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いのりを いま君のもとへ
昨日は既に観たことある映画を観るために秋葉原へ行ってきた。
観た作品とはこれだ。
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『伝説巨神イデオン』の劇場版だ。
この作品は『機動戦士ガンダム』を手がけた富野由悠季が監督を務めたアニメ映画で、公開が1982年と私が生まれる10歳以上前だが今なお朽ちない魅力を放っていた。
つーか知ってる?イデオン。これを知らずに「エヴァがどうのこうの〜😏」なんて言ってるやつは全員モグリと知れ。キャラクターデザインやロボットがびっくりするぐらいダサいから見逃されがちな作品だが、これより心を揺さぶられるアニメを知らないくらいには私にとって衝撃的な名作だ。
アニメ文化に少しでも興味があるなら観ておいて損はないと思う。
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主人公の[ユウキ・コスモ]、頭ハッピーセットかよ?って印象のダサいビジュアルだが、観続けていくうちに親しみも湧くし魅力も感じてくる。人間の勇敢さと、それに反するような情けなさや未熟さといった、正負の人格を映し出した共感できる人物だと思う。
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そして彼らが駆る巨大ロボ[イデオン]、ハッピーセットのおもちゃのようなイモくさいデザインだが、観続けていくうちにその超越感に圧倒される。
ちなみにこのイデオンはロボではなく第六文明人の遺跡だ。決してダサいおもちゃではない。古代の宇宙人が遺した巨大建造物だから我々と異なるデザインセンスなだけなのだ。
……という設定。会社に指定されたあまりにカッコわるいデザインをミステリアスさの演出に利用する監督の手腕と苦悩たるや😏
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異星[バッフ・クラン]のエリート兵士[ギジェ]、主人公たちを執拗に追いかけるイケメンライバル的ポジション(イケメンか否かは私に判断しかねる)。ハッピーセットで例えるとナスのグリマスか。
こいつも外見はともかく魅力的なのは内面だ。多くを語るとネタバレになるが、気高さと生き汚なさ(みっともなさ)を両立したキャラ造形なのだ。(主人公のコスモと似た説明だがまた別の魅力) ダメ人間の抱えた崇高さが味わせてくれる。
この作品のテーマは多様に存在するが、私にとって最も印象深いのは「異文化人同士のファーストコンタクトの失敗」を真正面から描いていることだ。
アニメや映画の世界では異国や異星のキャラクターに主人公が出くわしても、最初は戸惑いさえすれ、あっさりとコミュニケーションを取れる場合が多い。仲間キャラなら普通に打ち解けるし、敵キャラだとしてもお互いに敵だと認識できる。奴らがが我々の敵か!!ってね。
しかし、イデオンの作中においては地球人とバッフクラン人、互いに平和的な種族でありながら、些細なすれ違いをキッカケに最終回まで全力で憎しみあい、殺し合うハメになる。憎しみ合う理由は全くないのに和解ができないし、終戦の糸口を探すキャラもいるのだが戦局がエスカレートするに連れて遠のく。(一応戦争の理由はのちに仄めかされる)
この、理解し合う余地はあるのに理解し合えない絶望感のようなものがイデオンにおける肝だ。
もちろん子供向けアニメとしてはヒットしなかった。
それゆえに本放送は物語の途中で打ち切りとなり、完結編は劇場版に託されたのだ。
それが、今作ってわけね。作画なんてすごいんだぜ、現代のアニメより動くし迫力がある。オーパーツのような作品だ。(もちろん現代でもクオリティの高い作品もたくさんあるけどね)
ちなみに私がこの作品に出会うきっかけとなったのが、とある中年女性のブログである。
やはり文章力の高い方のレビューは魅力的だ。非オタクでロボットものにもアニメにも特に興味のなかった著者がこの傑作を見て受けた衝撃をありのままに(しかもわかりやすく)伝えてくれている。
私もすごいからとにかく見てくれとしか言いようがない。
このブログでも書かれているが、序盤はびっくりするくらいつまらない(後で見返すと魅力がわかるタイプ)が、中盤に差し掛かるにつれてこの壮大な逃亡劇に釘付けになること間違いなしだから。
スペースランナウェイ!!
別れてみたら きっと楽だよ
すりへらす日々 君はいらない
おもいやり ふと あげてみる
涙がかれた 乾いた肌に
コスモス宇宙(そら)をかけぬけて
いのりを いま君のもとへ