資本主義の中心で、資本主義を変える(著・清水大吾さん)を読んで
清水大吾さんの『資本主義の中心で、資本主義を変える』を読み終えました。
最も強く印象に残ったのは、この箇所です。
「儲ける」か、「儲かる」か
順番を違えないこと。これがこれからは益々大事になってくる、それが僕の予想です。この順番をしっかりと説明し、説明通りに活動していると認められる会社は尊敬を集める。一方で、順番をテキトーにいい加減にしていることが見透かされると、市場、顧客、働く人たちから見捨てられてしまう。そんな流れを予測しています。
「今だけ、自分だけ」
短期思考を象徴する言葉として何度も登場するのが「今だけ、自分だけ」という言葉。この言葉は、リザルトパラダイムを象徴している言葉のようにも思います。 関心、注意を向ける矢印が自分ばかりに向けているようにも。自分の資産が今ナンボなんだろう、という具合に。
そして、もう一つ。アワビは3年!
政策保有株式問題の解決が進めば・・・
事業に、プロセスに、順番に関心を寄せ、見守り、建設的な対話相手となりうる長期投資家がどれだけふえてくるか、も重要だと思います。
会社が成し遂げなければならない変化
differentを追求できるか、追求し続けられるか。
投資家との対話においても次のように述べられていました。
「哲学」を持っていない、と指摘されています。
上でご紹介した 日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか では、コンセプト化、抽象化の弱さが痛烈に指摘されていましたが、そこに通じているように思いました。
教育の問題もあると思います。問いを立てて、自分なりの答えを探すことの経験の乏しさ。文脈の近い人同士でゴニョゴニョとやっておけばなんとかなった、そういうところから、コンセプト化、抽象化、概念の取り扱いがドンドン不得手になってしまったのだろう、と思いました。
今朝の清水さんのポスト。
エジンバラのベイリー・ギフォードさんは「ひたすら哲学の話」。
そうなのですよね、アワビは3年!を理解できている投資家なら、長い目線でWhyを、Whatを。それをHow どうやって実現してきたか、実現しようとしているか。それを支える「ものの考え方」を知りたくなるのがごくごく自然な論理の流れだと思います。
ダイバーシティは「ものの考え方」の多様性
3章 ピラニアを放り込め! 266頁で、ダイバーシティについて
と清水さんは主張されています。
とも。この点は上述の、コンセプト化、抽象化、概念に上手く取り組むために非常に重要な要素だと考えられます。多様な「ものの考え方」を前にした時、問いを立てるところから様々な見方が出てくるでしょうし、当然、文脈が大きく違っている中で調整を図り、答えを探す必要が出てくるはずです。
この重要性をどれだけ認識して組織づくりをしていくか、も投資家として関心、注意を向けるべきだと悟りました。
面倒くさい人
清水さんご自身を「面倒くさい人」とされていましたが、僕もかなり「面倒くさい人」「面倒くさい投資家」だと思います。
金融教育じゃなくて投資教育と呼ぶべきだ!とか、ね。
最近、ますます意固地、頑なになってきてます笑
「面倒くさい」でこの記憶も甦りました。
清水さんの「面倒くささ」に、とても近いものが僕の中にあるのを感じる読書体験となりました。
いつか清水さんと「面倒くさい」同士でお話ができると面白そうだなあ、と思いました。
あと、メモのようなこのポストも大事です。
#アニマルスピリッツ を思い起こさせるキーワードが ピラニア でした。
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