新年の抱負より長期目標。
ドリームキラーにご用心。
月曜から夜ふかしで優待名人の桐谷さんが登場してから10年が経とうとしている。彼の功績で10年前と今とでは比べ物にならないくらい、株式投資の風向きが良い方向に変化しているように思える。
そうして影響を受けた私を含めて、バブル崩壊やライブドア事件、リーマンショックの経験なく市場に参加している世代がSNSを中核として、所謂株クラ村が形成されているように感じられる。
桐谷さんや株クラ民の投資手法が良いか悪いかは別にして、これまでの投資はギャンブルで損をするものと言ったマイナスイメージは、若年層を中心に払拭されつつあるのではないだろうか。
しかし、せっかく投資や資産運用に興味を持ったにも関わらず、それを心無い言葉で冷や水を被せにくるような、金融リテラシーのカケラもない下劣な輩どもが一定数存在するのも事実で、それに反論できるだけの知識がなくてやる気が削がれてしまうのは非常に勿体無い。
私は弱冠にして、資産形成を行うためには収入を増やすか、支出を減らすか、運用利回りを上げるかの3つしかない真理に気付いた。
最初は支出を減らそうと、まだ黎明期だった頃に携帯電話をMVNO(格安SIM)に切り替えるところからスタートしたが、そもそも労働集約型産業で薄給な鉄道員の賃金だけでは、いくら支出を削減しようと努めたところで、そもそもの生活コストの天井が10万円そこらである。
削れる項目などQOLを鑑みれば一定程度の限界があり、思いつくことを片っ端から試しても1年もすれば、しばらくの間はこれ以上削る余地がなさそうな状況となり、一通りの固定費部分が概ね合格点なプランに変更してしまえば、そこから支出が劇的に削減されることはない。
そうなると収入を増やすか、運用利回りを上げるかとなるが、いざ収入を上げようと副業や転職活動を行ったり、投資の勉強をしていると、ぬるま湯に浸かって何も挑戦していない、ただのドリームキラー共にやる気を削がれることが多い。
挑戦に遅過ぎることはない。
副業なんて上手くいくはずがない。確かにみんなが副業で稼げるなら、揃いも揃って企業と雇用契約を結んで賃金労働者をやっていないだろう。簡単ではないし、私もまとまった利益を得られるような何かは実現できていない。
それでも、当時の経験を応用してフリマアプリで使わなくなった物を適正価格で販売するために、日頃からリセールバリューを意識するようになったし、ここ数年は不用品を売って得たお金の範囲でしか買い物をしていないため、給与所得からお小遣いを捻出する必要がなくなった。月に数万円と言えど、5年、10年スパンで見るとバカにならない。
転職しようものなら、「うちで勤まっても他所では通用しない」がもはや常套句であるが、視野狭窄や学習性無力感に陥って、思考停止状態になっている何よりの証拠である。20代でやり直しが効かないと豪語するなら、そんな組織こそしがみつく必要がない。
それに、社会に出てから「もっと勉強しておけばよかった」と思う人は多いが、そう思うのであれば、行動に移して自発的に何かを学ぶ自己投資をして、人的資本を向上させる試みのひとつでもすれば良いが、それをする人は残念ながら少数派である。
多くの人は口だけで、大学に行ってまで本気で学び直したり、士業資格を取得する人など殆ど居らず、資格取得と言っても大抵はお金を払って受講さえすれば誰でも取れるような、何の役に立つかも分からない意識高い系資格で自己満足して、資格を発行する協会を潤わせるのが関の山である。
私は疫病で従来の行動が制限されたのを絶好の機会と捉え、通信制の大学で学士を取得するために入学した。今更とか、学歴にならないと非大卒から僻みの声が聞こえた気がするが、既に中継地点で短期大学士を取得して、最後に学割を使い潰すために、単位を積み増している最中であるが、足を引っ張ろうとした奴らがこの間に何か変化した様子は見られない。
資産運用に関しても、少額で数%の利益が出たところで程度が知れていると言う人も一定数居るが、それは複利効果を無視している。
株式を中心に運用すれば元本毀損のリスクを伴う代わり、銀行預金よりも大きなリターンを得られる訳で、単利では小さいかも知れないが、それが雪だるま式に膨れ上がることで、将来大きな資産となる可能性を秘めている分、預金一辺倒よりも夢がある。
今が人生で一番若いのは紛れもない事実なのだから、何かを始めるのに遅過ぎることはないのである。
失敗した経験は決して無駄にならない。
それに、仮にこれらは20代で失敗に終わったとしても、何かしらで挽回できるだけの時間が残されている可能性が高い。
転職で収入を上げ、契約の見直し諸々で支出を減らし、株式で運用して20代でそれなりの資産規模になったと聞けば、私がとんとん拍子の人生を歩んでいるように思われるかも知れない。
しかし、いざ実行してみると独立できる規模の副業など見当たらず、異業種の転職は歯が立たず、同業他社で妥協した上、後に内臓を悪くしたり、支出だって中央値に届くか届かない程度の年収でありながら、生活保護と大差ない暮らしぶりで慎ましく淡々と暮らしている。
株式投資も半分はインデックスファンドで市場平均に乗っかっているし、残りの個別株も流行りの銘柄は避け、高配当のディフェンシブやバリュー中心で、リターンに爆発力がある訳ではなく、我ながら堅い運用だと思っている。
挑戦のひとつひとつに派手さはないし、中には失敗したものもあると言うより、失敗しなかったものだけが生き残って、未だに継続できているだけで、今たまたま上手くいっているものも、いつまで続くか定かではない。
だからこそ、今までとは違う何かに対して、再起不能にならないリスクの範囲で挑戦してみて、引き出しを増やしていくことが、時間経過と共に成長していくための材料になる。だからこそ、失敗することは決して無駄にならない。
そう信じて理論上実現可能な早期退職を試行してみるが、その過程でもし青二才だと思ったなら、その時に軌道修正すれば良いだけの話である。
いくら外野からFIREなんて馬鹿げている。大人しく賃金労働者で甘んじろと言われたところで、やってみなければ分からないし、当事者になってみなければ見えない景色もあることだろう。
できない理由を並べるのは簡単だが、どうしたら働かない生活を実現できるかを考えて、これまで積み上げてきたのだから、理論上破綻しないのなら実行に移して実験するだけである。
そんな風に1年以内で実現可能な新年の目標ではなく、5年、10年スパンの野望を設定した方が成長するのに有用かも知れない。