note の『IRマガジン』に期待していること
note でIRマガジンが出来ました。
僕自身、投資信託の月次レポートにフォーカスして「研究所」をやってます。投資信託の月次レポートもIRの一種です。ここ最近、自分が保有している投資信託の投資先の会社のIR資料を眺めてみるのを増やしています。
そんなタイミングで、このIRマガジン。
とても楽しみな試みです。
IRマガジンに期待したいこと
今、マガジンに収載されている記事をナナメ読みしているところですが、やはり業績、数字の話が多めなのかな、という印象です。それはまあ、確かに当然のことですし、これは「課題曲」と呼べるものでしょう。
IRマガジンに期待したいのは「自由曲」です。
何よ、「課題曲」と「自由曲」って? ごめんなさい、いきなりで。
平山高敏さんの #オウンドメディア進化論 からの概念です。
課題曲とは
自由曲とは
「メディア」はIRにおいては「会社」と読み替えます。
「オウンドメディア進化論」の中で平山さんは note というプラットフォームを "Look at Story" (Twitterは ”Look at this"、Instagramは ”Look at Me")とされていて、noteで注目されるコンテンツの特徴として「Personal」「Process」を説かれています(2つの”P”のほかに「Social」「Small」も挙げられています)。
せっかくnoteでIRをするなら、「Personal」「Process」を意識して”自由曲”な発信を期待したい!ということです。
なぜ”自由曲”が大切だと考えるのか
「株式投資=お金の話」。この強固な硬い岩盤のような認識を変えてほしい、と思っているからです。IRにおいて”課題曲”は、業績や財務、数字の話が多くなるのは避けられません。数字のほとんどはお金がモノサシとして使われることでしょう。
本来、株式投資とは、投資する会社の事業に参加、参画することです。業績、財務以外にも、投資家が知るべきこと、理解するべきこと、納得するべきことはたくさんあるはずです。IRにはそれを伝えたり、時には投資家とそれらを確認し合うことが必要だと思います。
お客さんはどんな人たちなのか。そのお客さんに提供している価値はどんなものなのか。なぜその会社が選ばれているのか。その価値はどうやって生み出されたのか。まさに「Personal」「Process」です。
「オウンドメディア進化論」でも紹介された イケウチな人たち。
その会社で働いている人たち も大事です。
自社のWebサイトで発信しているだけでは届かない人たち(投資家)に、IRマガジンを通じて伝えられる可能性が広がってほしい。会社の事業のこと、働いている人たちのこと、どんな未来をつくりたいのか、その未来にどう貢献したいのか、読んでみたい。
上場会社にとって、とても重要なこと
上場会社の株式を市場で買ってもそのお金は会社の財布に入るわけでは無い。代金のお金は直前の株式保有者、株式を売った人の財布に行く。
この種のことがよく言われます。確かにその通りです。
でも、会社にとって、とても重要なことがあります。それはキャピタルアロケーションです。ここでは言うキャピタルは資金だけではなく、人材等も含まれると思います。
会社の持つ資本、獲得した利益をどこにどれだけ割り当てるのか、どんな投資をするのか、それが会社の価値創造、実現を大きく左右します。そのキャピタルアロケーションの方向性が株主に理解されているか、納得されているか、そこはとてもとても重要なことでしょう。会社と株主との間にしっかりとした信頼、関係が築かれていれば、会社による「腰を抜かすようなリスクテイク」「呆れるほどのコスト投下」の可能性が高まると思うのです。
そうした信頼、関係を築くのに、業績や財務といった実績が大事だという投資家も多いのは確かです。しかし、それだけじゃ足りない、あるいは、実績が今ひとつであっても「そうか、そんな未来を描いているのか!」と膝を打つことができれば、「腰を抜かす」「呆れる」ような挑戦に やってみなはれ! と背中を押したり、見守れたりできる投資家もきっといるはずです。
「同じ船に乗っている」 会社の皆さんと株主がそう感じられるようになる。
投資家のろくすけさんとのお話。ろくすけさんがご自身の投資先の会社のIR担当の方とのコミュニケーションについてご説明されていました。短期の業績予想、見通しではなく、その会社がどんな未来を描いているのか、それをどうやって実現しようとしているのか、に関心を寄せる投資家もいらっしゃるのを感じました。
IRマガジンが、そんな投資家との出会い、関係をつくるきっかけ、第一歩になれば素晴らしいです。
こうした事例が積み重なっていけば、時間はたくさん要すると思います、でも、「株式投資=お金の話」という認識が変化していく。そう思っています。
あなたはどこから来たのか
あなたはここでなにをしているのか
あなたはこれからどこへ行くのか
思い起こしたのがこの本です。
この本の最終章の記憶が蘇りました。
これをテーマにした”自由曲”みたいな記事。IRマガジンにご参加の各社の”自由曲”を聴いてみたいです。
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