#268 医療費は無料であるべきではないか?
現在、精神障害者2級のわたしは、自治体の制度により実質、医療費が無料になっています。もちろん、無料になる対象は保険診療に限りますので、自費診療や診断書料の類いには使えない訳ですが、非常に助かっています。実にありがたいことです。
…いや、ありがたい?そうだろうか。そうやってすぐに頭を垂れて、無批判にお上を崇めてしまうのはかえって良くない。そもそも、世界では医療費が無料の国も珍しくはないのである(もっとも、そうした国が問題を抱えていないわけではない)。わたし達はもっと無遠慮に、「あれがほしい!これがほしい!」と求めて良いし、黙っているからなめられる。だからあえて言おう。標準医療はあまねく無料であるべきで、それをしないのは財力による命の選別であると。極端な言いっぷりをさせてもらえば、支払い能力がある層と、全く無い層(障害者や生活保護世帯)が生き残るという歪さがある。相当な人口がいるはずの年収中央値未満の労働者は、歯医者にいけないとか、出産できないとか、財力を満たしていないために寿命を短縮したり、家族が持てなかったりするわけです。あきらかに不平等な話です。
こうした話をしたときに、「財源は?」と聞きたくなる野暮もありますが、それをどうにかするのが政治ってもんでしょう。億万長者向けに所得税を超累進課税にしたり、海外へ逃げないように莫大な出国税をセットにしたり。更には、株や投資信託等の投資に対する税金、20.315%も累進課税に変更します。相続資産に上限を設けたり、最高賃金を設けたり、預金にも税をかけたり…etc…etc…。要するに富裕層による富の独占を防ぐ立法をすれば良いのです。個人が何千億円もの資産を持っていてどうするんですか?赤ちゃんポストに預けざるをえない子がいる一方で、何世代にも渡って安泰な富を抱えている人達がいるわけですから、そこからぶんどってくるものが第一の財源です。この態度は、巨大企業に対しても同様です。
一方、消費税は軽減税率対象品目を増やし、日常生活は0%で送れるようにすれば良いでしょう。生活保護の水際作戦は一切禁止します。そのようにして格差が縮まれば、中流階級が貧困に落ちつつある現状を止めることができ、若者が犯罪に加担したり売春するようなことも減るはずです。
もし、財源を棚上げした議論をして良いなら、それはベーシックインカム(以下BI)の方があらゆる手続きがシンプルになって更に良いのでは?という考えも沸いてきます。その通りなのですが、BIって熱烈な支持者がいる割に、実現可能性が信じられていないんですよね。何せ政府はいつも「貧乏だ…金が無い…」というアピールをしていますから。それこそ森永卓郎氏の著書『ザイム真理教』にあった通り、有力議員には財務省の担当者が洗脳しに来るそうですから、どこかで庶民が「金持ってるやつからとれよバカ!」ってキレて抵抗しないといけません。
医療費の話に戻ります。BIの支持者でも「健康保険制度は残す」と仰る方が大半ですね。不思議なことです。なぜそっちで金をとるのか。個人的には、BIは人間が自由に生きる権利を国家が奪っている事への補償だと考えています。つまり、日本国憲法をはじめ各種法令を守ることは実質強制ですよね。社会の価値観も、生まれ落ちた時代によって相当に変わります。運ゲーかつ強制の人生ゲームです。それをやらせることの善悪を問えば、天秤は悪に傾くものと思います。だからこその補償です。
「医療費が無料ではないということは、払えなければ死ねという考えなんですよね?」というレベル感の苦情を平気で言えるようにならなければ、BIが実現する世界はやってこないでしょう。
わたしは医療費が無料であるうちに、歯医者に行こうと思います。歯を完全に治すことを来年の目標にします。わたしの手帳は精神の方なので、更新時の診断次第で手帳の等級が下がったり、そもそも対象外になるかもしれませんからね。歯は大事。