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【簡単あらすじ】地雷グリコ(微ネタバレ)【青崎有吾/株式会社KADOKAWA】


『 ボオン!』


都立頬白高校には、文化祭で出店したい場所が被った団体同士が、愚煙試合という対抗戦(ゲーム)で決着をつける決め事がある。

屋上でカレー店を出店したい1年4組は、二年連続で愚煙試合に優勝した生徒会代表と戦うことになる。

多くの生徒が生徒会の勝利を疑っていなかったが、1年4組は、勝負ごとに強い女子高生・射守矢真兎を代表者として選び、愚煙試合に臨む。



『はじめに』
夏も(暦の上では)終わりが近づいてきていますが、それに全く伴わない気温が続いており、最高気温は30度どころか35度を超えることが増えています。
私は暑さに弱いため不要不急の外出は減らしている時期ですが、エアコンを起動し、自室で飲み物を飲みながら読書をするという、絶好のシチュエーションを得られる時期が到来したとも言えます。ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

本作は、以下の5つのゲーム(5編)をまとめた短編集です。

1.地雷グリコ

誰もが子どもの頃に行なった、「ジャンケンをして階段を登り切った方が勝ち」というグリコというゲーム。

それに、二人の参加者が仕掛けた「地雷」を踏んだら強制的に10段下がるというルールを付け加えたゲーム

2.坊主衰弱

百人一首の札を使った神経衰弱。

絵柄から「男」「姫」「坊主」の三種類に分けられており、ペアが揃えられなかった場合に攻守交替。

姫を揃えたら山札を全部得ることが出来るが、坊主をひいたら持っている手札を全部山に出さなくてはいけない。

最終的に獲得した札の枚数で決着をつける。

3.自由律ジャンケン

普通のジャンケンで使う「グー・チョキ・パー」の三種類に、「二人の参加者が自由に作った形と特殊能力」を持つ二種類を入れた、五種類でのジャンケン。

勝ち負け以外に空手扱いというルールもある。

4.だるまさんがかぞえた

普通のだるまさんがころんだのように、掛け声のかけ方(スピードや緩急)や身体能力の高さ(タッチを掻い潜る俊敏さ)は必要無し。

「どれだけ掛け声を続けるか(何文字の掛け声にするか)」「その掛け声中に何歩動くか」を、ゲームの初めに決め入札するという心理ゲーム。

※個人的には、この話が一番のお気に入りです。

5.フォールーム・ポーカー

「参加者が勝負する部屋」と「スペード・ハート・ダイヤ・クローバーの各13枚のカードが伏せられている、四つの部屋」を使って、三枚の手札で戦うポーカー。

伏せられたカードの規則性や、相手にどんなカードが配られたか・どのカードが消費されたかの推測が重要になる。

ーーー

ゲームの最初から最後まで、ゲームの抜け穴も完全に読み切って最後に大逆転する。

相手も強敵だが、強敵だからこその相手の考えまでも自分の戦略に入れこんで勝利する。

舐めプしてきた相手を、完全に上回ってのパーフェクト勝利。

など、こういったテーマの作品の場合に、大抵の方が好きであろう主人公の勝ち方が全て網羅されていますので、多くの方が楽しめると思いますし、爽快感を味わえる作品だと思います。

主人公や対戦相手が、普通の?高校生のため、「文化祭での場所取り」「かるたカフェの出禁解除」など、良くあるデスゲームよりも(基本的には)軽めの報酬をかけてのゲームの上、主人公・射守矢真兎の飄々とした雰囲気もあり、(ある程度)軽やかな雰囲気で進むこともお気に入りです。

上記のように、命をかけたデスゲーム(噓食いのような)のような雰囲気の作品ではありませんが、ゲームの内容や展開については、有名どころのデスゲームにも比肩するものになっていると思います。

ですので、ちょっと読了作品に変化をつけたい・軽めのテンポで気分を盛り上げたいなどと思った時に最適な作品です。

私は、本作品の読了後に、昨年の「方舟」を読んだ時と同じような衝撃と、そして爽快感がありました。
(方舟は、ぞわっとする何とも言えない怖さが残りましたが…)

本作品の魅力の一つは、「様々な・内容にピッタリなネーミング」だと思います。

各ゲームについてはもちろんですが、ゲームで対戦することを「実践向上(キャリアアップ)」と名付けたのは大変素晴らしかったと思います。

また、巻末の作者プロフィールを見ると、青崎有吾さんは、現在週刊ヤングジャンプで連載中の「ガス灯野良犬探偵団」の原作も担当しているそうです。

ちょっと読んだことがありますが、中々面白い作品でしたので、こちらも興味がありましたら是非どうぞ!

本作の〆方。
実践向上・愚煙試合の成り立ちや歴史。
回収試合の存在。
星越高校生徒会の役員は誰?生徒会長はいるのか?

など、本作で明らかになっていない様々な要因や、下記作者インタビューで、

https://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi260_aosaki/20240126_7.html

>『嘘喰い』や『カイジ』を読みながら、自分でもいろんなゲームを考えていたので、スト>ックやノウハウめいたものが頭の中にありました。

と発言されていますので、今回を超えるゲームを基にした続編も期待出来るのではないでしょうか。

というか、是非お願いします!笑





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