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”関係を編む” ”関係性を編む”

「直販」の投信会社、ご存知ですか?

投資信託という仕組みは3つの会社が関わっています。

販売会社、投信会社、受託会社。

投資信託は「投資信託運用会社」で作られ、主に証券会社、銀行、郵便局などの「販売会社」を通じて販売され、多くの投資家からお金を集めます。投資家から集めたお金はひとつにまとめられ、資産管理を専門とする、「信託銀行」に保管してもらいます。運用会社は、集めたお金をどこにどうやって投資するのか考え、その投資の実行を、お金を管理している信託銀行に指図します。このことを運用指図といい、運用会社がその権限を持っています。そして、信託銀行は運用会社の指図を受けて、株や債券の売買を行います。

最初に登場する「投資信託運用会社」が「投信会社」

「受託銀行」が「受託会社」

に該当します。

僕たちが「その投資信託、買います!(あるいは、解約します)」というタイミングで、その向こう側にいるのが「販売会社」となります。多くの場合、この販売会社は証券会社や銀行です。

投信会社(上記の説明の通り「集めたお金をどこにどうやって投資するのか考え」る会社です)が、販売会社の機能「も」提供することがあります。

これが「直販」と呼ばれます。

「直販」と「非直販」との決定的な違いは、個人投資家の投資信託を買ったり、解約したりというプロセスを誰が担うか、です。「直販」の場合はその投資信託を運営している会社自身がそのプロセスを担いますが、「非直販」の場合はそのプロセスを、その投資信託を運営している会社とは異なる証券会社や銀行等が担います。したがい、どこに住んでいる、どんな年齢の、どんな人がその投資信託を買っているか、解約しているか、そうした情報を誰が持っているか、ということになります。

「直販」であれば、投資信託を保有している投資家に何かメッセージを発信したい場合、直接ダイレクトに伝えるルートを持っているわけです。一方、「非直販」の場合、その投資信託を保有している投資家に何かを伝えるルートを持っているのは、販売会社(証券会社や銀行等)になります。

こうした違いがあるため、「直販」の場合は、直接、投資家に案内してのイベントを運営しやすい、ということがご想像できるかと思います。

「直販」で投資信託を販売している #鎌倉投信  さんの年に一度のイベント、受益者総会®️。イベントには受益者、投資信託を保有している投資家のみが参加できます。

信頼できる、それが時間とともに深まっていく、そんな投資信託を僕は選びたいと考えています。ですから、投信会社と直接のコミュニケーションが可能、イベントも積極的に開催があるということから、僕は「直販」を長い間、高く評価してきました。

しかし、それは大きい勘違いだった。そう感じています。

実際にイベントにご参加のShimoyamaさんのブログもご一緒にどうぞ。


「伝えよう」「伝えたい」その意思が有るか無いか

↑にご紹介した、年次総会を開催された農林中金バリューインベストメンツ #NVIC さんは、「直販」ではありません。幾つかの証券会社、銀行を通じて、投資信託を提供されています。でも、イベントを実施されています。この年次総会以外にも、毎月オンラインでミーティングも開催されています。

アーヴィアンパープルさんのブログです。

これらのイベントの案内は、その投資信託を買う(解約する)際に利用している販売会社から届けられます。販売会社は、どこの誰がその投資信託を保有しているか当然知っていますので、案内することが出来ます。

関係者、人が動くわけですから、手間暇、コストが掛かることでしょう。でも、自社の投資信託を保有している投資家に案内してイベントを開催することは「非直販」でも可能なんです。

こうしたイベントを開催しよう、機会を提供しよう、投資家に伝えたいことがあるんだ、そうした意思が有るか無いか、ってことです。投資家から託されたお金をどう扱っているか、を伝えたい、聞いて欲しい、理解、納得を高めて欲しい、そんな意思です。

こうして実現したコミュニケーションが、投資家の自分の保有する投資信託に対する理解を高め、信頼を厚くすることになり、より長い時間のお付き合いへ、その可能性を格段に大きくすると思います。

「関係(性)を編む」


『関係を編む』ことがめちゃくちゃ大事だと思ったんですよ

つまり、『自分たちの手で小杉湯を守りたい!』って思う人と関係をつくり、保ち続けることができれば、小杉湯をのこしていけるじゃん!って。そんなアイデアから、今回のメディアが生まれたんです。

