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【簡単あらすじ】楽園とは探偵の不在なり(微ネタバレ)【斜線堂有紀/早川書房】


『 私はあなたの助けを必要としています 』


ある時、世界各地で起こった「天使の降臨」

人々が自然と「天使」と呼んだ異形の生物は、二人以上殺した人間を、問答無用で燃え盛る地面に引きずり込む性質を持っていることが確認された。

その光景を見て・対象者の断末魔を聞いた者たちは、地面の先は「地獄」だと確信している。

自身の「探偵の存在意義」に悩む青岸焦は、大富豪・常木王凱に招待され、天使が集まる島・常世島を訪れることになる。

常世島で行われる特別な催し物を見た青岸と参加者たち。

翌朝、天使で溢れる島で、本来であれば最も起こりえない犯罪・殺人が発生する…





『はじめに』
今年は各地で大雪の被害が出る等、最近では久しぶりのちゃんとした冬になっています。このような状況では「寒くて外出したくない(したくても出来ない)」という方が多いと思いますが、逆に言うと「室内での読書が捗る時期になった」とも言えますので、私だけでなく読書好きとしては良い面も多い時期ではないでしょうか。
私自身も衝動買い時期が中々終了せず、積読状態になりつつありますので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んだりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

ーー

以前レビューしました「私が大好きな小説家を殺すまで」



とは違い、ミステリー作品、それも「特殊設定ミステリー」の作品です。

二人以上、殺人を犯してしまった人間は、確実に地獄に落とされる。
しかも、地獄は凄惨な場所であることは間違いなく認識されている。

となれば、殺人を思いとどまる人も多いでしょうから、私たちの世界よりも良い状況になると思う方が多いのではないでしょうか。

しかし本作では、天使の性質を考え、

「一人までなら殺して良いのでは?」
「二人殺して地獄行きなら、どうせなら大量殺人をすべきでは?」

という考えが蔓延した世界が舞台になっています。

そして、その考えが通常の世界だからこその、連続殺人事件の発生する原因や、登場人物たちの行動がとても良く描かれています。

「天使に選ばれたことがある」青柳は、連続殺人が起こった常世島で何をすべきなのか。

そして何をするために、島に存在しているのか。

皆さんも、大変魅力的な本作を是非ご一読ください。



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P206 - モチベーター講師/教育と読書とスイーツも -
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