Reproのカスタマーサクセスの実践に役立った良書10選
Reproのカスタマーサクセスに取り組む中で
・学びが多く実践に役立った
・未だに定期的に読み返している
に該当する本を10冊まとめました。
ー目次ー
【戦略】
・1.CRM―顧客はそこにいる
【SaaS戦術】
・2.Running Lean ―実践リーンスタートアップ
・3.SaaSスタートアップ創業者向けガイド
【カスタマーサクセス】
・4.Farm Don't Hunt: The Definitive Guide to Customer Success
・5.Chief Customer Officer 2.0: How to Build Your Customer-Driven Growth Engine
【思考/課題解決】
・6.イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
・7.問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」
・8.消費者行動論
【サポート/支援】
・9.謙虚なコンサルティング―クライアントにとって「本当の支援」とは何か
・10.人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則
ーーーーーー【戦略】ーーーーーー
1.CRM―顧客はそこにいる
「CRM」とは「LTVを最大化させる為の戦略概念」を指します。したがって本書はカスタマーサクセスの戦略とその指針を与えてくれます。
LTVを最大化させる為には3タイプに定義された「儲かる顧客」を重視しせよと主張したうえで、「個客シェアを高めLTVを最大化しましょう」ということが書かれています。
【3つの儲かる顧客】
1.直接利益顧客
2.紹介顧客
3.学習利益顧客
1はエンタープライズ顧客支援、2,3はCS用語で言うところのAdvocate Engagement、 Product Success を、そして「個客シェア向上」はネガティブチャーンを指しており、まさしくCS戦略が示されています。
本書ではさらに、LTV最大化の為に顧客をセグメントしてそれぞれの顧客ニーズに応えていく必要があると論じた上で、セグメンテーション(顧客をどこまで細かく切り分けるか)の最適解についても、答えを出しています。結論、ROIが最大化する適切な大きさでセグメントせよと。
そのため「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチのバランスはどう考えれば良いか?」と言うよくある疑問も本書が解消してくれます。当然、低ACVSaaSでテックタッチに比重が置かれ、高ACVSaaSではコンサル的サポートに比重が置かれます。
戦略の書。それが本書です。
ーーーーーー【SaaS戦術】ーーーーーー
2.Running Lean ―実践リーンスタートアップ
SaaSの成長にはリーンスタートアップが不可欠です。素早く立ち上げ、低コストで回し、高速で学習していくことが求められます。とりわけPSF,PMF,実験学習の考えは実業務で頻繁に求められました。
1.PSF (Problem-Solution-Fit)
・そもそもそこに課題は存在するか?その課題は深いか?
・ソリューションはその課題を解決するものになっているか?
カスタマーサクセスは顧客課題解決の連続です。常に顧客課題にフォーカスし続けること、そして「考案したソリューションは本当に顧客課題を解決するものになるのか?」を何度も確認し続ける必要があります。
2.PMF (Product-Market-Fit)
・プロダクトはマーケットにフィットしているか
・PMFを達成するまではひたすらピボットせよ。
カスタマーサクセス が成立する為の前提条件は「PMFを達成した素晴らしいプロダクトの存在」です。「この前提が崩れたままカスタマーサクセスに注力するべからず」という事を本書が教えてくれます。
またPMFは部分的考えることもできます。プロダクトとしてのPMF、サービス全体としてのPMF、業界カテゴリごとのPMF、CSサポートとしてのPMF…等と整理できます。そう考えることで、部分的PMF未達が要因によるチャーン、すなわち「○○業界ではPMF達成してるけど、XXの業界ではPMFが未達だった為チャーンした」という視点が見えてきますので、Product Successにつながります。
3.実験と学習
基本的にSaaSスタートアップは学習競争です。アジャイル的な手法で短期間に学習することの重要性と手法が書かれています。
3.SaaSスタートアップ創業者向けガイド
Salesforceの成長ストーリーが赤裸々に書かれています。SaaSは成長フェーズごとに生じる課題が急激に変化します。salesforceではどのような課題が生じ、いかにして解決してきたか。その具体的な軌跡をなぞることができます。
・PMFを達成すると営業チームのオンボーディングが重要になること
・カスタマーサクセスは企業文化に依存する事
・スケール化に伴いナレッジマネジメントが必須になること
・フェーズごとにCSMの役割や定義が変化していくこと
などなど。
ReproのCSでは本書からインサイトを得て、メンバーオンボーディング速度の改善を行いました。立場によって様々なインサイトが得られる良書だと思います。これを無料で公開してくれたsalesforceさんには心から感謝します。
ーーーーーー【カスタマーサクセス】ーーーーーー
4.Farm Don't Hunt: The Definitive Guide to Customer Success
CS本と言えば青本と、この緑本が有名です。「何故もっと早くこの本と出会えなかったのか」と激しく後悔しました。長きにわたって学習した事が、全てこの1冊に体系化してまとめられていたのですから。
カスタマーサクセス に必要なエッセンスが過不足なく、シンプルにまとめられています。あえて1冊だけ選ぶなら本書をお勧めします。
・顧客成功サイクル(The Customer Success Cycle)
CSMは永遠にGrowingフェーズに注力し続けるべきで、Renewals&Upsellは結果でしかない。
