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こんなん本屋大賞やろ。辻村深月「この夏の星を見る」を読んで

辻村深月の新刊がすごかった!
めちゃくちゃよかった!

もうこれは本屋大賞決まったわ。
昨夜25:30まで夜更かしして読み切ってまだ興奮さめません。

この物語は、あなたの宝物になる。
亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。
コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。
哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。

Amazon内容紹介

まず設定が秀逸。
著者は毎日新聞のインタビューで「この世代を書くにはコロナに触れない選択肢はなかった」と語っています。
そのとおりやと思う。みんないろんなことあったよね。
その中でこんなストーリーが現実でもあったんだろうなーと思うと胸が切なくなる。


辻村深月といえば作品クロスオーバー。
今回もありました!
今回は「家族シアター」の「1992年の秋空」から。

気づいたときは震えました!
前読んだときに、ちょーどこの作品のタイトルだけメモってたんです!
めっちゃ好きなテイストでした。

ほら。

調べてみたら「家族シアター」の刊行は2014年。
ほんでいまは2023年。
え。えぐないっ!?
9年かけて伏線回収しにくる!?

「あぁあの時の!」ってなった時の脳波、凄いことになってたと思う。
現実世界で「あっ進研ゼミででたとこだ!」が起きてる。

この感覚がほんとに大好き!

2014年にはコロナなんて想像もできなかったし感慨深い。

そしてまたいつか、別の物語で円華や真宙に会える気がする。
いや。ずっと読んでたら絶対に会える。
辻村深月に沼る理由。


脱線。
中高生時代にもこの感覚を味わったことがあって。
週刊少年マガジンで「あひるの空」というバスケ漫画が連載されてて、毎週水曜日楽しみにして読んでました。
まわりでも結構人気。女バスの子たちと「あひる読んだ~?」って話すんのも楽しかったな。

連載が始まってから数年。単行本にすると22巻。

いつものようにマガジンの「あひるの空」のページを開けるとなんとそこには、自分の街の景色が!!

https://ameblo.jp/yoshiki-0722/entry-12094938763.html


毎週読んでる漫画にいきなり知ってる景色。
「トビ」というめっちゃかっこいいキャラクターの地元として、自分の街が登場してました。
知らないままでかなりの期間読み進めたうえでの衝撃。
「実はそうだったの!?」という展開。

学校でもちょっとだけ話題になりました。
でも、読んでる人には相当衝撃的なことが起きてるのに、読んでない人には伝わらない。平常運転。
そんな温度差も含めて好き。
不思議でワクワクした思い出。


話を戻そ。

「この小説も、中高生のときに読めたらよかったのに」とも思いました。

現実的に進路を考えると、好きなことと向いていること、得意なことや苦手なことのギャップで苦しむ時もくるかもしれない。好きだけど、進学先や職業にするのには向いていない、ということもひょっとするとあるかもしれません。だけど、もし、そちらの方面の才能がない、と思ったとしても、最初に思っていた「好き」や興味、好奇心は手放さず、それらと一緒に大人になっていってください。

本文より

案外、人生を豊かにするのは、そういう役に立たないところにある興味や好奇心なんだよ

本文より

これまでは、漠然と、オレの成績で行けそうな大学をなんとなく考えてただけだったんだけど、ひょっとして、大学って、もっと自由に考えていい場所なのかなって、その大学にいる教授の専門とか、研究内容について調べるようになって。偏差値とか大学の名前とかじゃなくて、何をやってるのか、どんな先生がいるのかっていう方向から進路、考えてみたんだ。

本文より

いやー、刺さった。
おおいに刺さりました。
「おいしいごはんが食べられますように」でも感じたことやけど、最後のはとくに。

文学とか体育とか、好きな事もやりたい事もあったのに。
うまいことやれそうな選択をした自分を恥じました。
こんな小説を学生時代によんでたら人生の選択は変わったろうな。

まーでも、こっからこっから。

32歳。最近は「どんな選択をしても、結局‘好き‘に回帰する」ような気がしてます。
「逃げても逃げても逃げきれないものが人生にはある」はず。

好きへの情熱は捨てず。気負わず。生きてこ。


ただ、コロナの見方に関しては自戒。
ついコロナ禍で学生時代を過ごした若者を可哀そうに思ってしまいますが、それは安直だった。

美談とかには、してほしくないんだけどなぁ

本文より

別にコロナじゃなくても…
…(ネタバレ防止)したろうし、そこに過度の意味を見られるのもなんか違うなって

本文より

それはわかる。気を付けよう。


凄い良い本でした。
興奮しすぎてまとまってないけど、まぁいいでしょう!
最近忙しくて書く時間無いけど、思わず書かずにはいられませんでした。
ありがとう、辻村深月。

以上


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