スター不在の舞台、されど輝きを放つ者たち
俺は凄えものを目にしてきた。
夏休みに遠方へ旅行に行くにはちょっと財布が寂しいからと後楽園ホールに足を運んでみたのだが、そこでは壮絶な闘いが繰り広げられていた。
その闘いとはプロレスリング・ノアのリーグ戦「N-1 VICTORY 2024」だ。
同時期に行われている新日本プロレスのリーグ戦「G1 CLIMAX34」と比べるとまだ認知度は物足りないものの、会場の熱気や試合の白熱ぶりは決して負けていない。プロレスリング・ノアの選手たちも業界トップの座を狙わんとその炎は煌々と燃え盛っているのだ。
だが、俺が現地で観戦した興行「8月11日の後楽園大会」はとんでもない崖っぷちの興行だったのだ。8月9日・10日・11日の後楽園大会3連戦を締めくくるはずの大会だったのだがこの日の運営サイドは、近年でもかつてないほどに追い込まれていたと思う。一観客でしかない俺も「下手したら返金騒ぎになるんじゃないか🤔」と杞憂してしまうほどにはヤバい状況だった。
なぜそんな窮地に陥ったのかを順を追って説明してみよう。あくまでも俺の主観による解説なのであしからず。
……
まずこの後楽園3連戦の試合数を比較してみよう。
8月9日:全9試合
10日:全8試合、
11日:全7試合……
……ん?
最終日だけ妙に少なくね?
そう、このリーグ戦、欠場者が続出の波乱のシリーズとなってしまっているのだ。
まず、当初のこの回は、メインイベントとして【清宮海斗vs潮崎豪】が予定されていた。
NOAHの強さやかっこよさの象徴である前年優勝者「潮崎豪」と、団体の未来を背負う新星「清宮海斗」。団体を代表する新旧のイケメンエース同士の直接対決を3連戦のトリを飾る目玉試合として集客を見込んでいたのだと考えられる。
それは、この日にはプロレスリング・ノアで最も人気があり、YouTuberとしても知名度の高い選手「拳王」の試合が組まれていないことからもこの対戦カードへの自信が感じられる。
だが、ここで一つ目の危機が訪れる
開幕直前にして潮崎豪の欠場が発表されたのだ。本人は這ってでも出場することを希望していたが取り返しのつかないような事故や負傷があってからでは遅い。楽しみは減ってしまったが、俺はこの決断を支持する。
そこで立ち上がったのが小峠篤司だった。
この男、キャリア19年と経験豊富でジュニアヘビー級としては体格にも恵まれ、おまけにビジュアルもなかなか男前なのだが、思うように結果が出ずに燻っていた。
欠場を発表した潮崎豪と同じユニットの仲間であり、彼の意思を受け継いで代わりに出場を決意したのだ。ここで活躍できれば彼にとって大きなプラスとなる。
8月11日のメインイベントも、新星vs星を追う者のこれはこれで熱い戦いとなる。
欠場を選んだ友、潮崎豪のジャケットをその身に纏い、いざ出陣!新たな輝きを放つ!!!!
……
……はずだったのだ。
小峠篤司、無念の欠場。
8月9日。後楽園ホール3連戦の1日目のこの試合、小峠篤司は全米No. 1のプロレス団体WWEからの刺客、2mを超える大型選手「ジョシュ・ブリックス」との対戦中、俺配信で観ていたが、中盤から明らかに小峠の動きがおかしかった。
体格差がありすぎてダメージをうまく抑えられなかったのか、技術的なことはわからないが小峠篤司はリーグ戦を撤退。
自動的に小峠篤司の対戦は全て消滅することとなった。
そう、これを機に8月11日大会のメインイベント【清宮海斗vs小峠篤司】は消滅したのだ。
危機はさらに続く。
メキシコから継続参戦している団体のエース外国人選手。多くのファンから支持を集めるピープルズチャンピオンと言っても過言でもない「イホ・デ・ドクトル・ワグナー・ジュニア」も欠場を発表したのだ。
ポスターでもど真ん中にいる通り、超人気の“みんなのヒーロー”的なスター選手の撤退はこのシリーズ全体に暗い影を落とす。
彼は強さも華麗さも兼ね備えためちゃくちゃカッコいい選手だったのだが、後楽園ホール3連戦の2日目、清宮と並ぶ新世代の選手「稲村愛輝」とのメインイベントでの対戦で飛び技を失敗し、負傷してしまったのだ。(この試合自体は凄かった)
潮崎豪、小峠篤司、ワグナージュニア、と3選手が欠け、9⇨7試合に減少したままリーグ戦は進み、俺の生観戦する8月11日、当日を迎えることになる。
長くなったので次回へ続く。
次回、「稲村よ、漢となれ!」
※あと、この過密スケジュールや無茶な開催時期にも正直言って思うことがあるのでそれについても書くかも
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