリだと思いますので、無料登録→課金前にサブスクリプション解約、の操作に慣れている方は、まずは無料期間で全機能をアンロックすることをおすすめします。
有料ユーザーになるメリットは、サウンドの種類が増えるため、飽きにくいということです。有料部分で開放できるサウンドに使いたい音があるのかどうか、やはり実際に試してみるのが良いかと思います。
説明に夢中で本題を忘れていました。タイトルに書いた、Endelは「鬱の荒波を凪に変えるか?」という話をしましょう。
わたしは気分の落ち込みより先に、身体機能に不調がくるタイプです。日常の中での些細な緊張、満員電車や騒音、あるいは映画鑑賞のような喜ばしい体験であっても、疲労を感じます。脳の興奮状態が制御できず、やがては身体がこわばり、自分の意思とは無関係に手が震え始めるまで緊張し続けます。この状態に陥ると、眠ることすら困難になります。
しかし、そうしたストレスを回避するためには、引きこもるしかありません。その状態が続くと、次には気分の落ち込みがやってきます。
そのような事情から、外出はするようにしていますが、疲れたと感じた時点で、すぐに帰宅できる距離までに留めておき、昼食を取った後には、昼寝をするようにしています。見ようによっては、なんとも優雅な暮らしぶり、という風でもありますが、それくらいのペース感でなければ、心身が持たないというのが現状、ということです。
Endelは、わたしの緊張レベルを少し下げたり、あるいは外に出て歩く体験を楽しくする効果があったり、noteの記事を書くときに集中を促す効果があると感じました。
もちろん、薬ではないため、体調が激変するということはありえません。ただ、耳栓をするよりは気分が上がり、音楽を聴くよりは心が落ち着く、そうした効果を感じています。その日の体調によって使い分けていける、新しい鬱の防衛手段を得た気分です。
参考になりましたでしょうか?わたしの現状をもとに感想を書きましたが、そもそもこれは「意識高い系のガジェオタがこぞって活用する系のアプリ」です。生産性の向上や、健康的な習慣を身につけるための一助になるものです。どなたにでもおすすめできるアプリですので、特にメンタルヘルスの改善に特化したものではないという点は、誤解なきようお願いします。
追記①:その後も、ほぼ毎日使っています…
追記②:さらにその後、買い切りの無制限アカウントになりました…
最後に、ネットプライバシーの保護に過敏なわたしが、あらゆる権限を要求するこのアプリを、許容する理由について説明します。
App Storeから、アプリのプライバシーポリシー(リンク先は英語版サイトです)を確認したところ、EndelはGDPR(一般データ保護規則)に準拠したアプリのようです。詳しい説明は(専門家というわけでもありませんし…)しませんが、現状、ユーザーがデータを提供するに値するアプリかどうかは、このルールに則っているかが目印です。
理想的には、スマホの中だけで動作が完結して、データの提供自体を行わない方が安心できるのですが、Endelはドイツにある企業のようなので、EUのルールであるGDPRに準拠しているという主張は信用して良いだろう、という判断です。
※セキュリティとネットプライバシーの保護に関心のある方は、こちらの記事もお読みいただけると嬉しいです。
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