でも『ケの日のハレ』は、バズることは目指してない。それよりも取材をして、記事をつくることで、小杉湯と人との関係を編んでいくことが目的なんです

メディアを通して小杉湯とそのまわりにいる人の間で生まれた物語を可視化して、関係を編んでいきたかったんです


先日、出会った記事です。

高円寺の銭湯 #小杉湯  さんのメディアを紹介した記事です。

この記事のキーワードが「関係(性)を編む」ですね。

銭湯を利用するお客さんがタテの糸(ヨコでもいいですけど)、地域やその周辺で関わる人たちがヨコの糸(タテでもいいですけど)、そうやって編み上がっていく感じ。編み上がっていく時間とともに、つながりが強くなっていく、ガッチリしてくる。

投資信託だとこんな具合になるでしょうか。

関係性を編む

投資信託、投資というと、ついつい資産が増えた、減った、儲かった、損したという点ばかりが気になってしまいます。上のチャートで言えば「タテの糸」がその一面だと思います。でも、投資の果実は、投資先の会社の事業活動、その会社に関わっている人たちからもたらされる部分が多くを占めます。つまり、「ヨコの糸」の部分こそが非常に大切だと考えられます。

「自分が投資先企業とその事業活動をリスペクトできるかどうか」

ろくすけさんのブログです。

この「タテ」「ヨコ」の糸を編み上げていくことを、もっと投資信託の発信で意識されてほしい、と感じます。

「耳のメディア」

小杉湯さん #ケの日のハレ の記事に戻ります。

口のかわりに、情報をひろく伝えることを目的にするのが『口のメディア』だとして、『ケの日のハレ』は耳のかわりに、誰かの声を聴いて関係をつくることを目的にしてるような

この「耳のメディア」というキーワードも印象的です。

声を聴き、特定多数と関係性を編むことが目的。

と「口のメディア(情報を不特定多数に広く伝えることが目的。)」との違いを表現されています。

「聞く」ではなく「聴く」。

メディア、発信というと、フツーは「伝える」を先に考えると思いますけど「聴く」。関係性を築くためには「聴く」が重要、もしかしたら「聴く」ことが一番最初、ということになるのかもしれない。 #耳のメディア  って覚えておこう。

資本市場に多くのもの(ほぼ全て?)を委ねるインデックスファンドとは違って、信頼する人、チームの行動、判断に委ねるアクティブファンドは「特定多数」になります。より長く、深い関係を編んでいくための進化へのキーワードは「聴く」になるのかもしれない、そんなことを思いました。残念ながら大多数のアクティブファンドは、その段階に無いのが実状ですけれど。

だから、そういう意味でも『ケの日のハレ』を通じて人との関係性を丁寧に編集していくことが、小杉湯が50年後100年後も続いていくことにつながる、っていう話なんですよね


「直販」の可能性

特定多数との関係をしっかりと編み上げいく、進化のステップを一段上げるには「聴く」。この仮説が正しいとするなら、投資信託の「直販」には、「非直販」に比してアドバンテージがあるかもしれません。直接のコミュニケーションのルートを持っているわけですから。投資信託に集っている人たち、長く関係を続けてきた人たちからちゃんと「聴く」ことで、何が求められているかを把握し、そのニーズ、ウォンツに応えることができないか、挑戦する。

よく考えてみると、これもその意思が有れば「非直販」でも可能なことかもしれません。しかし、その「聴く」「伝える」ことへの徹底度合いを突き詰めていくと、「直販」の方が有利なのだろう、と思います。

僕自身、幾つかの「直販」投信会社とお付き合いがありますが、今後は各社の「聴く」姿勢が有るのか、どれだけ徹底しようとしているのか、そんなところに注意を向けていこうと思っています。

記事を最初に読んでの僕のツイートです。

「特定多数」でピンと来ましたが、 #ゆっくりいそげ  がこの記事のベースに流れているんですね。

素晴らしい一冊です、やっぱり!

この本と出会ってもうすぐ6周年。ゆっくり、いそごうと思います。


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