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【#読物語:本】五十嵐立青『あなたのまちの政治は案外、あなたの力でも変えられる』

「あなたが政治を変えられる」(2022-06-16 山形新聞)

 地域の政治を、住民・生活者目線、特に若い世代の視点で伝える情報源はまだまだ少ないですが、その一つに『あなたのまちの政治は案外、あなたの力で変えられる』という本があります。

 舞台は架空のまち「さつき市」。三十代で二人の子どもを育てる《香織》を主人公として、彼女が暮らしの中で体感する「まちの政策についての疑問やツッコミ」を、夫の《大輔》やママ友の《真由美》をはじめとした周囲の人たちとの会話形式で語っていきます。

 さつき市は、よそからのイメージは上々なのに、住んでみると困った問題があちこちに。保育園、学校、農産物直売所……といったシーンごと、香織と事情通の登場人物が実感を話します。親しみやすいイラストや図解も多く、それぞれの問題がどんな仕組みで起こっているのか、さつき市の政治・行政は何ができていないのかをわかりやすく伝えてくれます。

 中には、「政務活動費って、たくさん何にでも使えるの?」という一節も。議員の政務活動費問題が記憶に新しい山形県民、鶴岡市民にとっては特に気になるポイントです。

 著者の五十嵐立青(たつお)氏は、さつき市のモデルとなった茨城県つくば市の若き政治家。二十代からの市議会議員の経験をもとに本書を書き、その後三十代で市長に当選。先進的な政策で注目を集めています。

 この本は、自分たちでまちを改善する方法を教えてくれるとともに、地域にどんな政治家がいるとよいか考えるヒントにもなるでしょう。あなたのまちの政治家も案外、あなたの力で変えられるかもしれません。

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