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Margo-物語と糸- #2 |憧れの手染めソックヤーンのはなし

今日は手染めソックヤーンとその魅力について綴ります。
手染め毛糸の魅力は、色彩との一期一会。
わたしの憧れは、ウルグアイのあの糸……!

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 今回、手染め毛糸をつくるにあたり、糸はすべてウールにナイロンが混紡されたソックヤーンを選びました。100g約400mほどの中細糸で、ひとかせで両足の靴下が編める毛糸です。

 なぜその糸にしたかというと、わたしがソックスばかりを好んで編む「ソックニッター」であるというのが大きな理由です。そしてまた、ソックヤーンはひとかせでソックスや手袋を完成させることができるので、手染めととても相性がいいと思うからです。

 ウルグアイの手染め糸にManos Del Uruguayというブランドがあるのですが、わたしはそこのAlegriaというソックヤーンが好きです。
毛糸ショップのMOORITさんなどで販売されています。

 Manos Del Uruguayは1968年に設立され、ウルグアイの農村地区の女性たちの経済的自立を支援している組織です。経済的な理由で人々が都会に流出するのを防ぎ、地元の農村で家族と暮らして行くことを目的に事業を行っているのだそうです。毛糸はひとかせひとかせ手染めされており、毛糸についてくるタグには生産者の女性の名前と暮らしている地域がサインされています。

 ソックヤーンのAlegriaは発色がとても美しくて、眺めているだけで幸せになる糸です。しかし同じ染料を使った同じ品番でも、場合によってはかせごとに染まり具合がかなり違います。それはもう笑っちゃうくらいに。
 事実わたしは店頭で見比べているうちに選びきれなくなり、同じ品番で染まりが違うカセを2つ買ったことがあります。もはや同じ染料を使ってはいるものの別の糸で、どっちの色の出方も捨て難かったからです。

 そもそも手芸屋さんには均質に染められた糸がたくさん並んでいて、ロットが同じなら同じ色であることは当たり前です。なので、均質な染まりの毛糸に慣れた方や几帳面な人には、Alegriaのような糸はちょっともやもやしちゃうかもしれません。でもわたしはむしろAlegriaのそういうところが気に入ってます。
「そうか、ひとかせで完結するのなら、別に均一でなくていいんだ……!」
というのは、大げさにいうとわたしにとって発想のコペルニクス的転回でした。
 
 ニットやカーデガンなどのウエアはたくさんの糸を必要とするので、均質にブレなく染まった糸が複数あることが大切になります。けれどAlegriaはそんなことにはまったく頓着せず、ハナから合わせようという意思さえ持ち合わせていない感じがします。おおらかさが突き抜けている。ただひとつのかせの中の美しさのみを、とことん追求している感じもたいへん好ましい。
 毛糸との出会いは、一期一会。それが手染め毛糸の楽しさなのだと、Alegriaが教えてくれたように思っています。

 とはいえ、わたしたちMargoの2人はウルグアイ人ではなく日本人なので、できるかぎり同じ色名のものは同じ染まり上がりに近づくよう努力しています。でもAlegriaと同じくひとかせひとかせ手で染めているので、100%同じというのは難しいです。
 お手にとってくださる皆様には、ひとかせとの出会いを楽しんでいただけたらと思っています。


追記
余談ですが、ウルグアイといえば、世界でいちばん貧しい大統領ムヒカさんがいらっしゃいますよね。
いいなぁ、ウルグアイ。すごくいい……。めっちゃ気になる国です……!


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