【簡単あらすじ】閻魔堂沙羅の推理忌憚・業火のワイダニット(微ネタバレ)【木元哉多/講談社タイガ】
人間は●ぬと、魂のみが霊界にやってくる。
そこで閻魔大王の娘・沙羅が天国か地獄か審査するが、様々な理由でまだ天国へ行きたくないと言う登場人物たち。
沙羅は融通が利く人物であり、「もし登場人物が自力で死の真相に辿り着くことが出来たなら生き返らせる」という、一度きりのチャンスを与える。
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霊界の入口にいる(主人公が死んだ)時点で記憶に残っている情報で、真相に辿り着くことが出来るので、読んで意表をつかれるようなどんでん返しがある作品ではありません。
推理役となる登場人物は聡明で、読者が真実に辿り着けるような誘導をしてくれるため、問題に正解するための作品として、ピッタリのレベルの作品でした。
本作品は、以下の3つの事件について真相を確かめるべく推理を行います。
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第1話 外園聖蘭 30歳 契約社員 死因・?
契約が切れ無職状態の聖蘭は、就職活動が思うように進んでいない。
疲れて自宅に帰ると、母が大好物ばかり料理してくれていた。
料理を堪能して眠りについたその夜、血まみれの母とともに命を落とす。
第2話 仙波虎 78歳 無職 死因・転落死
遠山賢人 11歳 小学生 死因・溺死
虎は医師より「末期の胃がんで、余命一年」の宣告を受けた。
心残りは、自分がいなくなった後の賢人の処遇。
妻の命日に集まった親戚の誰かに、虎と賢人は殺されてしまう。
第3話 土田裕太 19歳 浪人生 死因・焼死
土田は母の生命保険金により、大学進学を目指す浪人生として勉学に励んでいたある日、小学生時代の同級生の夏目に出会う。
夏目と交流を深め、二人で祭りを楽しんだ帰り、土田は夏目に睡眠薬を飲まされ灯油をかけられ焼死させられてしまう。
「なぜ夏目は僕を殺したんだ?」
その理由を聞くために、真相に辿り着き生き返ることを望む。
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各話の登場人物が置かれているシチュエーションが違うため、真相に辿り着く道筋も違ったものになり、各話新鮮に読み進めることが出来ました。
長編ミステリーのように、読みながら文章の違和感を探し数々の伏線が散りばめられ、何度も場面を行ったり来たりする作品も大好きなのですが、こういった、疲れた頭のクールダウンに最適な作品もまた良いですね。
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