【簡単あらすじ】バスタブで暮らす(微ネタバレ)【四季大雅・柳すえ/ガガガ文庫】
『 へのへのもへ人 』
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いつでもどこでもおならをし、奇声をあげながら釣りをする父親。
二度がんに罹るも二度とも勝利し、必須となったカツラさえ笑いのネタにする豪快な母親。
スキがあればイタズラをしかける、謎にクリエイティブ能力の高い兄。
そんなテンションの高い家族を持つ磯原めだかは、就職活動で何とか仙台の会社に勤務することになるも上手く職場になじめず、体調を崩してしまう。
実家に連れ戻されためだかは、バスタブで暮らし始める。
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この作品を読了して思い出したのが、伊坂幸太郎さんのSOSの猿
でした。
ふわふわしながら、何かつかみどころの無い作品という感想でしたが、本作も、似たような読了感でした。
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前作の「わたしはあなたの涙になりたい」は、
簡単にまとめてしまうと、若い男女の恋愛がテーマだったので、多くの読者に刺さるものだったと思います。
しかし、SOSの猿もそうですが、本作は少々人を選ぶ作品かもしれません。
私におススメしてくれた・読了した方も、前作のほうが分かり易くて(感動して)好きという感想でした。
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ですが、私のように自身が病弱or家族に病弱な方がいらっしゃる状況などであれば、今作はかなり感情移入して読了出来るのではないでしょうか。
また、現状に生きづらさを感じている人にも、一つの指針になるような作品だと思います。
あとがきに書かれている、生きづらさを抱えている方には、
「時間と居場所が必要」
「雑多で余剰的な、ある種の逃げ場が常に必要」
「そのようなあたたかな泥のような場所でこそ、人間は回復し・成長する」
「そして、いつかはその暗闇から抜け出すことが出来る」
という作者の言葉は、本当にその通りだと思います。
私も、20代では様々な行動をして・成功も失敗もしてきましたし、その頃には色々な事を考えていました。
本作を読みながら、何となくその頃を思い出していました。
そういう、なんというか、モヤモヤした現状にある人にもおすすめな作品です。
…まあ、私はこんなに図太いおじさんになってしまいましたが笑
あとがきには、作者・四季大雅さんは、体を壊して休職しながらの作品ということが書かれていました。
体を労わりながら、作家活動を続けて頂きたいです。
本作も、前作同様「ラノベがあまり好みでない」「表紙が若者向きで合わない」方も是非読んで欲しい作品です。
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