『ニムロッド』
今日は”People In The Box”についての紹介です。このバンドも私は好きなんですよね。スリーピースとは思えないほどのアレンジの引き出しの多さ、一筋縄ではいかない、トリッキーなバンドアンサンブルが魅力的です。
そしてさらに一筋縄でいかないのは、ギターボーカルである”波多野裕文”による歌詞です。何曲か聴いてみればわかりますが一聴しただけではその意図が掴めないです。そもそも文章として成立しているのか?してないのか?なんて奇妙な歌詞です。ただ、歌詞の背景には、切実なメッセージが見え隠れています。必聴です。
“People In The Box”の魅力をお伝えするにあたって、どの曲を取り上げようかなぁと非常に迷ったのですが、彼らの代表曲の1つである『ニムロッド』にします。今聴くことに意義があるような気がするので。
この曲の歌詞も、一見しただけではさっぱり分かりません。しかし、よく聴いてみると、”反戦”訴えている、または”戦争の愚かさを皮肉っている”んじゃないかと、感じ取れます。彼らは歌詞の解説をしないので、解釈はリスナーそれぞれに委ねられます。
色々と難しそうなことを書いてしまいましたが、はじめての方もまずは聴いてみましょう。深読みしなければ波多野氏のイノセントな歌声が際立つ爽やかな楽曲です。
はい、アコースティックとエレキ、2種のギターの使い分けが絶妙ですね。優しい単音のアコースティックギターの旋律に、時折挿入される暴力的なエレキギター。歪みつつも乾いた耳触りのサウンドは、激しい爆発や振動を思わせます。
リンクしたYouTubeのコメント欄や音楽系のブログでも散々語られていることなので、今更私が言及することでもないのですが、戦争や空襲を彷彿させる歌詞です。
投下される爆弾やミサイルを思わせる描写です。
なんとも不穏です。「取り返しがつかない」というようなニュアンスを背筋が凍るような表現で歌ってます。
また、作者が言及していないので、あくまでファンの憶測になりますが、”反核を訴えている”と言う見方もできます。
そして何よりも冒頭で引用した部分です。
太陽が偽物、ゾッとします。”加藤隆”のアニメーション(最近だと米津玄師のパプリカで有名ですね)とも相まって強烈なクライマックスです。初めて聴いた時はしばらく頭から離れませんでした。
と言うこと”People In The Box”から『ニムロッド』でした。あくまで非公式な解釈になりますが、詞世界の裏側にあるメッセージを垣間見ることができたかと思います。今回の紹介も所詮YouTubeやニコニコにあるコメントの受け売りなので、各自で歌詞を解釈するのも楽しいと思います。
余談ですが2019年に芥川賞を獲得した、”上田岳弘”による小説『ニムロッド』はこの楽曲にインスパイアされた作品です。作者の上田氏により明言されています。
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