・解約要因パターン
解約の傾向とパターンも体系化されてまとめられています。そのため、学習して仮説立てした解約要因は、間違ってなかったと本書で確認出来ました。
・CSに必要なファンクション
カスタマーサクセスの形はフェーズごとに変化していきます。その際にCS内にどのようなファンクションが将来必要になるのかを教えてくれます。
素晴らしいエッセンスが多分にあり、ここでは書ききれないのでぜひ読んで下さい。近い将来、日本語翻訳本が出版されるのは間違いないでしょう。
5.Chief Customer Officer 2.0: How to Build Your Customer-Driven Growth Engine
カスタマードリブンな組織を作る時に参考にした本。顧客体験を発想の中心に添えたフレームワークが整理されている。CSドリブンなチームビルディングで悩んでいる人などは読むとヒント見つかります。ただ、今後も日本語に翻訳されないと思うので英語でどうぞ。
以下、書籍に中に登場する5つのポイント。
1. Manage and Honor Customers as Assets
2. Align Around Experience
3. Build a Customer Listening Path
4. Proactive Experience Reliability and Innovation
5. One Company Accountability, Leadership & Decision Making
ーーーーーー【思考/問題解決】ーーーーーー
6.イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
あまりに有名な本書ですが、定期的に読み返す実践の書になっています。
SaaSスタートアップのカスタマーサクセス では、課題は常に移り変わり、フェーズを追うごとに課題の量は膨大に膨れ上がります。さらにイシューは動く標的ですので、扱いが難しい。解くべきイシューを間違えると、犬の道に陥り時間を浪費してしまいます。SaaSスタートアップは学習速度と時間が命ですから、「今解くべき問題」を見定めていく事が必要不可欠です。その考え方を体系化している本書は実践向きの書です。
7.問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」
「イシューからはじめよ」では解くべき問題の選定方法が書かれていましたが、本書は「そもそも問題とは何か」という疑問に答えてくれます。
「問題とは、あるべき姿と現状のギャップである」と論じた上で、「問題を認識できない要因は次のパターンに集約される」と明快に解説してくれます。
CSは基本的に顧客のあるべき状態を定義し、現状を認識し、そのギャップを埋めるために必要な手を打ちます。結果としてそれは、オンボーディングやロータッチテックタッチなどのソリューションとして表れます。カスタマージャーニーは言うなれば「現状の顧客が、あるべき姿に到達するまでの流れ」の図ですし、KPIとは顧客のあるべき姿を定量指標で表したものになります。
基本的に施策の立案はこの考え方をベースに行っています。
8.消費者行動論
心理学やマーケティングを勉強している人にとっては、今更感がある内容ではありますが、導入編としてはどの本よりも最適です。消費者行動論のベースを知っているとセールスやマーケティングだけでなく、カスタマーサクセスにも応用できるので、この領域にふれたことがない人は必読。
読みながら事例を抽象化しやすいので、CSの仕事を始めたばかりの人でも参考になるかと。
ーーーーーー【サポート/支援】ーーーーーー
9.謙虚なコンサルティング―クライアントにとって「本当の支援」とは何か
カスタマーサクセスの支援の仕方は通常のコンサルティングと異なります。コンサルタント自身が問題を解くのではなく、CSMはあくまでクライアントの自走を支援し、伴走します。そのようなカスタマーサクセス特有の支援の在り方を解説しているのが本書です。著者で組織心理学者のエドガー・H・シャイン博士は、その支援手法を「謙虚なコンサルティング」と定義しています。
・クライアントと信頼関係を築きレベル2になること
クライアントの課題を突き止めるためには信頼関係を築くことが大事で、その信頼関係レベルを「レベル2」に到達させる必要があると書かれています。ReproのCSではこの「レベル2」という言葉がキーワードとして登場します。
・プロセス的な支援をすること
コンサルタント自身が問題を解決してはならず、クライアントに解決してもらうべきだ、コンサルタントはそのためのサポートに徹し、プロセス的な支援を行いましょう。と書かれている。まさしく伴走のその具体的な手法が書かれています。
より深く「プロセス的支援」を学には同著者の「プロセス・コンサルテーション―援助関係を築くこと」がお勧めです。
10.人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則
こちらもシャイン博士の著書で、「謙虚なコンサルティング」という手法が効果に働く理由を解き明かしてくれます。支援者と支援される人の間には、ある特定のダイナミズム(力学)が働く。そのダイナミズムによる不均衡状態を解消しないと、支援は失敗に終わる。まさに支援力学の解体新書。
・なぜカスタマーサクセスではtodoとしてタスクを渡すことが有効なのか?
・なぜキックオフMTGで目標設定することが大切なのか?
・なぜあのサポート方法は上手くいかなかったのか?
このメカニズムを理解する事で、これらの疑問がクリアになります。ハイタッチサポートの改善につなげることができます。
まとめ
本当にお勧めできる本を計10冊を厳選しましたが、いかがでしたか?当社ではチームの垣根を越えて、オススメの本をシェアしあう文化があります。
そしてインプットとアウトプットを更に加速させ、クライアントに価値を提供し続けるカスタマーサクセスチームにしていきたいです。
written by Customer Success Manager Kengo Iwata
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