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マラソン練習と行動経済学から学んだ習慣化のコツ
みなさんは習慣化したいことはありませんか?
筋トレ、英語学習、資格取得のための勉強など、どれも最初は意気込むものの、続けるのはなかなか難しいものです。
私自身もこれまで何度も習慣化に挑戦し、三日坊主に終わった経験は数知れません。ずっと前にユーキャンのとある講座(それなりの値段でした)に申し込んで、教材が届いたものの全く続ける事ができず挫折した苦い経験もあります。
しかし、最初は嫌いだったランニングがいつの間にか習慣になったとき、「もしかすると習慣化にはコツがあるのではないか」と気付かされました。
今回はそんな自身の気付きと、行動経済学から学んだ習慣化のコツについてお届けします。
【前提】人は本来、怠ける動物です
正直に言いますと、私自身はとても怠け者です。
冬の寒い朝、布団から出たくないと思うし、こたつでみかんを食べながら暖かい部屋でダラダラ過ごしていたいです。仕事なんてしたくありません(アッ、言っちゃったw)
しかし、なぜかランニングだけはほぼ毎日続けられています。
これは、シンプルなルールと「小さな成功体験」を積み重ねることで、自然と行動が習慣化されているからです。私は意志が強いスーパーマンではありません。
何度も言いますが私は特別意志が強い訳でもなく、むしろ怠け者です。しかし、ちょっとした仕組みを取り入れて習慣化が出来れば、誰でも変わることができるのです。
現在バイアスと目標設定の落とし穴
習慣化の第一歩は目標設定です。
たとえば「1ヶ月後までに体重を2kg減らす」といった目標は、一見すると具体的でよさそうですが、1ヶ月後という未来はそこそこ遠いため、落とし穴が潜んでいます。特に意志の弱い人は要注意です。
人間は「現在バイアス」と呼ばれる心理傾向により、目の前の快楽を将来の成果よりも過大評価しがちです。1ヶ月というのはそれなりの期間があるので「目標の期限までまだあるし、今日くらいアイスを食べてもいっか」とか「今日は少し長めに歩いたから、ビールもう一本飲んじゃおう」などと目の前の誘惑に負けてしまいます。そうすると、結局目標が達成出来ずにダイエット失敗になってしまう訳です。
そこでおすすめなのは、バカバカしいほど簡単で、即日実行できる目標を設定することです。たとえば、
筋トレなら「1日1回の腕立て伏せ」
ランニングなら「ランニングシューズを履いて外に出る」
英語学習なら「1分だけテキストを開く」
ダイエットなら「1日3分だけ縄跳びをする」
このような極小の目標設定であれば、「簡単すぎる」と感じやすく、成功体験がすぐに得られるため、次第に行動のハードルが下がり、継続しやすくなります。
ちなみに、縄跳びは運動強度が高く短時間でも多くのカロリーが消費できるとても優れた運動です。
ここでのポイントは、「やりたくなったら、さらに目標以上のことをしてもよい」ということです。たとえば、
「勉強を始めたら、意外にやる気が出て長時間集中できた」
「走り始める前はだるかったけれど、走り始めたら楽しくなり、長い距離を走ることができた」
といったことが起こります。これは、行動することでモチベーションがさらに促される良い例です。バカバカしいほど簡単な目標を確実にクリアすることが、習慣化の上で非常に重要なポイントになります。
行動経済学が教える習慣化のテクニック
以下では、行動経済学の知見を活かした具体的な習慣化の方法を3つのポイントに分けてご紹介します。
1. 即時報酬とナッジの活用
行動経済学の研究によると、人は未来の報酬よりも、今手に入る小さな報酬に大きく反応します。たとえば、朝のランニング後にお気に入りのコーヒーを飲む、30分間の勉強後に好きな音楽を楽しむなど、行動直後に小さなご褒美を設定することで、その行動自体が楽しくなります。
また、行動を促す「ナッジ」という手法も効果的です。ナッジとは、簡単に言うと行動を促すためのちょっとした仕掛けのことで、英語の "nudge" は「肘で軽く突く」という意味があります。
たとえば、玄関にランニングウェアやシューズをあらかじめ用意する、パソコンやスマートフォンのリマインダーやアプリを使って決められた時間に「今日の1分勉強!」と表示させるなど、無意識のうちに行動を促す仕掛けや環境を作ることで、習慣化定着の助けになります。
2. コミットメントデバイスで自分を縛る
コミットメントデバイスという方法も有効です。簡単に言うと、ある目標に対して自分ルールを設定し、もしその目標が達成できなかったらペナルティを設ける、という方法です。
「やらなければならない」という自分ルールをあらかじめ決めることで、途中で逃げることが難しくなります。
さらに、他人を巻き込むとより効果的です。
たとえば、SNSで「明日は必ずランニングに行く」と宣言し、もし走らなかった場合は一ヶ月間断酒する、などの方法があります。こうした仕組みは、意志が弱いと感じる方にとって外部の力となり、習慣の定着を助けます。家族や友人に宣言するのも効果的です。
3. 小さな成功体験の積み重ね
「1分だけテキストを開く」といったシンプルな目標でも、実際に行動に移すことで「できた」という達成感を得られます。この小さな成功が自信やモチベーションを育み、次第に行動の回数や時間を増やす原動力となります。行動経済学では、これを「スモールウィン」と呼び、成功体験が連鎖的にさらなる成果を生むとされています。
実は、以前ご紹介した『小さな習慣』という本でも、この方法が紹介されており、私自身もランニングを習慣化するうえで非常に参考にしました。当時は行動経済学のことをよく知らず、「スモールウィン」という言葉も知りませんでしたが、後に学んでみると実に合理的な内容であると実感しました。
習慣化のコツは、運動だけでなく勉強にも応用可
今回の話は、マラソン練習を通じて私が得た知見ですが、この記事に書かれている「習慣化のコツ」は、あらゆる日常の行動に応用できます。
実際、私はこの方法を活用して、今年の1月1日から英語学習を習慣化し、すでに1ヶ月半ほぼ毎日続けることができています。
「1日1分だけ参考書を開く」「1つの問題を解くだけ」といった小さな目標を積み重ねることで、いつの間にか勉強も習慣となり、忙しい中でも自然に学習が進むようになります。
まとめ:小さな一歩が大きな成果へ
習慣化の秘訣は、いかに「小さく簡単に」始めるかにあります。そして、その行動を愚直に続けることが、習慣化を実現するための最も確かな方法です。私自身の経験からも断言できます!
また、行動経済学が示す「現在バイアス」を乗り越えるための即時報酬、ナッジ、そしてコミットメントデバイスの活用は、意志の強さに頼らずとも誰でも効果を感じることができます。上手にこれらを用いることで、習慣化
することのハードルが下がります。
運動や勉強など、習慣化したいと考えている皆さん!ぜひ今日から「1分だけ」の挑戦を始めてみませんか。小さな成功体験の積み重ねが、やがて大きな成果へとつながることでしょう。
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