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わたし。

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「わたし」というお話。 日記ではない。「わたし」のことをとりとめもなく、まとまりもなく。
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2015年10月の記事一覧

19.「わたし」の知らない"死"について。

家の最寄りの隣駅で人身事故か…
「直通運転を中止してまいます」

ちぇ、立ちっぱなしの電車で
帰らなきゃいけないな。

そんなことを考えて
乗り換えて、乗り換えて…

真っ暗の夜を横目に
時折家々の窓を走る電車の姿を
ぼんやり見つめていたら

しまった。乗り過ごした。
そして、"その"駅に来てしまった。

ぞっとした。
死に引かれてしまったような気がした。

分からない。
人身事故というのは、

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18.「わたし」と母と、金柑の空。

夕暮れの空が
ぽやんと明るい。
ふっと頭に浮かんだのは
「金柑の空」。

ちょっとだけ体調が優れなくて
本当になんでもないくらい、
ちょっとだけだったんだけど…

田舎から母が遊びに来てくれた。

ご飯を作ってくれて
一緒に食べる。
一緒にテレビを見る。おしゃべりする。

夜はなんとなく、
わたしが生まれた日の話を聞いた。

わたしの母は優しい。
それに、かわいい人。
二重の目はわたしと違うけど

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17.「わたし」、どういうおばさんになるんだろう。

込み合った車内
隣に立って参考書を広げている人。
そこから赤シートとアンケートの葉書が
パラパラと
一瞬わたしの鞄に引っ掛かり
そのまま下までいってしまった。

わたし以外
誰も気づいていないであろう
その落とし物。

拾おうか、でも…。

そのまま踏まれていくのに
気づきながらも助けられない自分が
ひどく薄情な気がした。

ふと目に入った前の座席の人。

きれいにセットされた茶色の髪。
頬に刻ま

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16.「わたし」と東京の朝。

どんくさいのか分からないけど
満員電車に乗り込むのが
最後になることがよくあって

もうすでに人でいっぱいのところに
入り口のドアに手を添えて
背中を反らすように乗り込んで

誰かがぽんと押したなら
私はあっけなく電車から
飛び出してしまうんだろうなと
無表情の中ぼんやりと考えていた。

ドアがしまる。
紺色の鞄が入りきらずに
ふにゅっと挟まる。
引っ張る、引っ張る…と
隣のおばさんも一緒に引っ張

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15.「わたし」、他力本願。

崖から突き落としてほしい。

考えすぎるのは、わたしの悪い癖。
考える自分は嫌いじゃないけど
考えすぎて動けなくなるのは、ただの臆病。

えい、やー!って
出たとこ勝負だよ、と先生は言う。
表現なんてさ、みんな怖いよって。
それぐらい葛藤して出てくるものなんだよって。
だから見ていておもしろいんだって。

えい、やー
えい、やー・・・

それでもやっぱり足がすくむんだ。怖い。
それでも飛びださない

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14.「わたし」元気。

わたし元気よ。元気なの、とても、元気。

冷え性のわたしには、秋はちょっとだけ、切ない季節。

マイナスプラス人間のわたしは、能天気な寂しがりやで。
あなたと孤独が分け合えたなら、なんて

気持ち悪い、と。胸の奥に言葉になれない想いをしまう。

そうやってんのは楽しいかい?と問いかける。
楽しいよ、気持ちいいよ、依存しちゃうくらいにね。

なんて、病んでるふりです。お気になさらず。
生存確認。

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