不織布のマスクは涙を吸収しない。寺地はるな「川のほとりに立つ者は」を読んで
心えぐられました。
帯文、まさに。
わかるよー。吉井さん。共感。
寺地はるなさんの作品って何か独特。
心に刺さります。
感動とも反省とも違う何とも言いようのない感情。
他者観というか、人との関わり方向き合い方を問われるような。
切実さが身に迫るというか。
あぁー、何か自分にこれまで良くないところがあったな、と思わされます。
でも痛烈に反省を促すような感じでもなく。
穏やかーに。
生きづらさに共感を強いられるわけではない。
だけど、問いかけられます。
読む前と後で、自分の何かが少しだけ変わる。
そんな作品!
不織布のマスク
舞台は2020年夏頃。コロナ初期。
当時はそれがいつまで続くかなんてわからず、今が「初期」だなんて思ってなかったけど。
マスクも個人の判断となった今から見て期間を分けるとするならば、確実に「初期」。
会いたい人に会えない。
大会が、大切なイベントがなくなる。
思うようにいかない。
コロナ禍でどれだけの人が涙を流したでしょう。
そうなんだよね。
マスクで泣いちゃうと大変。
改めて言葉で聞くと、とっても悲しくて切ない。
この時代をうまく捉えた表現。
篠ちゃん
主人公清瀬の友達の篠ちゃんがいい味出してる。
ええこと言う。
ほんまそれ。
ほんでさらに、コンディションってめちゃくちゃでかいと思う。
ウェルビーイングとか流行ってるけど、めっちゃあると思う。
できるだけフラットでいたいけど。
僕で言えば、腰が痛いときってホントに腰の事しか考えられへん。
全ての動作で、ずーっと腰の事ばっかり考えてる。
もう恋かな?ってくらい。
注意力も散漫になるし、視野も狭く、余裕はなくなる。
そういうときもある。
だから誰かの嫌な部分を見てしまっても、性善説にのっとって、「そういうときもあるよね」って目で見るようにしよう。
運がよかった、ただそれだけ
このへんも心に残りました。
おおいに納得。その視点持とう。
運がよかった。
最近、キャリアの成功をそう捉えるべし、という論がトレンドな気がします。
もしレヴロン・ジェームズ(バスケMBAの名選手)が中世のフィレンツェに生まれていたら…?という話を聞いたことがないでしょうか。
ハーバードのマイケル・サンデル教授の主張です。
井筒陸也も語ってます。
これ、そっくりそのまま惨い事件とかにも当てはまる気がします。
理由が一つではないという「単一原因の誤謬」や
事故の発生メカニズム「スイスチーズ理論」とも密接に関わってる。
なんでそんなことをしたのか?
つい人にフォーカスしがちなので気を付けたいところ。
いろいろ脱線しちゃいましたが、とっても良い作品でした。
本屋大賞2023ノミネート作品。
大賞あるかな~どうかな~。
なきにしもあらず。上位ではある気がする!
「水を縫う」とかそのへん未読なんで、また寺地はるな作品読みたいと思います!
以上