『心配するたびに前頭葉が萎縮する』
今回は
『心配するたびに前頭葉が萎縮する』
というテーマでお話ししたいと思います。
皆さんはそもそも脳の萎縮は何歳ごろからどれぐらいのスピードで起きているかご存知ですか?
実は脳は25歳頃から1年に0.5%ずつ小さくなっていると言われています。
脳の細胞は壊されては生まれての繰り返しですが、
25歳を過ぎると生まれる細胞がほんの少しずつ少なくなっているわけです。
そして特にうつ病の方はこの萎縮スピードが加速しています。
なぜなら成人してからも脳の新しい細胞は生まれていますが、うつ病の方は新生が阻害されてしまうからです。
実際に極度の心配性の人は、
前頭葉の各部位が小さいと言われています。
前頭葉とは
思考、判断、情動のコントロールを行なっている所で、コミュニケーションなどは前頭葉が働いています。
この前頭葉はストレスを感じた時、
感情が暴走しないように
理性を失った行動をしないように
ブレーキをかける働きがあります。
例えば大きな地震が起きた時、
一瞬で体は厳戒態勢に入ります。
心拍数が上がり不安な状態です。
この時は扁桃体という脳の部分が活発になっています。
そしてパニックにならない様に
論理的な思考を促すように前頭葉が働きます。
このおかげで冷静に
机の下に入って体を守らなきゃとか
外に逃げなきゃと判断が出来るようになります。
つまり扁桃体と前頭葉は感情を綱引きするように
バランスを取っているわけです。
しかし慢性的なストレスで
前頭葉が萎縮して扁桃体との綱引きが出来なくなってしまいます。
つまり扁桃体がやたらと体に警告を発し、
アクセル全開の時に前頭葉のブレーキが効きにくい状態だったら
ほんの些細なことも大袈裟に反応するようになってしまいます。
これがいわゆる不安症やうつと関係します。
今日はこれの対策もお話ししたいと思います。
前回の「海馬は記憶の働きだけじゃない」で
お話ししたストレス対策とほぼ同じです。
それは「心拍数を上げて予行演習をする」です。
不安障害の症状が始まると、
心拍数と血圧が上がります。
脳は何か悪いことが起きるんじゃないかと興奮状態になります。
これが不安やストレスに晒された時の一連の流れです。
ただ運動でも心拍数や動悸は激しくなります。
しかも運動後はエンドルフィンとドーパミンと呼ばれる快楽物質が分泌されて気分は穏やかになります。
つまり体を動かすことで心拍数や血圧が上がっても、不安やパニックの前触れではなく、
良い気分をもたらしてくれるのだと運動が脳に教え込むのです。
心拍数の上昇を不安が始まる前触れだと思っていたのが、
心拍数が上がることは恐ろしいことではなく、
好ましいことだと思うようになったわけです。
では最後に運動するとなぜ前頭葉は強くなるのか
5つのポイントで簡単にお話ししていきます。
体を活発に動かすと脳の血流量が増える
前頭葉に血液が流れ、機能を促進する
運動を長期にわたって続けると、前頭葉に新しい血管が作られる
そして血液や酸素の供給量が増え、老廃物がしっかり流れて取り除かれる
前頭葉と海馬の連携が強化され効率よく扁桃体を制御できる
この5つがポイントです。
運動と言っても何の運動がいいかわからない方もいると思います。
1番は体に負荷がかかり心拍数が上がるジョギングや水泳ですが、
一時的に心拍数が上がるサッカー、バスケ、テニスでもOKです。
年配の方でどれも無理という方は、
散歩でも大丈夫です。
ただしどうしても他の運動と比較したら効果は薄れてしまいますが、
散歩でも毎日20分習慣にしたら運動を全くしていない方よりも脳の萎縮スピードは変わります。
今回は
『心配するたびに前頭葉が萎縮する』
というテーマでお話ししました。
運動は科学的にも効果が実証されていますので
ぜひ試してみて下さい。